30兆円も使われなかった?予算繰り越しの理由は
私たちの税金でまかなわれている国の予算。
昨年度=令和2年度は30兆円余りが使われなかったそうです。
一体なぜ?
永野解説委員が解説します。
30兆円…すごい額ですね。
永野解説委員
そうですよね。
7月30日に財務省が発表した、昨年度の一般会計の決算で明らかになりました。
年度内に予算が使われず、今年度に繰り越された金額は、実に30兆7804億円。
平成24年度の7兆6000億円余りを大きく上回って、過去最大です。
昨年度、国は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策などとして、当初予算に加え3度にわたる補正予算を編成しました。
一般会計の総額は175兆円を超える規模に膨らみましたが、5分の1近くが使われなかった形です。
なぜ使われなかったのですか?
永野解説委員
財務省は大きく2つの理由をあげています。
1つめは、ことし1月に成立した第3次補正予算を執行できる期間が短かったことです。
実質無利子・無担保の融資など、企業の資金繰りを支えるための経費は6兆4140億円が繰り越され、事業別の繰越額では最も多くなりました。
また、売り上げが減少した中小企業の業態転換などを支援する「事業再構築補助金」も、執行期間の短さから、繰越額が1兆1485億円に上りました。
2つめの理由は、感染拡大などで事業を想定どおりに進められなかったことです。
営業時間の短縮要請に協力した飲食店に支払う経費は、3兆3115億円が繰り越されました。
都道府県の事務作業が追いつかなかったことが要因とみられます。
需要喚起策のGo Toトラベルについても、事業が停止されたことで、1兆3353億円の経費が繰り越されました。
使われなかったお金は、今後どうなるのですか?
永野解説委員
国の予算は「単年度主義」と言って、年度内にちゃんと使い切ることが原則になっていますが、財政法では、不測の事態で予算が執行できなかった場合に限り、次の年度に繰り越すことを認めていて、政府は今年度に予算を繰り越すことにしました。
企業の資金繰り支援策や事業再構築補助金などの事業は継続されていますので、繰り越した分も含めて今後着実に予算を執行していくというのが政府の立場です。
足もとで再び感染が急拡大する中、影響を受ける事業者などに対し、必要な資金をいかに迅速に行き渡らせるかが改めて課題になっていると言えます。
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