NEW2018年11月29日

走行距離に応じて課税?自動車税制の抜本見直し検討

自動車に関する税制が、大きく変わるかもしれません。政府・与党は、2020年度以降の自動車に関する税制の抜本的な見直しを検討することになりました。走った距離や環境性能に応じて課税する、新たな仕組みを導入しようという機運も高まっています。なぜ見直しが必要になっているのでしょうか。

抜本的な見直しって聞くと構えてしまいますが、背景には何があるのでしょうか?

自動車の在り方が大きく変化していることがある。カーシェアリングの普及で、自動車は、「所有するもの」から「共有するもの」に変わってきている。また、電気自動車の普及で、「ガソリンを使うもの」ではなくなりつつあるわ。

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こうした変化の一方で、税金は、いまも「車を持っていること」や「ガソリンの量」などを基準に課税する仕組みになっている。

つまり、自動車をめぐる構造的な変化に対応して、自動車の税金の在り方も変えていくべきではないか、という問題意識があるの。

実際、燃費のよい車が普及するようになって、車の燃料に関する税収は、この7年間で10%、金額にして4000億円減っている。今後は、電気自動車の普及などで、さらに減っていくことも予想される。

こうした危機感から、政府・与党が、抜本的な見直しを検討することになったという訳。

でも、ガソリン代を節約するためせっかく燃費のいい車を買ったのに、税負担が重くなるということになれば、納得できないという人もいるのでは?

税を担当する財務省の念頭にあるのは、道路やトンネルの補修にかかる費用をどう捻出するか、ということなの。

日本では、建設から50年以上たつ橋やトンネルが、今後急速に増える見通しで、維持管理にかかる費用も膨らんでいくと予想されている。車が走れば、それだけ道路も傷むので、車のユーザーに維持費用を負担してもらうのが筋だ、というのが財務省の考え。

燃料などに課税する従来の仕組みでは、十分に費用を捻出できなくなっていることもあって、財務省は走行距離に応じて課税するドイツの仕組みや、二酸化炭素の排出量に応じて課税するフランスの仕組みなどを参考に、水面下で研究を進めていたの。

走行距離に応じて、というけど、どうやって把握するんでしょうか?

ドイツでは、特別な装置を車に取り付け、GPSの位置情報を使って走行距離を計算するという仕組みで課金している。ただ、位置を把握されることには、プライバシーの観点から反発も予想される。

また、走れば走るだけ税金が増えるというのも、例えば、通勤などで使う頻度の多い地方などからは、当然、反対の声が上がる可能性もある。

実際、ネット上では、すでにさまざまな声が出ているの。

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政府・与党は、中長期的な課題として検討することにしているけど、自動車業界の関係者も「簡単に決められるものじゃない」と慎重な姿勢を見せていて、結論が出るまでには時間がかかりそうね。