NEW2019年09月03日

プレミアム商品券 どうすれば手に入る?

「プレミアム付き商品券」をご存じですか?最近、自治体から申請書が自宅に届いて、何を買おうか考え中という人も多いのではないでしょうか。この商品券、消費税率の引き上げに伴う景気対策として実施される事業の1つですが、いったいどんな商品券なんでしょうか。経済部の坪井宏彰記者に聞いてみます!

プレミアム商品券って、ことばは聞いたことありますが、実際どういうものなんですか?

坪井記者

消費税率が引き上げられる影響で人々の消費が落ち込まないようにする、「景気対策」として導入されるのが「プレミアム付き商品券」です。消費税率の引き上げによる負担感が相対的に大きいとみられる世帯の負担を軽くするためのものなので、誰でも手に入るわけではなく、「低所得者」と「小さな乳幼児のいる子育て世帯」に販売されます。商品券の発行にかかる1819億円の費用は国が全額を負担し、商品券そのものは市区町村が発行します。

なるほど。それにしても、「プレミアム」ってどういうことなんでしょう?

坪井記者

お得になる、というぐらいの意味でしょうか。商品券は1セット5000円分が4000円で販売されます。1人当たり最大5セット、2万5000円分まで購入できるので、1人当たり最大5000円分得することになります。これが、「プレミアム」なんです。

商品券を購入できるのはどんな人なのか、もう少し詳しく教えてもらえますか?

坪井記者

はい、購入できるのは、住民税が非課税の世帯と、小さな乳幼児のいる子育て世帯です。

【住民税が非課税の世帯】
自治体により基準が異なりますが、例えば東京23区では、世帯主が配偶者と子ども1人を扶養している3人家族の世帯では収入が205万9000円以下、65歳以上で単身の年金受給者では収入が155万円以下などが目安になります。

【子育て世帯】
2016年4月2日からことし9月30日までに生まれた、0歳から3歳半の子どもがいる世帯が対象となります。このほか、20歳以上で、親の扶養に入らず独立して生計を立てている1人暮らしの大学生も含まれる場合があります。これらを合わせると、対象者は国民の5人に1人、全国で合わせて2450万人となる見通しです。

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購入までに必要な手続きはどうなっていますか?

坪井記者

まず、子育て世帯は申請しなくても順次、自宅に購入引換券が届きます。一方、住民税が非課税の世帯は11月ごろまでの間に申請書を提出する必要があり、要件を満たせば「購入引換券」が自宅に届きます。

そして、市区町村の窓口で引換券で商品券を購入し、自治体が認めた店舗で使用できます。商品券が使える期間は最大でことし10月から来年3月末までの半年間で、自治体によって使用できる期間が異なるので、注意が必要です。

また、自治体によっては事務手続き上の理由などで、販売対象にならない世帯にも申請書を送っているケースもありますが、対象世帯でなければ申請しても購入引換券は届きません。

プレミアム付き商品券の発行によってどの程度の経済効果を生むのでしょうか。

坪井記者

プレミアム商品券を柱とした景気対策は、前回・5年前の消費税率8%への引き上げの際にも実施されました。

効果を検証した内閣府の報告書では、「商品券があったから新たに消費した」金額は3391億円。これに対して事業に投入した国の税金は2372億円。差し引きで、消費喚起の効果は1019億円だったとしています。しかし、将来買う予定だったものを早めに買うだけの「需要の先食い」という面もあり、実際の効果はもっと少ないという指摘も出ています。

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国の財政政策に詳しい大和総研の長内智 主任研究員は「対象者と使用期間が限られていることを考えれば、短期的には消費にプラスでも、経済全体への影響は限定的だ。実際の消費効果は事業費の4割以下にとどまるとみられる」としています。

今回の景気対策ではプレミアム付き商品券以外にもキャッシュレス決済でのポイント還元制度などが実施されます。さらに政府は、マイナンバーカードを持っている人を対象に、買い物に使えるポイントを加算する新たな制度の導入を決めました。

それぞれの対策がどの程度、景気を下支えするのか、今後の取材で見極めていきたいと思います。