NEW2019年01月09日

なぜ下げる? 太陽光の買い取り価格

国が毎年度決めている、太陽光で発電した電気の買い取り価格が、新年度には、22%引き下げられることになりました。国は、これで一般の家庭の電気料金の負担が抑えられることになる、としています。どういうことなのでしょうか。

太陽光で発電した電気の買い取り価格、以前はもっと高かった気がします。

そうなの。この制度、東日本大震災のあとの2012年度から始まったんだけれど、そのときには事業として発電した電気の買い取り価格は1キロワットアワー当たり40円だった。

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それが、次の年には4円下げて36円になり、その後も毎年、引き下げられて、今年度は18円に。さらに今回、新年度にはさらに下げて、14円になることが決まったの。スタート時に比べると、3分の1くらいにまで下がったことになるの。

どうして、国は急いで買い取り価格を引き下げているんですか?

家庭の電気代が上がるのを抑えるためよ。太陽光などの再生可能エネルギーで発電された電気は、国が毎年決めた値段で、電力会社が事業者から買い取ることを義務づけている。高く買い取ることを約束して、たくさんの会社が発電ビジネスを始めやすくするねらいだったの。

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ただ、高い値段で買った分は、私たち、家庭とか会社の電気代に上乗せされている。太陽光発電の普及が進んだことで、上乗せ額は2兆4000億円(今年度)にまで膨らんでいる。一般の家庭・1世帯当たりの負担でみると、年間9000円を超えていることになるの。太陽光発電は、今後も増えることが見込まれているので、国はこのままでは負担が大きくなりすぎるとして、買い取り価格の引き下げを急いでいるというわけ。

だったらもっと早く、買い取り価格を下げれば良いのに。

そう簡単な話でもないの。あまり価格を下げすぎると、今度は発電を始めようという会社がいなくなってしまい、太陽光発電の普及に水を差すことになる。

国は去年、将来のエネルギーについての計画をまとめたんだけど、その中では再生可能エネルギーを主力にしていくことを目標にしていて、これと矛盾することになるの。だから、太陽光発電がビジネスとして成り立つギリギリのところで、買い取り価格を決めているんだって。国としては、太陽光パネルのコストも下がっているし、3年後の2022年には今の半額にまで減らしたいとしている。

電気代が高いのは嫌だけど、再生可能エネルギーを増やすことも大事。バランスをとってどう両立させていくのかが課題になるね。