NEW2023年03月03日

オートロックでも?広がる「置き配」

外出中でも自宅の玄関先などに荷物を届けてくれる「置き配」。ネット注文でも置き配を選択できたりと、ここ最近、存在感を増してきました。荷物の配達をめぐる最新事情、藤原哲哉記者、教えて!

置き配は便利そうだけど、オートロックのマンションでは難しいですよね?

それが違うんです。今オートロックでも置き配を広げようという動きが加速しています。

このうち、アマゾンジャパンと、三井不動産レジデンシャルリースは、オートロックのマンションで置き配のシステム導入を拡大すると発表しました。

藤原記者
藤原記者

でもせっかくのオートロックなのに、セキュリティ面は大丈夫なんですか?

この仕組みでは、マンションに到着した配達員は現地に着くと、まずは荷物に添付されたQRコードなどを専用のアプリで読み込みます。

すると、あらかじめ業者側が登録していた配達スケジュールや配達先の位置情報と合致しているか、システム上で確認が行われるんです。

藤原記者
藤原記者

荷物を届けた人のいわば“本人確認”を行うというわけですね。

そうですね。ちゃんと確認ができれば、配達員がアプリによってマンションのオートロックを解除できる仕組みです。

もちろん配達の時間帯以外には解錠できないということです。

藤原記者
藤原記者

そうなんですね。

このほかにも、オートロックのマンションでも置き配ができるよう、ヤマト運輸が首都圏の一部で別のシステムを導入しているほか、日本郵便も導入に向けた検討を進めています。

また、個人や業者向けの保険もあるんです。置き配で置かれた商品が雨にぬれるなどして破損したり、盗難されたりした場合の損害を補償するのがねらいです。

藤原記者
藤原記者

戸建ての住宅では、玄関先などに専用の箱が設置されているのをよく見ます。

「宅配ボックス」ですね。

これも一種の置き配と言えそうです。

コロナ禍で非接触で荷物を受け取りたいというニーズが高まったことに加え、宅配業者を装った強盗事件などへの不安なども背景に、こちらも利用が増えているそうです。

藤原記者
藤原記者

勝手に開けられたりしないですかね?

メーカーの間では、セキュリティーを重視した宅配ボックスの開発が進んでいます。

このうち、大手住宅メーカーの大和ハウス工業はポストなどを製造しているメーカーと、防犯カメラの機能がついたインターホンと宅配ボックスが一体化した製品を開発しました。

藤原記者
藤原記者

一体、どんなものなんですか?

配達員がインターホンについている専用のボタンを押すと、宅配ボックスに荷物を入れるよう自動でメッセージが流れます。仮に家にいたとしても、配達業者と直接会話することなく、荷物を受け取ることができるというメリットもあるそうです。

宅配業者の人が、荷物をボックスに入れる様子などは防犯カメラで撮影されていて、スマートフォンなどで後から簡単に確認することもできるそうです。

藤原記者
藤原記者

置き配や宅配ボックスの利用が増えると、業者の側も再配達の負担が減りますね。

そうなんです。ネット通販の普及で宅配便の数は右肩上がりに増え続けていて、国土交通省によるとこの5年だけで23%も増えました。

一方で、再配達となる荷物の割合は10個に1個と高止まりの状態が続いていて、業者側の大きな負担になっているんです。物流に詳しい流通経済大学の矢野裕児教授はこのように話しています。

「3回、4回と繰り返し運んでも不在で届けられないというケースもある。ドライバー不足の問題は非常に深刻で、なり手がいない上、高齢化も進んでいる。今後、極端にいうと3割の物が運べないということが起きかねない状況だ。宅配便はすでに、われわれの生活インフラになっていて、利用者側も含めて持続可能な形にしていくことが、非常に重要だ」

藤原記者
藤原記者

利用者側も、考えなければいけない問題なんですね。

物流業界では、来年4月から、トラックドライバーの時間外労働の規制が強化されます。人手不足が一層深刻になり、輸送できる荷物の量が減少すると懸念されていて、「2024年問題」とも呼ばれています。

今後は、従来のように荷物が翌日には届く…というサービスは難しくなるかもしれないとも言われていますから、私たち一人一人も、できることから協力していきたいですね。

藤原記者
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