経済復活のカギ!? “強制貯蓄”ってなに?

新型コロナウイルスの影響が長期化する国内の景気。そんな中、日本経済の“復活”に向けて日銀が注目しているのが「強制貯蓄」です。それって一体なんのこと?
7月21日の「ニュース シブ5時」で永野解説委員が解説しました。
阿部
「強制貯蓄」ってなんですか?
永野解説委員

コロナ禍の中で、外食や旅行などができず、いわば強制的に蓄えられた個人のお金のことです。
日銀が経済の予測などをまとめた「展望レポート」で初めて公表しました。
守本
なんで日銀が注目しているんですか?
永野解説委員
日本では、GDP=国内総生産の半分以上を個人消費が占めています。日銀は「強制貯蓄」の動向が今後の個人消費に少なからぬ影響を与えると見ているんです。日銀が消費や所得に関する統計をもとに行った試算によりますと、強制貯蓄の金額は去年1年間で実に20兆円程度に膨らんでいるとしています。可処分所得、大ざっぱに言って「給与の手取り分」の約7%に当たるということです。ちなみにこの強制貯蓄は、現金10万円の一律給付を含んでいません。日銀は、今後ワクチン接種が進むにつれて、待機している20兆円規模のお金が緩やかに取り崩されていき、個人消費の回復につながると見込んでいます。いわゆる“リベンジ消費”が期待されるというわけです。
阿部
でも、日本人って貯蓄志向が強いですよね。この先何が起きるかわからないし、ぱーっと使おうという気分にもなりにくいような…。
永野解説委員
まさにその点が重要です。実は、この「強制貯蓄」がいつ、どのくらいのペースで取り崩されて消費に回るのかは、専門家の間でも見方が分かれていて、正直なところ「わからない」んです。なので、街に出て、実際に聞いてみました。
「旅行に行かない分、貯蓄が増えた。ハワイ旅行に使いたい」(主婦・24歳)
「出費が減った分で、いつか友人たちと国内旅行をしたい。海の幸を楽しみたい」(男性・77歳)
「旅行などに使いたいけど、その必要がなければ貯蓄のまま」(主婦・68歳)
「今後どうなるかわからない。お金を使う計画を立てられない」(主婦・69歳)
「たまったお金を使いたい」という方はいましたが、いずれも「感染が収束し、安心できる状況になったら」という条件付き。財布のひもを緩めるのを考えるにはまだ早いーーー。全体的にはそんな印象でした。

「強制貯蓄」に加えて、もう1つ、日本経済を読み解くキーワードをご紹介しておきます。それが「予備的貯蓄」です。将来への備えとして貯めるお金、つまり消費に回りにくいお金のことですが、将来不安が根強いままだと、「強制貯蓄」は「予備的貯蓄」に移る可能性もあります。
守本
強制貯蓄を消費の活性化につなげるために、何が必要でしょうか?
永野解説委員
感染の収束に向けた道筋をつけることが何より大事です。そのためにも、東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに感染がさらに拡大するという事態は避けなければなりません。先行きが不透明なままでは、貯蓄が消費に回るという経済の好循環は生まれにくいですよね。また、街で話を伺った方からは「余裕が無くて貯蓄どころじゃない」という切実な声も聞かれました。強制貯蓄が積み上がる一方、生活に困っている人たちへの切れ目ない支援も、コロナ禍が長引く中でいっそう重要になってくると思います。
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