「ドンキ」 ユニー買収の深層は?

ディスカウントストア大手「ドンキホーテホールディングス」が、総合スーパー「ユニー」の株式を買い取って傘下に収めることになりました。総合スーパーといえば、ネット通販やドラッグストアなどに押されて、厳しい状況にあるのが現実。なぜ、いま買収に踏み切ったのでしょうか?

そもそもドンキホーテは、なぜユニーを買収するんですか?

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ドンキホーテHD 大原孝治社長(左) ユニー・ファミリーマートHD 高柳浩二社長

ユニーが地盤にしている東海地方を中心に店舗網を増やし、事業をスピーディーに拡大させることが最大の狙い。小売業界の競争激化で新たに出店できる余地が少なくなってきている中で、ユニーが展開する「アピタ」や「ピアゴ」の全国190もの店舗を一挙に手に入れられるメリットは大きい。

ユニーの店舗が、ドンキホーテに変わるのかな?

ドンキホーテでは、今後5年以内に、このうち100店舗をめどに、ドンキホーテの迷路のような店内に商品を山積みにするなどの独自の手法を取り入れた店舗に転換する方針。
ディスカウントストアが本業のドンキホーテにとっては、いわゆる“なまもの”=生鮮食品は必ずしも得意な分野とは言えないのだけれど、総合スーパーとしてユニーが培ってきた生鮮食品の調達ルートなどは魅力よね。傘下におさめればグループ全体の品ぞろえを充実させることができるメリットもある。

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ユニーは、ファミリーマートと経営統合したのが、わずか2年前ですよね。

ユニー・ファミリーマートホールディングスは、コンビニ業界で当時3位の「ファミリーマート」と、4位の「サークルKサンクス」を傘下に持つ「ユニー」が平成28年に経営統合して発足したんだけど、その主眼はコンビニ事業の拡大・強化にあった。
発足当時で、ファミマとサークルKサンクスをあわせると店舗数はおよそ1万8000と、ローソンを抜いて、首位のセブンーイレブン・ジャパンに迫る規模になった。
コンビニ業界での競争が激しくなる中で、ファミリーマートとしては一気に規模を拡大しトップを狙える位置につけるには、どうしてもサークルKサンクスが必要だった。
その一方で、業績の低迷が続く総合スーパー事業は必ずしも魅力的ではなかったと言えそうね。

どうして、このタイミングだったのかな?

経営統合後、サークルKサンクスの店舗は順次、ファミリーマートへの転換を進めてきたけど、それがことし11月に完了する予定。今後は、一体化させたコンビニ事業の本格的な成長に向けて商品やサービスの充実に集中していきたいところ。

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ドンキホーテは、去年ユニーと資本業務提携してユニーに40%出資したあと、ことし2月以降ユニーとの共同店舗をつくって、売り上げを増やせる感触をつかんだ。関係者の間では、ドンキホーテとユニーの関係がより強まることは、以前から想定されてはいたんだけど、お互いに機が熟したのが今のタイミングだったということのようね。

ユニー株を売却する一方、親会社のユニー・ファミリーマートホールディングスが、ドンキホーテ側に改めて2000億円以上を出資するんですよね。大規模な投資ですね。

実は、ドンキホーテの店舗運営の手法を導入して売り上げが伸びたのは、総合スーパーだけではなくて、コンビニでも同様に売り上げが増加した。だから、ファミリーマートとしては、ドンキホーテとの関係をここで断ち切ってしまうのはもったいない、むしろこの機会にドンキホーテの大株主になることで、躍進が続くドンキホーテの成長を取り込もうというしたたかな戦略が透けて見える。

一方、ドンキホーテも、今後海外での事業にも力を入れる考えで、大手商社「伊藤忠商事」の傘下にあるファミリーマートから出資を受けて関係を強化することは、まさに渡りに船と言える。

両社では、まずは台湾で展開しているファミリーマートにドンキホーテ流の経営手法を導入することを計画しているそうよ。

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加えて、いま消費者の動向を探る上で欠かせない店舗での買い物のデータも、ドンキホーテと協力すれば、より多く集められるというメリットもあるわ。

コンビニ、ディスカウントストア、総合スーパーという個性の違う3つの業態のタッグが、どんな店舗やサービスを生みだしていくか注目ね。