来年度予算が膨張?

来年度・令和6年度の予算編成がこれから本格化しますが、早くも予算額が膨らみかねないという話が聞こえています。「日本の財政は厳しい」と言われているのにどういうこと?財政取材を担当している横山太一記者、教えて!

まだ、7月だというのに来年度の予算額が膨らみそうって、どういうこと?
そう言われる要因となっているのが「事項要求」です。


事項要求?聞き慣れないことばだね。
予算を要求する官庁と、査定する財務省との間で使われる用語ですから、聞き慣れないのは当然だと思います。
各省庁は毎年8月末までに翌年度の予算案に盛り込みたい事業を一覧にして財務省に提出します。
これを「概算要求」と呼んでいます。
それを前に7月のこの時期、「概算要求の基本方針」、つまり要求のルールが示されるんです。
この中では、前年度の予算額を元に要求額に上限がはめられるので、各省庁は今後、このルールと自分たちの予算額を踏まえて▽どの政策に▽どのくらいの予算が必要か検討し、財務省への要求を決定するんです。


それで「事項要求」って、どういうものなの?
事項要求というのは、8月のタイミングでは、政策の全体像や実施時期などを見通すのが難しい場合に、具体的な金額を示さずに政策の内容だけで要求することを認めるものです。
いわば例外的な措置と言えます。
その事項要求が今回、さまざまな政策に認められるような言いぶりになったため、「要求が際限なく膨らむんじゃないか」という危惧が出ているんです。


「さまざまな政策に認められるような言いぶり」とは?
事項要求の対象が、「物価高騰対策などを含めた重要な政策」という表現になっているんです。
ここで出てくる「など」がポイントです。


いったいどういうこと?

このような表現にするにあたって、財務省としては、国民生活に関わりの深い物価高騰対策や、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた政策を念頭に置いています。
しかし、各省庁が「重要」と判断すれば、なんでも「事項要求」にできるのではないかと危惧されているんです。


こうした状況は、今回が初めてなの?
実は、こうした方針は去年も示されていて、それを踏まえた今年度予算は、過去最大の114兆円となりました。


「日本の財政は厳しい」とずっと言われているけど、同じような事項要求を繰り返しても大丈夫なの?

鈴木財務大臣は、今月25日の記者会見で、「仮に事項要求でも、年末に向けた予算編成の中で厳格に査定する」と述べ、一概に歳出増加につながることはない、と説明しています。
ただ、来年度予算案の編成に向けては、少子化対策をはじめ、防衛費でも大幅な歳出の増加が見込まれています。
効率的な予算編成にするため「厳格な査定」をどこまで徹底できるのかが問われています。

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