業界再編!? ホームセンターの勢力図はどう変わる
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幅広い商品がそろうホームセンター。新型コロナウイルスの影響でテレワークに対応した商品や長時間家庭で過ごすための商品を買い求める客が増え、その役割が改めて見直されています。このホームセンター業界で、東証1部上場企業どうしの再編の動きが出てきました。「ホームセンタームサシ」を展開する新潟県の「アークランドサカモト」が、首都圏に多くの店舗をもつ「LIXILビバ」の買収に向けて、TOB=株式の公開買い付けなどを行うということですが、こうした動きの背景には何があるのでしょうか。経済部の新井俊毅記者、教えてください。
新型コロナウイルスで観光や外食産業をはじめ多くの業種が打撃を受けていますが、ホームセンター業界には追い風が吹いているんでしょうか?
新井記者
自宅にいる時間が長くなったことで、生活用品のほかDIY(Do it yourself)と呼ばれる、いわゆる日曜大工や園芸品などの需要が高まっています。こうした状況は幅広い商品がそろうホームセンター業界にとっては追い風といえます。
ホームセンター各社が公表している毎月の売り上げを見ると、ことし2月ごろに伸び始めたことがわかります。そして5月は、各社とも大きく売り上げを伸ばしました。既存店舗で比較した前年同月比の伸び率は、ホーマックやカーマなどのホームセンターを展開するDCMホールディングスが15.6%、コメリが17.5%など軒並み好調でした。今回、買収を表明したアークランドサカモトも21.1%と売り上げが急増しています。
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私も5月、自宅近くのホームセンターの前を通りましたが、いわゆる3密を避けるために入場制限を行い、長い行列ができていました。人気の高まりを実感しました。
そうすると、今後もホームセンター業界は成長が見込めそうですね。
新井記者
今の状況が長続きするかどうかはわかりません。
ホームセンターを運営するある会社の幹部は、足元の状況を「一時的な需要増加だ」として、今後も売り上げが伸び続けるかどうかは不透明だと述べていました。というのも、新型コロナウイルスの感染が拡大する前は、業界を取り巻く環境が厳しかったからです。
ホームセンターという業態は1970年代に誕生し、そこから成長を続けてきましたが、2000年代半ば以降、店舗の数が増えているにもかかわらず、市場規模は4兆円近くでほぼ横ばいの状態となっていました。
最近は、ドラッグストアやネット通販などとの競争に加えて、消費税率の引き上げの影響などもあって、売り上げが伸び悩んでいました。
ただ、新型コロナウイルスとの共存を迫られる新しい日常が始まり、ホームセンターの役割が改めて見直されているのも事実です。コロナ時代の生活様式や働き方がどう変わるのか、それが長期的に定着するのかということも、業界の成長を左右することになると思います。
それでは、今回のアークランドサカモトによるLIXILビバの買収は、業界にとってどういう意味があるのでしょうか?
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新井記者
2点あります。1つは、地方を基盤とする企業が、首都圏に本格的に進出するために買収という手段を選んだことです。ホームセンター業界では、国道沿いの広い敷地を活用して店舗を展開するケースが多く、アークランドサカモトのように、地方に拠点を置く有力な企業もあります。
アークランドサカモトは、去年8月に関東では初めて、埼玉県に出店し首都圏の市場に足がかりを築いたばかりでした。人口減少で地方の市場が縮小する中で、今回のように、買収によって成長が見込まれる首都圏での事業を一気に拡大するという動きが出てくるかもしれません。
もう1つは、今回の買収が、いわば小が大をのむという形となったことです。買収の方針を発表する前日の終値をもとに計算した時価総額は、アークランドサカモトが500億円程度、LIXILビバは1100億円程度でした。
実質無借金経営を続けてきたアークランドが取引先のメガバンクから1000億円余りを上限にした大規模な資金の借り入れを行い、大勝負に打って出た形です。
今後も業界再編の動きは続くのでしょうか?
新井記者
ホームセンター業界の再編をめぐっては、大阪に本社を置くコーナン商事が、3年前に神奈川県を地盤とするホームセンター、ビーバートザンを買収するなど、活発な動きをみせています。
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9日の記者会見でも、LIXILビバの渡辺修社長は、ほかのグループとの連携を問われ、「われわれが作りあげる理念をともにする前提で、仲間を広げることも、両社が統合していく1つのテーマだ」と語り、アークランド・ビバ連合がさらなる再編を進める可能性を示唆しました。
今回の新潟の有力企業の本格進出でホームセンターの勢力図がどう変わるのか。ホームセンターの役割が改めて見直される中で、さらなる再編につながるのか注目されます。
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