【詳しく】サッカー女子W杯 なでしこ3連勝 1位で決勝Tへ

オーストラリアとニュージーランドで行われているサッカー女子のワールドカップ、日本代表の「なでしこジャパン」は31日、強豪のスペインに4対0で快勝し、1次リーグ3連勝でグループ1位で決勝トーナメントに進みました。8月5日の決勝トーナメント1回戦で、グループAの2位のノルウェーと対戦します。

「なでしこジャパン」は前半、宮澤ひなた選手のゴールで先制し、初先発の植木理子選手、さらに宮澤選手が追加点を決めました。後半も途中出場の田中美南選手が決めました。

記事後半では、試合経過を詳しくお伝えしています。

《試合概要》

世界ランキング11位の「なでしこジャパン」は、1次リーグでザンビアとコスタリカに連勝して決勝トーナメント進出を決め、31日、1位通過をかけてニュージーランドの首都、ウェリントンで世界6位のスペインと対戦しました。

第2戦から先発メンバーを5人入れ替えた日本は、序盤から足元の技術に優れるスペインにボールをキープされましたが、前半12分、左サイドでボールを受けた遠藤純選手のパスに宮澤ひなた選手が抜け出し落ち着いてシュートを決めて先制しました。

宮澤ひなた選手 先制ゴール

さらに29分、カウンターから宮澤選手のパスを受けた植木理子選手がシュートを決めると、40分にも自陣でボールを奪って素早い攻撃から宮澤選手がシュートを決めて3対0で前半を終えました。

途中出場の田中美南選手が追加点

後半も日本はスペインにボールを保持されましたが、集中した守備で決定機を作らせず、逆に37分、スローインを受けた田中美南選手がみずから持ち込んで左足でシュートを決めて突き放しました。

日本は強豪のスペインに4対0で快勝し、5回目の対戦でスペインから初勝利をあげました。日本は1次リーグ3連勝で勝ち点を「9」に伸ばし、グループCの1位で決勝トーナメントに進みました。

次戦は8月5日 相手はノルウェーに【NHK総合テレビで中継】

日本は決勝トーナメント1回戦でグループAの2位で世界ランキング12位のノルウェーと対戦します。試合は、8月5日、日本時間の午後5時から行われ、NHKは総合テレビで中継し、NHKプラスでも配信します。

《選手・監督談話》

池田太監督「こういう勝ち方ができたのは自信になる」

池田太 監督

「なでしこジャパン」の池田太監督は「われわれのやってきたことをしっかりと出していこう、ノックアウトステージにつながるようなゲームをしようと話していた。粘り強く守備をし、カウンターでうまくスペースを使えたのがよかった。選手たちはすばらしい集中力だった。粘ってこういう勝ち方ができたのは自信になると思う」と話していました。

2得点 宮澤ひなた「勝って笑って終われてうれしい」

宮澤ひなた 選手(真ん中)

2ゴールを挙げて勝利に貢献した宮澤ひなた選手は「耐える時間が多い試合だったが、みんなでしっかり守って最後は勝って笑って終われてうれしい」と喜びを語りました。スピードを生かして決めた自身の2つのゴールについて「ボールを奪ったところでカウンターねらいだと思っていたので、自分の長所を出して貢献できてよかった」と振り返りました。決勝トーナメントに向けては「1点が大事な試合になってくるので、チャンスで決められるようにしたい。チームとしていいモチベーションのまま向かえると思うので、いい準備をしていきたい」と話していました。

追加点を決めた植木理子「迷わず足を振り抜いた」

植木理子 選手

植木理子選手は宮澤ひなた選手からのパスを受けて2点目のシュートを決めた場面について「ひなたからいいボールが来て自分のよさが出るところだと思ったので、迷わず足を振り抜いた。相手にボールが当たったがゴールに入って本当によかった」と振り返りました。
アシストをした宮澤選手とは池田太監督のもと、ともに2018年の20歳以下のワールドカップで初優勝を経験したメンバーで「昔から一緒にやっているし、本当にわかり合えている。前半のうちに3点を奪えたのは本当によかった」と話しました。そのうえで「全員で1試合1試合、目の前の試合を戦った結果、勝ち続けて次に進める。ここからが大事だと思うので次に向けて準備したい」と気を引き締めていました。

