物価の上昇はすぐに収まる?続く? 専門家に聞く
5月の消費者物価指数が公表されました。今後の物価の見通しなどはどうなるのか。第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストに聞きました。
今回、注目した点は?
電気代などのエネルギー価格や生鮮食品を除いた指数の上昇率が高いことだ。4%を超えてきて、さらに伸びが高まっている。
原材料などのコストがかなり上がっているなか、企業がコストを価格に転嫁しようという意欲が非常に強いことが示されていると思う。
また、人手不足がかなり進んでいて、業界によってはかなり賃金が上がっている。そういった賃金の上昇を、サービス価格に転嫁しようという動きがさらに進めば、これまで落ち着いていたサービスの価格が上がっていく可能性がある。
企業の価格転嫁に対する姿勢は変化してきていますか?
以前は、コストが多少上がっても、値上げはしなかった。
企業の努力でコストの増加分を吸収し、価格を何とか据え置くということをやっていた。
1社値上げをすると、需要が他社に移ってしまうので、何とか踏みとどまって、シェアを維持することが日本企業の常だったが、去年あたりからコストの増加が非常に大きくなり、とてもじゃないが吸収しきれないということで、値上げが進んだ。
価格転嫁で、商品を値上げするという傾向は続きそうですか?
去年のコストの上昇があまりにも大きかったので、企業としても、まだ価格転嫁しきれてないという声を多く聞く。
価格転嫁しきれていない部分をこれから転嫁しなければいけないことになってくるので、当面、値上げの動きは続くとみられる。
加えて、足元では再び円安が進んでいる。円安が進むと、輸入品のコストが上がって、またそれを価格に転嫁する必要が出てきて、今後さらなる値上げにつながる可能性があると思う。
今後の物価の見通しは?
今後も引き続き値上げを避けられない多くの要因がある。
6月からは地域にもよるが、電気料金が大幅に引き上げられている。
さらに、食品の値段は今後も上がるとみられるほか、テレビやパソコンといった耐久消費財も値上げが続きそうなため、物価上昇がすぐにおさまるという状況ではない。
生活者の負担としてはかなり厳しい状況が今後も続くとみておく必要がある。
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