ホンダ 人事担当者に聞く

知っていますか?「CASE」

2019年11月19日 (聞き手:小杉山聡 西澤沙奈)

自動車産業といえば日本の「お家芸」「安定業界」。そんなイメージかもしれませんが、実は、100年に1度の変革の荒波にいるそうです。GAFAなどの異業種との連携、イノベーションも次々はじまっています。ホンダの人事担当者に、就活生が知っておくべきマストなニュースと変化を読み解くキーワードを聞いてきました。

CASE(ケース)

左からホンダ人事部採用グループ 久保田さん/採用グループ リーダー 松井さん/採用グループ 小野塚さん

きょうは、よろしくお願いします。

最初に自動車業界について、説明していきますね。

松井さん

ちょうど昨日、大学のインターンシップの説明会で使った資料で説明します。業界のトレンドで言うと、若者の車離れと言われていますよね。

学生
西澤

そうですね。親は持っているけど、自分は・・・。

先進国では逆風が吹いているように見えるかもしれません。でも、世界をみてみると発展途上国ではまだこれから普及が進みます。

自動車産業は、1台の車に2万から3万の部品が必要で、かつグローバルで展開しているので規模が大きいのが特徴なんですね。

すごい巨大産業のイメージがあります。

自動車業界では、いま、100年に1度の大変革といわれる出来事が起きています。CASE(ケース)というんです。知ってますか?

CASEですか・・・、はじめて聞きました。

今後の自動車のあり方や作り方、使い方を変える4つの言葉の頭文字です。

Cはconnected、車とネットが繋がる。

Aはautonomous。自動運転のことです。

それから、Sはshared、シェアリングです。今まで車は一家に1台でしたが、今はカーシェアが普及していますよね。

Eはelectric、電動化です。

自動車メーカーを志す就活生にとっては、これ絶対必要なキーワードなので是非知って頂きたいです。

小野塚さん

また、自動車業界を志望していなくてもみなさんの生活に影響することなので、知っておきたいマストなニュースの1つめのテーマにあげました。

なるほど。重要なニュースなんですね。

1つめはC、コネクテッド。車と色々な製品がネットにつながって情報のやりとりをしていくということなんですけど。IoTって聞いたことありますか?

モノのインターネット?

すばらしい、そうです。Internet of Things。例えば、信号機の情報を常に取り入れて、この先の信号は赤なので、こっちの道がいいですよとか、この道は渋滞するから別の道がいいですよとかですね。ホンダもかなり力を入れています。

カーナビは使ったことありますか?

そんなにないですね・・・。

ないか・・・(笑)。カーナビで、不便なのが、地図を何年かに一度更新しないとならないんですよ。でも、コネクテッドでは自動でアップデートされます。

常に最新のものが・・・?

そうです。あとは、アプリケーションなどもどんどんアップデートされていきます。

スマホだと何かアップデートしますかって出ますよね。あれが車でもというイメージですかね。それが1つです。

そうなると、車は、スマホともつながるんですか?

思いっきりつながります。さらに言うと、人と車もつながります。車と会話した事ありますか?

私はないです・・・

僕もまだないんだけどね(笑)「Hey,Siri.」ってやったりしますよね。

ああいうのも車に搭載されて、「OK、ホンダ」って会話できるようにしてね。

持ち主の好みとかを読み取って、いつもの音楽をかけたり、よく行くお店の情報だったりを学習して会話ができる時代が来るかもしれないですね。

学生
小杉山

すごく便利だと思いますが、自分がいる場所とかの情報が、筒抜けになることはないんですか?

セキュリティーですよね。確かに便利になればなるほど逆にリスクは当然付きまといます。

もちろん自動車メーカーも新しい事だけやればいいと思ってないです。セキュリティーも当然強化していて、この技術も進化していくのが前提と思ってください。

わかりました。

次にAですね。Autonomous、Automated Drive。自動運転は、4つの中では有名かな。

ホンダは2020年に高速道路で自動運転できる技術を確立することを目標にしています。一般道は、人が飛び出すこともあるので、まずは高速道路から実用化になります。

ちなみに、おふたりの出身はどこですか?

私は地方です。

僕は東京です。

僕は初任地が熊本だったんですけども、日本では車がないと生活できないような地方はたくさんあって、車がないと買い物にも行けないとか。

たしかに、実家では車がないと厳しかったです。

でも、高齢者の踏み間違いとか、免許の返納も話題になってるじゃないですか。じゃあそういう人がどうやって生活するか、自動運転があれば、安心安全に外に出かけられると思います。

移動することは、サービスとかモノの消費につながると思うので、地方創生をはじめ産業の発展に広く貢献、基盤になるような技術になるかなと思います。

でも、自動運転にしたら、それが逆に事故につながったり・・・、暴走とかしないんですか?

確かに、いま、おっしゃったように、アメリカでは自動運転中の車が事故を起こしたこともありました。

仮に、機械がミスを犯したとき、だれが責任を取るんですか?

法や倫理的なところの方が技術面よりも難しいのかなって思ったんですが。

それはおっしゃるとおりですね。自動運転が実用化されると、ドライバーと自動車メーカのどちらが事故の責任を負うのかといった問題が出てきて、政府でも制度面の議論が進められています。

ことしの東京モーターショーを前に新型自動車について話す八郷隆弘社長

ホンダにとっても、完全に自動運転の社会や世界が本当にハッピーなのかというと、必ずしもそうじゃない。

自動運転が成立すると安心安全かもしれないですけど、自動車を操る喜びはなくなってしまう。なので、そこの両立はホンダが目指している未来なんです。

そして、3番目のS。シェアリングですね。

シェアリングサービスは私たちにも直結していると思うんですけど。

そうですね。東京だと車を持っていても毎日は乗らないという人も多いですよね。

疑問なんですけど、シェアリングサービスが伸びると個人での車の保有台数は減る事になりませんか?