先制点をアシスト 遠藤純「本当の勝負はここから」

先制点をアシストした遠藤純選手は「本当の勝負はここからだし、それは全員がわかっているが3試合をゼロで抑えて大量得点で勝てたことはうれしい」と素直に喜びを口にしました。そして「スペインの選手にボールを持たれる時間は長かったが、全員でコミュニケーションを取ったことが勝てた要因だと思う」と話しました。そのうえで決勝トーナメント1回戦のノルウェー戦に向けて「自分たちのサッカーをすれば必ず勝てると思うので、自分たちを信じて頑張っていきたい」と話しました。

熊谷紗希 主将「100点に近い ねらい通りの試合」

キャプテンでディフェンダーの熊谷紗希選手は「スペインにボールを持たれる時間が長いというのはわかっていて、その中でチャンスがあればカウンターをねらっていこうと臨んだ。あれだけ完璧にカウンターが決まる試合はなかなかない。チーム全員でやるべきことをはっきりさせて一人ひとりが自分の役割を果たした結果だ」と振り返りました。素早い攻守の切り替えが得点につながったことについて「自分たちのねらいだったので本当に100点に近い、ねらい通りの試合ができたと思う」と手応えを口にしました。また、スペインの強力な攻撃陣を抑えたことについては「スペインは本当にボール回しが上手で、立ち位置も上手だった。前に出られない時間もあったが、前線の選手が得点を取って3対0で折り返すことができてすごく助かった」と得点差が気持ちの余裕を生んだことを強調しました。
そのうえで「自分たちが準備してきたものをしっかり出せた。それが1次リーグ3連勝につながったと思う。ここからは負けたら帰国ということがはっきりしているので、何としても勝って次に進むことだけにフォーカスしていい準備をしたい」と次を見据えました。

男子に続き!W杯でスペインから勝利

日本は、男子のワールドカップに続いて女子のワールドカップでも強豪のスペインから勝利を挙げました。去年12月、男子のワールドカップカタール大会で日本は1次リーグの第3戦で世界7位のスペインと対戦し、堂安律選手と田中碧選手がゴールを決めて2対1で逆転勝ちしました。

女子のワールドカップでも1次リーグの第3戦で世界6位のスペインと対戦し、男子同様相手のパスサッカーに対して粘り強く守り、チャンスを確実に得点に結びつけ4対0で快勝しました。スペインは、バルセロナなど強豪クラブに所属する選手を多く擁するチームで、SNSでは「日本サッカー界すごい」「歴史的」などと称賛する投稿が相次いでいます。

《試合データ》

【得点】
▽日本 前半12分:宮澤ひなた
▽日本 前半29分:植木理子
▽日本 前半40分:宮澤ひなた
▽日本 後半37分:田中美南

【シュート数】
日本:8/スペイン:10

【ボール保持率】
日本:23%/スペイン:65%

◆試合詳細◆

《先発メンバー》

日本代表「なでしこジャパン」

前回のコスタリカ戦の先発メンバーからは5人が変更となりました。フォワードの植木選手とディフェンダーの高橋選手は今大会初先発です。

【GK】1.山下杏也加
【DF】2.清水梨紗/3.南萌華/4.熊谷紗希/12.高橋はな
【MF】7.宮澤ひなた/8.猶本光/10.長野風花/13.遠藤純/16.林穂之香
【FW】9.植木理子

スペイン代表

【GK】1.ミサ・ロドリゲス
【DF】2.オナ・バリャ/4.イレネ・パレデス/19.オルガ・カルモナ/20.ロシオ・ガルベス
【MF】3.テレサ・アベリェイラ/6.アイタナ・ボンマティ/11.アレクシア・プテジャス
【FW】8.マリオナ・カルデンテイ/10.ジェニフェル・エルモソ/18.サルマ・パラリュエロ

