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人手不足で企業の人材獲得が難しくなっています。選んでもらう企業になるには福利厚生の充実もカギとなりますが、コスト面などから企業が単独で行うことは難しい場合もあります。
香川県三豊市では、地元企業が「合同」で福利厚生を行うための実証事業が自治体の主導で行われ、のべ30社余りが参加しました。福利厚生の内容は「健康“社員食堂”」「体づくり」「宿泊施設」の3つです。どのような仕組みなのでしょうか。
地域の飲食店 “社員食堂”に活用
市が行う福利厚生の1つ「健康“社員食堂”」。市が地域の飲食店と福利厚生を充実させたい企業を結びつけます。
実証事業に参加する企業の社員たちは、三豊市内の10の飲食店で、地元の食材をたくさん使ったヘルシーなランチをお得に食べられます。代金を支払う時に、専用のアプリを使い、市が発行するデジタル通貨で支払えば、ポイントがもらえる仕組みです。
地元の飲食店を地域の企業が福利厚生として利用するこの仕組み。参加企業の社員の1人は次のように話しました。
社員の健康維持 地域で後押し
次に、社員の健康維持を後押しする「体づくり」の仕組みです。この福利厚生事業では、社員たちの脂肪や筋肉の増減、歩数などを参加企業で競い合い、上位の企業にはスポーツ用品などが贈られます。
参加した地元の冷凍食品メーカーは、健康器具を社内に設置するなど社員の健康意識を高めようとしてきました。
冷凍食品メーカー 管理部 合川達雄 部長
「1つの企業だけでは(福利厚生を)できることはどうしても限られてくるので、三豊市のほうでインフラを整えてもらえたら、それにどんどん参加していって、社員の意識も少しでも変わっていけばと思っている」
地元の宿泊施設 お得に泊まる
そして、「宿泊施設」にお得に泊まれる仕組みも。市は、福利厚生事業の対象となっている民間の宿泊施設25棟の空き状況を企業と共有するシステムを構築しました。
対象の宿泊施設の中には、瀬戸内海の絶景を楽しめるというコテージもあります。参加企業の従業員であれば、最大半額の料金で利用できます。
福利厚生から地域活性化へ
市は、地元企業の福利厚生の充実を図るこれらの事業を通じて、ゆくゆくは地域の活性化につなげたいと考えています。
三豊市の担当者
「必ずしも給与面だけではなくて、休暇であったりライフスタイルを重視する声も多いと聞いている。どうしても福利厚生とか個社で対応するのは難しい。地域全体で共助の考え方で取り組んでいけたらいい」
この実証事業はいったん3月末で終わりとなり、今後については検討を続けていくということです。
1つ1つの店や宿泊施設を自治体が結びつけることで、利用する人が増えて地域の活性化にもつながるかもしれません。地域全体で健康に働ける環境をつくることで、地元企業の魅力アップにもつながっていくことが期待されます。
(高松局 佐藤和枝)
【2024年4月9日放送】
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