NEW2020年07月16日

テレワーク、続けてますか?

新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務やテレワークを取り入れた職場が多いと思います。

その一方で、最近の調査会社のアンケートでは、2割以上の企業が「一時、実施したが、すでにやめた」と回答しました。

いざ始めてみたのにどうしてやめてしまったのでしょうか? 経済部の柴田明宏記者に聞きます。

緊急事態宣言が解除されたあと、通勤電車が混み始めたと思っていましたが、在宅勤務やテレワークをやめてしまった企業もあるようですね。

柴田記者

民間の調査会社「東京商工リサーチ」は6月29日から7月8日までに、企業に対してインターネット上でアンケートを行い、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、在宅勤務やテレワークを導入しているか尋ねました。(約1万4000社が回答)

▽現在、実施している 31%
▽一度も実施していない 42%
▽感染拡大で一時実施したが、すでにやめた 26%

現在、在宅勤務を実施している企業が30%以上ある一方で、「やめてしまった」企業が26%あることがわかりました。

調査した会社は「緊急事態宣言の解除で、在宅勤務やテレワークを縮小したところはあると思ったが、やめたと回答するところがここまで多いとは思わなかった」と話していました。

なぜやめてしまったのでしょうか?

柴田記者

調査会社への回答では、企業から以下のような声が寄せられました。

▽自宅で会社の情報を扱う際にセキュリティーのシステムが確保できない。
▽テレワークを使いこなせない社員が多く、社内に浸透できない。
▽社員が自宅にいるので業務の様子がわからず、社員の労務管理や評価がしにくかった。

都内にある、従業員およそ10人の商社に話を聞いてみると、感染拡大でいったんテレワークを導入したものの、営業先や仕入れ先に対して対面での業務が必要だったり、会社に保管している図面を参照するため出勤する必要があって、いまはとりやめているということでした。

この会社では「感染防止対策のため、いまは時差出勤は続けています。テレワークを再開するかは様子をみたい」と話していました。

やはり規模の小さい企業は、在宅勤務やテレワークの導入は難しいのでしょうか?

柴田記者

「やめた」企業について、規模別の割合を見てみると、必ずしも小さな会社ばかりではないようです。

先ほどのアンケート、資本金が1億円以上の大企業2400社に限って集計してみると、

▽現在、実施している 55%
▽一度も実施していない 15%
▽感染拡大で一時実施したが、すでにやめた 29%

規模の大きい企業は確かに「実施している」が半数を超えていますが、「やめた」企業の割合は、実は全体の集計と大きな違いはありません。

調査した会社は「本来は在宅勤務のために会社の規則を変える必要があるが、緊急事態宣言時では特例として認めていたものの、解除されたことで、規則の変更が必要になっている企業も多いのではないか」と話しています。

今後、在宅勤務やテレワークに前向きな企業が規則を変えていき、再開する動きも出てくるかもしれないと、調査会社ではみています。

そもそも3割の企業は、今でも続けていると回答していますもんね。

柴田記者

そうですね。在宅勤務やテレワークといった働き方が広がりつつあるのは間違いないと思います。

緊急事態宣言の解除のあともテレワークを継続している企業も多く出ています。「これまでの通勤時間を有効活用できる」、「子育てや介護とも両立できる」などというメリットも聞かれます。

IT大手のヤフーはこの10月に就業規則を変え、テレワークの回数制限や定期代の支給をなくし、通信費などの補助として月7000円の手当を支払うことを発表しました。会社全体で新しい働き方を進めようとしていることがわかります。

「ウィズコロナ」とも言われる中で、政府は、感染防止と経済活動を両立するためにも、テレワークの活用を促しています。

一方で、普及に向けて課題が見えてきた中で、こうした働き方を浸透させるためにも、環境を整えるための支援も望まれていると思います。