株主総会 「集中」するのなぜだろう?
ことしの6月27日は上場企業の株主総会の開催のピーク、いわゆる集中日です。多くの企業が各地で一斉に総会を開きました。でも、どうして集中するのだろう?知っていますか。
集中する事情、経済部・証券担当の櫻井亮記者ならば知っていますよね?
はい。株主総会は原則、決算日から3か月以内に開かれることになっています。日本の企業は3月期決算が多いので、6月末が期限です。ことしは28日(金)が6月最後の平日。総会が紛糾して翌日にずれこんでしまうような事態も考えて、念のため、前日の27日(木)に総会を開く企業が多いのです。
へえ。だからこの時期なんですね。でも、そろいもそろって同じ日に開かなくとも…。
いえ。昔に比べると、実はかなり分散しているんですよ。これを見てください。株主総会の集中率のグラフです。
20年前はなんと90%を超える企業が同じ日に開いていたのです。いまは30%まで低下しているんです。
え!?こんなに集中していた時があったのですね!
昔は、総会屋と呼ばれる株主が出席して、議事進行が妨害されないように、企業側が意図的に集中させていた側面もあったのです。総会で株主と積極的に議論するより、いかに短時間でつつがなく総会を終えるかを重視するような風潮もありました。拍手だけで終わりになる「シャンシャン総会」なんて言われたりもしました。
しかし、投資家と経営陣が、会社の将来をじっくり話し合う、対話の場として、認識されるようになってきました。総会が同じ日に集中してしまうと、その議論の機会を逃してしまうことになってしまいます。そこで東証が企業に分散化を呼びかけて、ここまで集中率は下がってきたのです。
もっと分散化できないのかな?
これ以上は、なかなか…という状況ですが、1つのアイデアとしては土日の開催を増やすことです。平日は仕事で出席できない人にも好都合でしょう。ことし6月の株主総会で土日に総会を開く企業はわずか38社しかないのです。
例えば、化粧品メーカーの「ファンケル」は平成10年の上場以来、毎年、総会を土日に開催しています。総会と同じ会場で懇親会を開いたり、キッズスペースを設けたりして家族で参加できるような工夫もしています。「開かれた株主総会」がモットーなんだそうです。
家族で参加できると行きやすそう!企業のイメージアップにもなりそうですね。
そうですね。でも、土日開催は苦労も多いようです。若い株主に参加してもらおうと毎年土曜日に開催をしている「マネックス証券」の担当者は、「実は会場の確保に苦労しています。土曜日は都内で他のイベントも多く、使える会場が限られています。東京オリンピック・パラリンピックを控えて大型会場が不足しています」と話していました。
この証券会社は1年半前から会場探しを始めるそうですよ。たくさんの人が来ると、その分費用もかかりますし、総会の開催に多くの社員が必要になります。総会に行かなくてもインターネットを使った電子投票で、議案の賛否を表明できるようにもなっています。
とはいえ、企業と株主が直接向き合って議論しあう場は、確保されていたほうがいいのは間違いないですよね。いろいろな工夫を続けてもらいたいな、と思っています。
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