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鳥取県が、鳥取砂丘の特徴的な地形を生かして宇宙ビジネスの創出を目指しています。2023年には鳥取砂丘に宇宙分野の実証実験を行う施設「ルナテラス」を整備。東京のベンチャー企業が月面探査車の開発を進めています。
月面探査の試作車 砂丘を走る
鳥取砂丘を走る1台の車両。試作中の月面探査車です。実験施設「ルナテラス」は、起伏のある砂地が月面に似ているとしてつくられました。
月面探査車の開発を手がけるのは、東京の宇宙ベンチャー企業の社長、古友大輔さんです。大手自動車メーカーの技術者から転身し、15年前から宇宙分野に携わっています。
地元企業と開発 3年後の着陸目指す
2023年10月には、県の協力を得ながら鳥取にサテライトオフィスを設けました。実験を重ねる中で、県内の企業に部品の製造を委託するなど交流が増えたためです。
古友さんの目標は、鳥取の企業と探査車を開発して3年後に月に着陸させることです。月の表面の起伏や、水のもととなる資源の場所など、月の環境に関するさまざまなデータを記録し、宇宙関連企業に提供したいと考えています。
宇宙ベンチャー企業 古友大輔 社長
「NASAやJAXAは2030年代に、月にもう1回、人(宇宙飛行士)を送り込むことにチャレンジしている中で、僕たちが月のデータをとって提供することができれば(宇宙飛行士の)ミッションの成功確度を上げることや危険なところから守ることにつながる」
“開発の輪” 拡大へ奔走
鳥取県は2024年2月下旬、東京・江東区で開かれた宇宙をテーマにした商談会に出展し、古友さんも参加しました。この商談会では世界各国から60を超える企業や団体がブースを設けました。
古友さんは、月面探査車の開発に協賛してくれる企業を募ろうと、訪れた人たちにアピールしました。
古友さんはこの時、隣の会場でデジタル技術の商談会が開かれていると聞き、足を運びました。そして、あるブースで紹介されていた技術が月面でのデータ収集に使えるのではないかと考え、早速商談に乗り出しました。注目したのは、ロボットに搭載したカメラが記録した映像から立体の地図をつくる技術です。
商談で、相手から「(探査車に搭載する)ハードウエアはそこまで特別なものを使わなくてもつくれる。(立体地図をつくる技術が)使える可能性は十分ある」と説明された古友さん。前向きに連携を検討することになりました。
古友社長
「僕たちがつくった技術が認められるところまでいくとすると、今ものづくりをやっている(鳥取の)企業のお客さんの数が増えることに2次的につながる。“みんなで月を走る”輪を広げていくことにつながるといい」
特徴的な地形を生かした宇宙ビジネス創出の取り組み。鳥取県は人口が全国最少ですが、宇宙ビジネスをきっかけに県内企業が部品などをつくって新たな市場を開拓し、雇用も生み出すことで、人口減少に歯止めをかけたいと考えているということです。
(鳥取局 大本 亮)
【2024年4月5日放送】
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