サンマが異例の不漁!なぜ?

秋の味覚、新サンマ、ことしはもう召し上がりましたか?まだという方が多いのではないでしょうか。ニュースでは「不漁」の報道が目立ちます。ことしもサンマはとれないのか、経済部で水産業の取材を担当している岡谷宏基記者に聞いてみます!
ことしもサンマが取れないと、最近よくニュースで聞きます。どんな状況になっているのでしょうか?
岡谷記者
今は8月下旬。例年、この時期は新サンマが店頭に並びますが、ことしは出始めが遅く、量が少なく、価格が高いという、サンマ三重苦のような状況です。
もう少し詳しく言いますと、サンマの漁は、例年8月上旬から、船の大きさごとにスタートします。はじめにスタートした小型船の漁獲は、なんと、ほぼゼロ。その後にスタートした中型船も水揚げ量が非常に少ない異例の状況でした。

そして8月26日には、全国一のサンマの水揚げを誇る北海道根室市の花咲港に、大型船の初めての水揚げがありました。ようやくまとまった量があがりましたが、水揚げ量は去年よりも少ない状態にとどまっています。1週間ほどかけて、北太平洋の公海まで繰り出し、サンマがかろうじて取れた状況です。
関係者は「ここまでサンマがいないのは異例で、しばらく苦労は続きそうだ」と話しています。
うーん、ことしはなぜここまで不漁なんでしょうか?
岡谷記者
その大きな理由は、サンマの資源量、つまり海にいるサンマの量そのものが減少しているからなんです。下は国の研究機関が、ことし日本近海に来遊するとみられるサンマの量を推計したグラフです。

ことしは96万トン。去年よりは、3割少ない見通しで、2003年に調査が始まって以降、過去2番目に低い水準です。ただ、およそ半世紀ぶりの深刻な不漁となったおととし、2017年は上回る見通しです。サンマの不漁は、ことしだけの話ではなく、ここ数年、続いている傾向なんです。
資源量の減少に加えて漁獲を難しくしているのが、サンマの群れが沖合に来遊していること。従来、沿岸のサンマを取っていた小型船が操業できる範囲にサンマが来ない状況が続いています。海流の流れが沖合に形成されていることなどが沿岸にサンマが来ない要因だと見られていますが、詳しいことはわかっていません。
ことしは、このままサンマが取れにくい状況が続くんでしょうか?
岡谷記者
ちょっと複雑なんですが、9月下旬ごろにはサンマの取れる量が増えるのではないかという見方があります。ポイントになるのは、サンマが分布している「海域」。1区と2区に分けられています。

1区にいるサンマが日本に近く、より早く来遊する群れなんです。ことしの調査では、1区がゼロ。深刻な不漁だったおととしでも23万トンありました。このため、国の研究機関では、9月中旬ごろまでは、サンマの群れがほとんど見つけられず、深刻な不漁になると見込んでいます。
一方、2区にはおととし以上のサンマの群れがいるため、その後は漁獲量が持ち直してくる見通しですが、2区に分布するサンマが日本近海にやってきて実際に漁獲できるのは9月下旬以降とみられています。これが、9月下旬ごろにはサンマの取れる量が増えるのではないかと推測される理由です。
ただ、漁獲が持ち直しても、ことしは日本に来遊してくる量がそもそも去年よりも少ないため、漁獲が大幅に増える要素はなさそうです。
さらに、ことしのサンマは、体が小さいと指摘されています。研究機関の調査では去年は120グラムを超えるサンマが多く見られましたが、ことしはほとんどが100グラム前後と、体重が軽いサンマが多いと推計されています。こうしたサンマの質や漁獲が増えてくるかどうかが、サンマの価格にも影響を与えそうです。
関係者は「今後、漁獲が増えてくれることを期待するしかない」と不安げに話します。
こうなってくると、サンマの将来も心配です。
岡谷記者
日本政府もサンマの資源量の減少を懸念していて、サンマを漁獲している国や地域が集まる会議で、日本が主導し漁獲量の規制を初めて導入しました。取る量を減らして、資源の回復を進めるねらいです。
サンマは、30年ほど前までは、日本の漁獲がほとんどを占めていましたが、台湾や中国などでも人気が高まり、各国が漁獲を伸ばしてきていて、取り合いの状態です。
食卓にあがる身近なサンマですが、国際的な連携ができるかが、漁獲にも大きな影響を与えそうです。今後も適切な価格でサンマが味わえるかどうか、注目していきたいと思います。
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