うなぎのピンチ 秘策の「太化」とは?
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20日は「土用のうしの日」。うしの日といえば、なんといっても「うなぎ」ですが、資源の減少で稚魚が不漁になり、ことしも価格が高騰しています。こうした中、うなぎの価格が下がることにつながるかもしれない養殖業者のある取り組みが注目を集めています。
この時期になると毎年のように、うなぎの価格が高くなっていることが話題になるけど、ことしもなんですか?
そう。これが、うなぎの卸売価格の推移。ことし1月から上がり続けて、5月には1キロあたり5378円に。去年の同じ時期と比べると、3割以上も値上がりしているんだって。
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3割以上!それはちょっと厳しいですね。ますます手が届きにくいものになってしまいそうですけど、なんとかならないんですか。
対策を考えている人たちはいるの。宮崎市の養殖場に行ってきたけど、そこで育てられているうなぎは、太くて大きいのに驚いた。業界の常識は、重箱に1匹がピッタリ収まる200グラム程度のサイズなんだけど、この養殖場のものは、その2倍近くの大きさまで育てている。この取り組みは「太化(ふとか)」と呼ばれているんだって。
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うーん、大きく育てることがどうして安くすることにつながるんですか?
大きく育てれば、1匹の稚魚を使って通常の2食分にすることができるでしょ。今は稚魚の価格が高くなって、養殖コストの大部分を占めるようになっているから、1匹で2食分取れれば大幅なコストダウンになるわけ。実際、この会社では、通常のうなぎを使ったものよりも安くかば焼きを販売しているんだって。
でも、大きいうなぎは、皮や骨がかたいんじゃないですか?
私も食べてみたんだけど、とっても肉厚で、皮もやわらかい。通常のうなぎとの違いが分からないくらいおいしかった。でも、ここまでにするのは、そう簡単ではなくて、10年近く研究してきたこの会社独自のノウハウがあるみたい。
そのノウハウって?
ポイントはうなぎに与える餌。与える時期と量で皮のかたさなどがどう変わるのか分析した結果、皮や骨がかたくならない餌のやり方を割り出したんだって。それを基に、うなぎが実際に食べた餌の量を毎日記録して、与える量を少しずつ変えている。
それに、うなぎにストレスを与えないことも大事。ストレスがあれば皮がかたくなってしまうので、養殖池の大きさを通常の3倍にして、うなぎが窮屈にならないようにしている。うなぎの排せつ物で水質が悪化しないようにこまめにチェックもしているそうよ。
なるほど。「太化」が広がれば、うなぎを守ることにもつながるかもしれませんね。
そうね。この会社の大森伸昭社長が強調していたのは、うなぎの高騰が続けば、消費者のうなぎ離れが進みかねないということ。うなぎの養殖業者でつくる業界団体も危機感を募らせていて、「太化」したうなぎをもっと使ってもらえるように飲食店に呼びかけを始めたんだって。うなぎが庶民の手の届かない存在になってしまわないためにも、こうした動きが広がっていってほしいな。
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