NEW2018年11月28日

LINEが銀行業に参入!?

「LINE」が「みずほ」と組んで銀行業に参入することを決めました。想定する名称は「LINE Bank」、2020年の開業を目指します。歴史的な低金利で経営環境が厳しさを増し、人員の削減や店舗の統廃合に取り組む既存の銀行業界。そこにLINEはどんな風穴を開けようというのでしょうか。

LINEはメッセージのやり取りだけでなく、サービスの多様化を図っていますね。

何より大きいのは無料の通信アプリで獲得した国内7000万人を超える利用者ね。この顧客基盤を生かして金融からエンターテインメントまで事業の領域を広げて影響力を増している。

コンビニなどでスマホで支払う決済サービスもすでに始めています。そのうえで銀行参入とは、どんなねらいなのでしょう?

目指すのは、「キャッシュレス時代に合った銀行」。何もかもスマホだけでできるイメージね。

「5年後に当たり前になっていることは何か。それを逆算して便利なサービスを導入したい」(出澤剛社長)と意気込んでいる。

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たとえば、今手がけているスマホ決済の場合、あらかじめ銀行口座やクレジットカードから電子マネーとしてチャージしておく必要があるけど、自前の銀行の口座からもっと簡単にチャージできるようになれば、店舗での支払いや利用者どうしの送金の利便性が増すかもしれない。

また、今回、小口の個人向けローンを手がける方針も明らかにしているけど、これは、決済サービスの利用状況などをもとに信用度合いをはかって、金利を決めるというもの。

銀行免許がなければできないさらなる便利なサービスとは何か、今後の具体策は、お手並み拝見といったところね。

パートナーの「みずほ」にとって、本来、LINEはライバルではないですか?

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それはそうなんだけど、今、IT企業が次々に金融サービスを展開していることについて既存の銀行業界で聞くと、「競争が必要な部分と、協調できる部分がある」という声が多い。

今回、みずほが「協調」を選んだ最大の理由は、「デジタルネイティブ」を中心に新たな顧客を広げること。

デジタルネイティブ…小さいころからネットやスマホが当たり前になっている世代ですよね。

既存の銀行は若い世代を取り込むのが苦手だから、LINEの顧客基盤の恩恵を受けようということね。

ただ、長年培ってきたシステムやノウハウを提供する一方で、肝心の決済データなどを活用した新たな収益源を持って行かれるばかりになると「軒を貸して母屋を取られる」ことになりかねない。ウイン・ウインの関係構築には、工夫がいると思うわ。

世界的にキャッシュレスの流れが加速する中で、既存の銀行とIT大手がどう協調し、競争するのか。今回の連携は、他の銀行の戦略にも影響を及ぼしそう。

利用者の観点からは、便利で安全なサービスに向けた活発な競争を期待したいところね。