減るとは思います。そうすると「自動車メーカーやばいじゃない?」と思うかもしれないけど、必ずしもそうではないですよ。

どうしてですか?

自動車には耐用年数があります。例えば土日しか乗らないと全然壊れないですよね、使わないから。

でも、シェアリングすると使いますよね、効率が高まるから、製品としての循環、サイクルは早まるという面もでてくるんです。

なるほど。

1台の車を長く使うか短く使うのか。自動車会社としてのアウトプットの売り上げは変わらない。むしろ増えるのかなと思っているんですよ。

4つめのE。エレクトリックは次のSDGsの話題にもつながってくるんですよ。SDGsに関しては皆さんの方が感度高そうですよね。

色んな企業さんが話題にされて、よく話を聞きます。

SDGs

SDGsに絡んで、ホンダとしてどうありたいかというビジョンがあって、2030年に、すべての人に生活の可能性が拡がる喜びを提供する』というものです。

久保田さん

SDGsは「Sustainable Development Goals」を略したもので、「エスディージーズ」と読みます。日本語にすると「持続可能な開発目標」です。2030年までに解決を目指す、世界共通の目標。1からわかる!SDGsもご覧ください。

自分の好きな車で移動することだけじゃなくて、「より暮らしを豊かに、生活が楽しくなることをリードしたいね」という方向性で取り組んでいます。

SDGsに絡めていうと、カーボンフリー社会を実現していくっていうところを目指しています。水素自動車って皆さん知っていますか?

知っています。そういえば家の近くのガソリンスタンドが水素ステーションに変わりました。

まさにそれですよね。電動化はSDGsにつながるんです。

日本では、モーターとエンジンの組み合わせのハイブリッドが多いのですが、完全な電気自動車がこれから増えていきます。

排ガスの規制が特に厳しいヨーロッパでは、電気自動車が急速に拡大しています。ホンダも来年、ヨーロッパと日本で新しい電気自動車を売り出します。

ホンダの新型電気自動車「Honda e」

コンセントで充電できるんですよ。

ガソリン車は、ガソリンを燃やして爆発させてエネルギーに変換します。変換する時にCO₂が発生して、それが温室効果ガスになる。

一方で水素自動車だとCO₂を排出しない。水素(H₂)を酸素で燃やすから、燃焼のエネルギーは発生するけど水(H₂O)しか出ない。

ですので、すごくクリーンな車と言われています。そうやって、カーボンフリーな社会を実現させて、気候変動に具体的な対策をとっていこうとしています。

【SDGsと自動車業界】

国連が掲げる持続可能な開発に向けた目標(SDGs)には、温暖化など気候変動への対策も含まれる。消費者の環境意識も高まる中、自動車会社は、温暖化につながるCO₂を排出せず次世代のエコカーと呼ばれる電気自動車や燃料電池車の普及に力を入れている。

ラグビーW杯

では、3つ目のニュースは盛り上がったラグビーのW杯ですね。

趣向を変えて(笑)

ガラッと変わっちゃったんですけど(笑)
何でこれを選ばれたんですか?

僕が高校時代ラグビー部だったんですよ。

そこから入ります?!(笑)

僕がラグビーやってたのは本当に入口でしかないんですけどね(笑)

試合を見て、どんな選手がプレーしているとか気になったところは、ありませんでしたか?

日本人だけじゃないなって。体の大きい外国人がたくさんいて、どっちが日本代表かなって(笑)

確かに。

ラグビーって、多様な個が輝くスポーツなんですよ。国籍だけじゃなくて、役割があって、フォワードは体も大きくてパワープレイが主体で、バックスっていうトライを決める人たちは足が速くて。

色んな人の個性が役割としてポジションに反映されていて、それがチームスポーツとして成立する。ダイバーシティを体現したスポーツだと思っているんです。

個性は大事だと思うんですが・・・。就活ってみんなと一緒じゃないと浮いちゃう気がして、個性を出してもいいんですか。

個性というかホンダは皆さんの考えや思いを大事にしています。

ホンダは結構ユニークな会社で、「自分のために働け」という言葉もある。会社のために働く人ってことじゃなくて自分のために働きなさいよ、と。

なぜですか?

自分の好きなことあるいは嫌いなこと、それを大事にしてください、と。そのために生きてください、と。

会社は自己実現のためのツールとかフィールドでしかなくて楽しくなきゃ意味ないよねっていうメッセージも込めて学生さんに送ってます。

そういうことですね。これから就活をはじめるにあたって軸がまだそんなに固まっていないのですが・・・

軸ってそんなに焦って決めないといけないわけではなくて、振り返ってみて気づいてみたら、あ、自分の軸ってこうだったかなっていう感じだと思いますよ。

確かに、就職先が決まった後に軸ができたかもしれない。

就活を始める前に軸が絶対ないとダメだっていうのは、よほどの事情がない限りないような気がするんです。経験を重ねることで振り返ってみると、あっこういう価値観で生きてきたんだなって。

人生振り返ってもそうじゃないですか?
多分就活も一緒じゃないかなと思いますよ。

そうですね。前向きに、自分のために働けるように頑張ります!きょうは、ありがとうございました。