NEW2019年09月02日

銀行員がスーツを捨てた?!

夏でもスーツを着て営業!銀行マンといえばそんなイメージないですか?でも今、変化の兆しです。大手銀行のひとつ、三井住友銀行が、勤務中の服装に関して「スーツ着用」の原則を見直し、自由な服装を認める取り組みを本格的に始めたのです。IT企業などと比べると“お堅い”イメージのある銀行ですが、いったい何が起きているんでしょうか。銀行業界担当の野口恭平記者、教えて!

自由な服装って、どこまでOKなんですか?

野口記者

ひとまず東京と大阪の本店に勤務する行員およそ7000人が対象で、Tシャツやポロシャツ、ショートパンツにスニーカーという格好でも認めるということです。

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実は三井住友銀行では、8月まで自由な服装を試験的に認めていました。そしてアンケートをとったところ9割の行員が「続けてほしい」と希望したことから、1年を通じて自由な服装を認めることになったのです。

私が日ごろ接している広報担当者も、この夏、Tシャツにショートパンツ姿で現れたこともあったんですよ。

え?では、振り込みなどを受け付けている窓口の人もこれからTシャツに短パンといった格好になるのですか?

野口記者

全員がカジュアルな服装というわけではないようですよ。三井住友銀行に聞くと「大事な商談などでは従来どおりワイシャツやスーツだと思う」と話していました。

ただ、ケースバイケースで行員みずからが自由に判断できるそうです。今は本店だけですが、今後は各地の支店でも、支店長などの判断で自由な服装を認めるそうです。窓口でポロシャツ姿の担当者に対応してもらう場面も登場するかもしれません。

スーツを着た身だしなみは、「信頼感がある」というイメージがあるからか、銀行マンの象徴のようにも思えますけど、自由な服装を認めるのはどんな目的なんですか。

野口記者

三井住友銀行は「従来からの発想にとどまらず、自由な発想で斬新なビジネスモデルを生み出したり、新しい分野に挑戦する雰囲気になったりしてほしい」という考えがあるようです。

服装を変えるだけでそういう効果があるといった分析結果があるわけではありませんが、自分の気分にあった服装でいろいろ考えると、ストレスからも解放されて、今までにないアイデアが出そうだなと感じます。

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こうした取り組み、いま銀行業界でじわじわと広がっていて、静岡銀行では8月から店舗も含めて自由な服装を認めています。

また福井銀行でも本部の社員などを対象に「原則スーツ着用」というルールをやめているそうですよ。

へえ~、銀行も変わろうとしているんですね。

野口記者

いま銀行業界は、超低金利の状態が長く続いて利息収入が減っていたり、キャッシュレス決済などで異業種との競争が激しくなっていたりして、経営環境がとても厳しいと言われています。

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銀行業界全体で新しい発想が求められていると思います。スーツ着用の原則をやめた三井住友銀行も、経営トップが「カラを、破ろう。」というスローガンを掲げていて、ことしに入ってから営業担当者に与えていた従来のノルマを廃止するなど仕事のやり方を見直しています。

銀行業界はスーツと一緒に固定観念を脱ぎ捨てて変化を起こせるのか、大事な局面に来ていると思います。