《前半》

日本時間16:00【試合開始】

サッカー女子のワールドカップ、日本代表の「なでしこジャパン」とスペインの試合は日本時間の午後4時に日本のキックオフで始まりました。

【前半5分】日本0-0スペイン

日本はスペインにボールを回される時間帯が続き、自陣深くでゴール前にクロスをあげられましたが、そのままゴールキックとなりました。序盤はスペインがテンポよくボールを回し、日本は守備の時間が長くなっています。

【前半9分】日本0-0スペイン

日本は右サイドでファウルをもらいましたが、遠藤選手のフリーキックはゴール前で相手ディフェンダーに止められました。

★GOAL【前半12分】日本 宮澤が先制点 日本1-0スペイン

先制ゴール 宮澤ひなた選手

日本は左サイドの遠藤選手からのゴール前のパスにミッドフィルダーの宮澤選手が走りこんで、シュートを決めて先制しました。

日本の先制点の起点となったのはディフェンダーの熊谷選手で、サイドの遠藤選手にコントロールよくパスを送ると、遠藤選手がすぐにゴール前に絶妙なクロスを入れました。そこに、抜群のスピードを生かして抜け出した宮澤選手がディフェンダーを振り切って最初にボールを触り、ゴールキーパーと1対1の形を作りました。宮澤選手は冷静にゴール左にシュートを決め、初戦のザンビア戦の2得点に続き、今大会、自身3得点目となる先制ゴールを挙げました。

【前半19分】日本1-0スペイン

スペインはペナルティエリアの外からシュートを打ちますが、ゴールーキーパーの山下選手の正面でした。

★GOAL【前半29分】日本 植木が追加点 日本2-0スペイン

日本は宮澤選手のパスを受けた植木選手が右足でシュートを決めました。植木選手は今大会2ゴール目です。

日本の追加点はカウンターからで、スピードが持ち味の宮澤選手が一気に相手陣の深くまでボールを持ち込んでからフリーの植木選手にパスを送りました。植木選手はペナルティーエリア内で右足でシュートを打つと、ディフェンダーの足に当たってバウンドが変わり、ゴールキーパーの頭をこえて日本の2点目となりました。植木選手は今大会2得点目です。

植木理子選手 追加点

【前半36分】日本2-0スペイン

スペインは右サイドからゴール正面にクロスを上げますが、スペインの選手のヘディングシュートはゴールの上に外れました。

★GOAL【前半40分】日本 宮澤がこの試合2点目 日本3-0スペイン

宮澤ひなた選手が追加点

日本は先制ゴールを決めたミッドフィルダーの宮澤選手がこの試合2点目となるゴールを決めて、日本が3対0とリードを広げました。

日本の3点目は、ハーフラインでボールを持った植木選手が走り込んだ宮澤選手にパスを出すと、宮澤選手が完璧なボールタッチでディフェンダーをかわしてペナルティーエリアに入り、ゴール左にシュートを決めました。宮澤選手はこの試合2得点目、今大会4得点目です。

【前半45分】

前半のアディショナルタイムは3分です。

【前半アディショナルタイム】日本3-0スペイン

スペインのディフェンダーにイエローカードが出されました。

【前半終了】日本3-0スペイン

日本対スペインは前半が終了し、日本が3対0とリードしています。日本はスペインにボールを支配される時間が長かったものの隙のない守備で得点を許さず、カウンターを中心とした攻撃がはまりました。宮澤選手が2得点、植木選手が1得点を挙げ、後半に折り返しました。

《後半》

日本時間17:06【後半開始】

日本対スペインの後半が始まりました。日本はこの試合で2得点を挙げたミッドフィルダーの宮澤選手が交代し、藤野選手が入りました。スペインも選手1人が交代し、ディフェンダーの選手を入れ替えました。

【後半10分】日本3-0スペイン

試合は後半開始もスペインがボールを持つ時間が長くなっていますが、日本は集中力の高い守備でチャンスを作らせず、反対に鋭いカウンターからゴールをねらうという展開が続いています。

