マイナンバー法改正 何が変わるの?(6月2日更新)
マイナンバーカードと健康保険証の一体化などを進める改正法が、2日の参議院本会議で可決・成立しました。トラブルも相次ぐ中での法改正、いったい、何が変わるのか?デジタル庁を担当する名越記者、教えて!
※最新の情報を踏まえて6月2日に記事を更新しました。
マイナンバーカードというと、最近、トラブルばかり聞くのですが。
そうですね。一体化した健康保険証に他人の情報が登録されたケースが7300件余り確認されたほか、国の給付金などを受け取ることができる公金受取口座が、自治体の窓口などで、別の人のマイナンバーに登録されるミスが起きるなどトラブルが相次いでいます。
そういう中での法改正なので少し心配です。いったい何が変わるのですか?
ポイントは大きく3つあります。
まず1つめのポイントが、マイナンバーカードと健康保険証の一体化です。
政府は、来年秋には健康保険証を廃止する方針を示しているのですが、現在の保険証の廃止後、最長1年間、保険証を有効にする経過措置がとられるほか、カードをなくした人や持っていない人が、保険診療を受けられるようにする「資格確認書」を新たに発行します。資格確認書は1年間有効です。
マイナンバーカードが保険証代わりになると、落とさないかと心配です。
紛失などで再交付が必要な場合は、申請から1週間以内でカードを発行することにしています。
保険証代わりになるなら、子どもにもカードが必要になりますよね。カードの写真って子どもも必要なのですか?
今回、顔つきの変化の早い1歳未満の乳児には、顔写真がないカードを発行することになりました。顔写真がないカードの有効期限は、5歳の誕生日までとされています。
私たちの暮らしにも大きく影響しそうです。
そうですね。そして、2つめのポイントは、マイナンバーの利用範囲が拡大されることです。
マイナンバーを利用できるのは、「社会保障」「税」「災害対策」の3分野に限定されていました。
そうなんですね。
これが、今回の法改正で、「国家資格の手続き」「自動車に関わる登録」「外国人の行政手続き」にかかる事務などの分野でも、マイナンバーが使えるようになります。
具体的にはどう変わるのでしょうか?
例えば、美容師や建築士などの資格を更新する際、これまでは自治体などで戸籍謄本や住民票の写しなどを取得する必要がありましたが、マイナンバーカードを使ったオンライン申請が可能になります。
資格を管理する団体が、マイナンバーにひも付いた情報にアクセスできる「情報連携活用システム」を通じて個人情報を取得できるようになり、書類の添付が不要になります。
なるほど。
ただ、それだけではないんです。これまでは、マイナンバーを使う行政機関や内容などは厳しく定められていて、範囲を拡大する場合は、そのつど、法律の改正が必要でした。
でも今後は、さきほど紹介した分野については、すでに法律で規定された事務に「準ずる事務」であれば、法律を改正しなくても、マイナンバーの利用が可能になりました。
法律を変えなくても、利用範囲が拡大できるようになるんですね。ちょっと心配です。
行政の判断のみで、利用が拡大できる点については意見が分かれるところです。
そして3つめのポイントが、「公金受取口座」に関する新たな仕組みの導入です。
「公金受取口座」って何ですか?
「公金受取口座」は、マイナンバーと一緒に登録することで、国からの給付金などを受け取ることができる口座です。公的年金を受け取るために届け出ている銀行などの金融機関の口座を、「公金受取口座」として、登録する仕組みが新たに導入されます。
この仕組みでは、行政からの通知に対して、本人が同意しないという意思を示さなければ、公的年金などを受け取るために届け出ている銀行などの金融機関の口座が、「公金受取口座」に登録されます。
同意したら登録されるのではなくて、断らないと登録されてしまうのですね。
こうした措置をとる背景には、「公金受取口座」については、高齢者の登録率が低いことがあります。政府は、高齢者が利用する年金口座をひも付けることができれば、登録率の向上につながると考えているんです。
また、政府は年金口座とひも付けすることで、自治体の窓口で相次いでいる誤登録の防止につながると説明しています。
マイナンバーカード自体の見た目は、何か変わるんですか?
現在のカード、実は氏名のところに読みがながふられていないですよね。
確かにそうですね。
それが今後は、氏名に読みがながふられるようになります。同じく2日、戸籍の氏名に読みがなを付ける戸籍法の改正法も賛成多数で可決・成立したことなどに伴うものです。
これによって、マイナンバーと読みがなの情報が関連づけられ、金融機関の口座の照合の精度がより増すなどとして、現在起こっているようなトラブルの防止にもつながるのではないかという期待もあるんです。
いったいどういうことですか?
デジタル庁は、公金受取口座のトラブルについて、マイナンバーには氏名の読みがなの登録がないことから、読みがなで登録されている金融機関の口座とシステム上、照合ができないことが人為的なミスの防止につながらなかったと見ているんです。
読みがなが加わることを受けて、今後デジタル庁では、誤登録防止に向けたシステム改修を行うことにしています。
個人情報の流出につながるミスが相次いでいるので、トラブルへの対策はしっかりと進めてほしいです。
マイナンバー制度は、デジタル技術の活用で利便性向上につなげるのが大きなねらいですが、相次ぐトラブルで制度への信頼が揺らいでいます。
再発防止に向けてどのような対策を行っていくのか、国民の不安にいかにこたえていくかが問われていると思います。
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