NEW2020年03月06日

中小企業は悩まず相談を

新型コロナウイルスの感染拡大で客足が大きく減り中小企業や個人事業者の多くがこの厳しい状況をどのようにして乗り切るか頭を悩ましています。特に資金繰りを確保することは切実な問題。国や地方自治体、金融機関が資金繰りなどの支援策を相次いで打ち出しその内容も多岐にわたりますが、一体どこに相談すればよいのか。経済部の新井俊毅記者に聞きます。

最近、行きつけの居酒屋を訪れたら、店長が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが4割も減ったと肩を落としていました。

同じような悩みを抱える企業は多いはずです。影響がいつまで続くのか見通せないのが一番つらいところですが何とかして乗り切ってほしい。店長にはどのようにアドバイスしたらいいですか。

新井記者

経営の悩みといっても、当面の資金繰りのほか従業員の雇用や取引先との関係、ウイルス対策など事業者によって悩みはさまざまだと思います。経済産業省はホームページに「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」というパンフレットを作り、支援策を随時、更新しています。

ここには中小企業向けのさまざまな支援策や窓口の連絡先が載っています。ちなみに店長は売り上げが減ったということでしたがどんなことに悩んでいましたか?

お店の賃料や材料の仕入れ代金などの支払いがきちんと出来るかどうか気をもんでいました。

新井記者

それだと「資金繰り」に関する相談になりますね。さきほどのパンフレットには例えば、資金繰り支援策として「セーフティネット保証4号」と呼ばれる制度が載っています。今回のように突発的な事由で経営に支障が出ている場合に各地の信用保証協会が中小企業の借入金を100%保証する制度なんです。売り上げなどが前の年の同じ月と比べて20%以上減少しその後も落ち込みが見込まれる中小企業が対象。通常とは別枠で、2億8000万円を上限に全額が保証されるため金融機関から融資を受けやすくなるメリットがあります。

また「セーフティネット保証5号」という制度もあります。売り上げなどが前の年の同じ時期より5%以上減少している中小企業を対象にしたもので借入金の80%を保証します。旅館やホテルのほか飲食店やフィットネスクラブ、エステなどの業種も対象に含まれています。あなたが行ったお店は、料理店だから、条件を満たせば支援を受けることができるはずです。

「4号」も、「5号」も、お店や会社がある市区町村の窓口で申し込み金融機関や信用保証協会に書類を持って行けば、資金の提供を受けることができます。パンフレットには、このほかにも資金繰り支援のためのさまざまな制度が掲載されています。

そういえば店長、一時的に従業員を休ませることも考えているようでした。

新井記者

そうした従業員の雇用についての悩みも相談に乗ってくれます。今回の事態で従業員が一時的に休業するようなことになった場合中小企業であれば休業手当や賃金の3分の2が助成される制度があって条件など詳細はパンフレットに載っています。窓口の連絡先も出ているので、まずは近くの窓口に電話してそこでどの制度を使えばいいか紹介してもらうといいと思います。

さっそく店長に教えてあげたいです。国の制度があるのは分かったけど、民間の金融機関からはどのような支援が受けられるですか。

新井記者

政府系・民間ともに金融機関も対応に動いています。金利を優遇する特別融資を始めているところもあります。ただ、これから年度末にかけては新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中小企業などの資金繰りが厳しくなることも心配されています。

6日は麻生副総理兼金融担当大臣が、民間の金融機関に対して状況に応じて金利を下げたり、返済期間を変更したりするなど貸し出し条件の変更に柔軟に応じるよう求めました。本当に実施されているかチェックし、その状況を公表するとまで言っています。 国の制度を利用しながら、普段付き合いのある金融機関の窓口に相談してみるのも手だと思います。

それから国は「よろず支援拠点」という中小企業向けの無料の相談所を全国に設けていて中小企業診断士や税理士、弁護士などがいろいろな相談に乗ってくれるようです。

地域の商工会議所や商工会にも相談の窓口が設けられています。

経験したことのない事態に直面しダメージを受けている中小の事業者は多いと思います。 中小企業の支援にあたっている団体の幹部は「窓口はたくさんあるのでひとりで悩んだりせずに専門家に相談してほしい。早めに相談して支援を受けられれば厳しい状況を乗り切ることもできるはずだ」と話していました。

店長には、支援の制度を活用して厳しい状況を乗り切ってほしいですね。そして1日も早くお店に活気が戻ってほしいです。