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その他の注目税制

(※2023年12月14日更新)

加熱式たばこの税率引き上げ

防衛費の財源確保に向けた増税に伴って、加熱式たばこの税率を引き上げ、紙巻きたばこと同じ水準とする方向性も示されました。

防衛費の財源確保のため、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置が複数年かけて実施される方針で、たばこ税については1本あたり3円程度の増税が予定されています。

近年、利用者が増えている加熱式たばこの税負担は、紙巻きたばこに比べて2割程度、低くなっていることを踏まえ、税制改正大綱では、「加熱式たばこと紙巻きたばことの間の税負担の差を解消し、課税の適正化による増収を防衛財源に活用する」という内容が盛り込まれました。

今回の大綱には防衛費の財源確保のための増税の実施時期は明記されませんでしたが、政府・与党は今後、実施時期を見極めながら具体的な税率などの検討を進めるとみられます。

事業承継税制

中小企業の円滑な事業承継を促すための事業承継税制は、必要な計画の提出期限が延長されることになりました。

この税制では、経営者から株式を相続したり贈与されたりして事業を承継する際に、それにかかる相続税や贈与税の納税を全額猶予し、ゼロにしています。

適用対象は、2027年までに相続や譲渡を受けた場合ですが、あらかじめ都道府県に事業計画を提出することが必要です。

提出期限は2024年3月末までとなっていましたが、今回の改正で2026年3月末まで2年間延長されることになりました。

外形標準課税の見直し

いまは、資本金が1億円を超える企業を対象としている外形標準課税は、課税逃れを防ぐため、対象が拡大されることになりました。

外形標準課税をめぐっては、課税を逃れようと、決算時に資本金を1億円以下に減らして資本剰余金として計上する企業があることから、総務大臣の諮問機関である地方財政審議会は、資本金と資本剰余金の合計が一定水準を上回る企業も対象とするよう求める意見書を鈴木総務大臣に提出しました。

これを受けて自民・公明両党の税制調査会では、資本金と資本剰余金の合計が50億円を超える場合を課税の対象とする案などを検討を進めてきました。

その結果、「課税逃れを増やさないよう条件を厳しくすべきだ」といった意見が出たことから、対象額を当初の案より引き下げて、10億円を超える場合とすることになりました。

一方で、中小企業への影響が出ないよう、新しい基準が適用される前に、資本金が1億円以下で現行の基準に該当していない企業は、原則、課税の対象にはならない仕組みにするとしています。

政府・与党は、令和7年4月からの施行を目指す方針です。

交際費

企業が行う会食などの交際費を税務上、認められる経費として扱う措置について、上限額が引き上げられます。

これまでは1人あたり1回5000円以下でしたが、物価上昇が続いている状況を反映して1回1万円以下に引き上げます。経済団体などからの要望に応えました。

ローカル鉄道再生へ不動産取得税免除

危機的な経営状況にあるローカル鉄道の再編を後押しするため、第三セクターなどが土地や駅舎などを取得する際にかかる税を免除する措置が新たに設けられることになりました。

全国のローカル鉄道は、人口減少などによる利用者が大幅に減っていて、存続が難しくなっているところが多く、対策が急がれています。

このため、鉄道事業を継承するために新たに算入する第三セクターなどの事業者が既存の鉄道会社から土地や駅舎などを取得する際に評価額の4%を納める不動産取得税を免除する特例措置が新たに設けられます。

特例措置の期間は、令和6年度から令和7年度までの2年間となっています。