【後半14分】日本 司令塔の長谷川など投入 日本3-0スペイン

日本はミッドフィルダーの長野選手に代わって長谷川選手が、ディフェンダーの清水選手に代わって守屋選手が入りました。

【後半17分】スペイン 選手交代 日本3-0スペイン

スペインはミッドフィルダーとフォワードの選手が交代し、フォワードの選手2人が入りました。

【後半22分】日本 植木→田中美南 日本3-0スペイン

日本はこの試合で日本の2点目を挙げたフォワードの植木選手に代わり、同じフォワードの田中美南選手が入りました。

【後半29分】日本3-0スペイン

日本は鋭いカウンターで攻め上がり、左サイドから上げたボールが流れたところを途中出場の守屋選手が右サイドからゴール前へクロスを上げましたが、シュートにはつながりませんでした。

【後半37分】スペイン 選手交代

スペインはフォワードの選手1人を交代させました。

★GOAL【後半37分】日本 田中美南が得点 日本4-0スペイン

ゴール決め喜ぶ田中美南選手

日本は後半から交代出場した田中選手が左足で豪快にゴールを決め、4対0とリードを広げました。

日本の4点目は右サイドでスローインを受けた田中選手がみずからドリブルで持ち込み、ペナルティーエリアの中で左足を振り抜きゴール左上に決めました。

【後半40分】日本 遠藤→杉田

日本は5人目の交代でミッドフィルダーの遠藤選手に代わって杉田選手が入りました。

【後半45分】

後半のアディショナルタイムは3分です。

【後半アディショナルタイム】日本4-0スペイン

日本は猶本選手がスペインの選手に後ろから倒されイエローカードが出されました。その後、猶本選手がフリーキックで直接ゴールをねらいましたが、ゴールの上に外れました。

【試合終了】日本4ー0スペイン

日本は強豪、スペインに4対0で勝って1次リーグ3連勝とし、グループ1位で決勝トーナメントに進みました。

《各地でも“なでしこ”に声援》

宮澤ひなたの地元(神奈川 南足柄)も歓喜 母親も「びっくり」

先制ゴールを含む2得点を挙げた宮澤ひなた選手の地元、神奈川県南足柄市では、市の施設で日本対スペイン戦のパブリック・ビューイングが行われ、市民などおよそ60人が集まり、宮澤選手の母・貴代さんも駆けつけてスティックバルーンをたたいて応援しました。

母親の貴代さんは兄の影響で幼稚園のころに地元のサッカークラブでプレーを始めた宮澤選手を振り返り「小さいころは人見知りでしたがサッカーをやっているときは本当に楽しそうにプレーをしていました。スペイン戦については、本人の持ち味は明るさだと思うので、楽しくプレーしてほしいです」とエールを贈りました。

そして宮澤選手が先制ゴールを決めると会場から「おおー!」と歓声が上がり、試合が再開すると「宮澤!宮澤!」とひときわ大きな声援が送られていました。

試合後、母親の貴代さんは「2得点の活躍にはびっくりしました。次の決勝トーナメントでも微力でもいいので、力になってもらえたらうれしいです」と話し、次の試合での活躍にも期待していました。

宮澤ひなた選手が小学生のときにサッカークラブで指導していた、菊地廣さん(74)は「信じられないくらいすばらしい活躍を見せてくれました。決勝トーナメントでも活躍する姿を見られると思うので、応援を続けていきたいです」と話していました。

《試合の見どころは》

世界ランキング11位の「なでしこジャパン」は1次リーグ初戦でザンビアに、2戦目でコスタリカに勝って勝ち点を「6」とし、すでに決勝トーナメント進出を決めています。チームは31日、1次リーグ1位通過をかけてニュージーランドの首都、ウェリントンで世界6位のスペインと対戦します。

日本が勝てば1次リーグの1位通過が決まり、8月5日の決勝トーナメント1回戦でグループA2位のノルウェーと対戦します。敗れるか、引き分ければ2位となり、グループA1位のスイスと対戦します。

「なでしこジャパン」の池田太監督は30日の会見で「本当に難しい試合になると思うので、高い集中力で挑みたい。1戦目、2戦目とは違った展開が予想されるので、チャンスを逃さないことと決定機でペナルティーエリア内でのプレーの質の違いが勝負の分かれ目になると思う」と話しました。