韓国 ユン・ソンニョル大統領(尹錫悦)

G7 広島サミットに参加する韓国のユン・ソンニョル大統領の詳しい情報です。年齢は、2023年5月19日時点のものです。

ユン大統領
役職 大統領
生年月日 1960年12月18日
年齢 62歳
出身

韓国の首都ソウル

略歴
  • 1994年 検事になる
  • 2019年 検事総長に就任
  • 2021年 政界に転身
  • 2022年 大統領に就任

検事から政界入り

韓国のユン・ソンニョル大統領は韓国の首都ソウル出身の62歳。両親が大学教授で、父親は1965年の日韓国交正常化の翌年、一橋大学の大学院に留学した経歴を持つ経済学者です。名門のソウル大学で学び、司法試験に何度も挑戦した末に合格して検事になりました。保守系のパク・クネ(朴槿恵)元大統領やイ・ミョンバク(李明博)元大統領をめぐる贈収賄事件などで行った徹底した捜査が革新系のムン・ジェイン(文在寅)前大統領に評価され、2019年に検察トップの検事総長に抜てきされました。その後、ムン前大統領の側近だった法相の疑惑を追及するなどして政権との対立が深まり検事総長を辞任しましたが、真っ向から政権と対じした姿が支持され、政界入りへの待望論が高まりました。そして、政治経験が全くない中で2021年、当時の保守系最大野党「国民の力」に入党し、大統領選挙の公認候補に選出されました。2022年3月の大統領選挙では当時の与党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)氏に0.73ポイントの僅差で勝利し、5月に大統領に就任しました。

【日韓関係の改善に強い意欲】

外交政策では、自由、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国との連帯を打ち出しています。中でも、北朝鮮による核・ミサイルの脅威に対抗するためアメリカや日本との連携強化を重視しています。

このうち日本については、「戦後最悪」とまで言われた関係を改善させることに強い意欲を示してきました。ことし3月初めには日本との間で最大の懸案である太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題について韓国政府としての解決策を示し、日本との関係改善の本気度を見せました。その発表から10日後、大統領として初めて日本を訪れ、岸田総理大臣と会談しました。会談の結果、日韓両国は首脳どうしの相互訪問、「シャトル外交」の再開を確認したほか、外務・防衛当局による「日韓安全保障対話」をおよそ5年ぶりに再開することや経済安全保障に関する対話の枠組みを創設することなどで合意しました。会談後の夕食会では、ビールと焼酎を混ぜる「爆弾酒」と呼ばれる韓国式の飲み方で盛り上がったということです。

一方、国内政策では、ムン前政権が進めていた「脱原発」を転換して原子力発電所の建設再開に動き出したほか、労働、教育、年金の3分野での改革に力を入れる姿勢を打ち出しています。

【熱烈な野球ファンとしても知られる】

就任前のユン大統領を知る人たちは、信念を貫く一本気な性格で面倒見がよい人柄だと話しています。司法試験の直前にもかかわらず友人の結婚の世話に奔走していたというエピソードもあります。

ユン大統領は熱烈な野球ファンとしても知られていて、2021年9月には野球の強豪校でもあるソウル市内の母校の野球部を激励に訪れ、学生たちと同じユニフォーム姿で一緒にグラウンドを走ったり応援歌を歌ったりしました。

ユニフォーム姿のユン大統領(右側)

野球部の監督は「ご本人から『卒業後もいつも試合を見に来て声が枯れるほど応援した』とうかがったことがある。いつもわれわれ野球部のことを気にしてくださっている」と嬉しそうに話していました。

選手たちに囲まれたユン大統領(中央のスーツ姿)

ことし4月にはプロ野球開幕戦の始球式で投球を披露し、見守った野球関係者から「歴史に残る力強いストレート」との称賛を受けました。また料理が得意で、大統領選挙の前にはテレビのバラエティー番組で腕前を披露していました。

12歳年下のキム・ゴニ(金建希)夫人とはユン氏が51歳の時に結婚しました。キム夫人はかつて美術やデザイン関連の仕事をしていて、そのころの縁で建築家の安藤忠雄さんと交流があり、ことし3月ユン大統領とともに日本を訪れた際に安藤さんと旧交を温めました。