どうなる電気料金

いよいよ冬本番。暖房やヒーターが暮らしに欠かせないですよね。そうしたなか気になるのが電気料金。冬は使用量が増えて、電気代が高くなる傾向にあるんです。さらに電力各社が春以降、値上げをするというニュースも。今後の電気料金は一体どうなるのか?エネルギー担当の佐々木悠介記者教えて。

そもそも今、電気料金はどうなっているんですか?
電力各社が発表した3月請求分の平均的な家庭の電気料金は次のとおりです。

家庭向けで1キロワットアワー当たり7円が補助される政府の負担軽減策によって、電気料金は1月に使用し、2月に請求される分から前の月に比べて2割程度値下がりします。平均的な家庭では1600円から1800円ほど値下がりする計算です。


ただ冬になって電気代が高くなった気がしますが。
それは「平均的な家庭」の電気料金は、1年間を通して同じ使用量を前提にしているからです。
実際には冷暖房などで電気を多く使う季節もあれば、使わない季節もありますよね。
総務省の家計調査を見ると、このことがわかります。全国の2人以上の世帯の電気代は、2月の使用分が多く含まれる去年3月が1万6273円と、直近の1年間で最も高くなっています。
一方、6月の使用分が多く含まれる去年7月は9869円。およそ6400円の開きがあって、冬の時期が1年間で電気代が高くなる傾向があるんです。


それでも1万6000円ですか。実際にはもっと高いと感じる人も多そうですね。
そういう人は自分の契約プランをチェックしてみたほうがいいと思います。
電気料金には、値上げの際に国の認可が必要な「規制料金」と、電力会社が独自に決められる「自由料金」があります。どちらもロシアのウクライナ侵攻をきっかけに燃料費が高騰しているため、値上がりが続いています。

ただ「規制料金」は消費者保護の観点から値上げに上限が設けられているのに対して、「自由料金」には上限がありません。このため、選んだ料金メニューによっては、ニュースなどで目にするより電気料金が値上がりしたという家庭も出ています。
実際に電気料金が去年の同じ月に比べて、1.8倍の月10万円になった家庭もあります。本来割安になるはずだった自由料金のプランが、規制料金より高くなり、メリットを受けにくい状況になっているのです。


今後、電気料金はどうなるのでしょうか?
電力会社は電気料金の値上げを相次いで国に申請しています。これまでに申請した大手7社のうち、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の5社は、ことし4月からの値上げを、東京電力と北海道電力はことし6月からの値上げを申請しています。
値上げの幅は国の審査で決まりますが、各社が申請した時点では平均で28%から45%になっています。


政府の負担軽減策もあるけど、差し引きどうなるのでしょう?
政府による負担軽減策で、1月使用分から8月使用分までは2割ほど値引きされますが、政府は9月使用分から段階的に補助額を縮小することにしています。
このため電力各社が値上げをしたあと、さらに補助額が減ることで、家計負担が増える可能性があります。


電気料金はこの先も高い状態が続くのですか?
私が注目するポイントは3つあります。

1つは為替レートです。火力発電の燃料となるLNG=液化天然ガスや原油、それに石炭はほとんどを海外から輸入しています。去年10月に円相場が1ドル=150円台に値下がりしましたが、直近では1ドル=130円前後で推移しています。為替の動向がどうなるかが電気料金を大きく左右します。
また、エネルギー価格そのものがどうなるかも注目です。今、電気代が高騰しているのは、3か月から5か月前の最も高い時期の燃料価格が反映されているためです。LNGの価格はヨーロッパなどの暖冬が原因で値下がりしています。今後、この動きがどうなるかが注目されます。
さらに原子力発電所の再稼働も電気料金に大きく関わってきます。原発が再稼働すれば、その分だけ電力会社の燃料コストが下がり、料金の引き下げにつながります。実際、複数の原発が稼働している関西電力と九州電力は現時点で値上げの申請を見送っているほか、北海道電力も泊原子力発電所が再稼働すれば、電気料金を値下げすると表明しています。
政府はエネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現に向けて原発を最大限活用する方針を打ち出していて、こうした議論の行方にも今後、注目していきたいと思います。

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