NEW2019年06月28日

“タンカン” 知ってる?

突然ですが、皆さん『タンカン』をご存知ですか?国内の産地が鹿児島や沖縄など一部にかぎられる珍しいかんきつ類…のことではありません。日本の景気のことがわかる重要な指標の1つです。日本経済の先行きは「楽観」それとも「悲観」?経済部の日銀担当、峯田知幸記者、サクサク教えて!

はい。まず「短観」は略称です。正式には「企業短期経済観測調査」と言います。長くて覚えにくいから略して「短観」というわけです。

調査しているのは日銀です。3か月に1回、全国の大企業から中小企業までおよそ1万社に「景気はよいですか?」「さほどよくないですか?」「悪いですか?」と尋ねています。

つまり会社を経営している人たちの気持ち(マインド)を調べている調査なんです。

 人の気持ちみたいなあやふやなもの、どうやってまとめるの?

景気が「よい」と答えた企業の割合(%)から、「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて、その数字を指数(ポイント)として公表しているんです。

この指数がプラスになればなるほど、全体的には「景気判断がいい」、マイナスになるほど「景気判断が悪い」ということになります。

へえ、ただ、この短観がどうして重視されているのかしら?

よく言われるのが「歴史」です。短観が始まったのは今から62年前の1957年。日銀の人に聞くと、企業の景気判断を調べる統計では最も歴史があるんだそうです。

もう1つは「回答率の高さ」。アンケートだと回答率60%とか70%とかよくありますが、日銀の短観はなんと99%なんです。景気の「気」は気分の「気」とも言われます。

全国各地のさまざまな企業の“気持ち”をきめ細かく集めてきた歴史ある調査だからこそ、絶大な「信頼」があるようです。海外でも「短観」は「TANKAN」と呼ばれていて、経済の分野では、結構有名みたいですよ。

じゃあ、その景気に関する気持ち、最近はどうなっているの?

最も注目されていて、景気判断の目安とされているのが「大企業製造業」の指数。自動車メーカーとか電機メーカーといったモノづくりをしている大手企業の景気判断なんです。これまでの5年間の指数はこのようになっています。

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ここ最近はじわじわと下がってきているような…。

そうなんです。ここ最近は、日本にとって大事な貿易相手の中国で経済成長が鈍くなってきていること、そしてアメリカと中国が互いに高い関税をかけあう「貿易摩擦」が激しくなっていることで輸出や生産が伸びなくなって、景気判断がだんだんと悪くなってきています。

アメリカ企業が許可なく中国の通信機器大手「ファーウェイ」と取り引きすることも禁止したアメリカ政府の決定が、影を落としているという指摘もあります。

7月1日には6月の調査が発表されます。経済を調査している民間のシンクタンクの予測を見てみると+7~+12。米中の貿易摩擦がこれからも続くんじゃ?と見ている経営者が増えて、景気判断はさらに悪くなると予想しているところがほとんどでした。

んー、この先が心配になってきたなあ。

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G20大阪サミットに合わせてトランプ大統領と習近平国家主席が首脳会談します。貿易摩擦はますます激しくなるのか、解消に向うのかが大きなカギを握っています。短観のこれから+20、+30と上向いてくるのか、はたまた-10、-20と悪くなっていくのか、大阪にいる2人にかかっているといえそうです。