凸版印刷 人事担当者に聞く

総合印刷会社=何でもやるぜ

2020年04月13日
(聞き手:伊藤七海 勝島杏奈 西澤沙奈)

創業120年を迎えた大手印刷会社の凸版印刷。“大きな機械で紙を刷る”→なんでも扱う情報産業へ。時代の変化とともに、会社の形を変えてきたといいます。人事担当者に就活生が知っておくべきマストなニュース3本と印刷業界の今後を聞きました。(取材は、3月中旬に行いました)

学生
西澤

早速ですが、どんな事業をされているのか聞きたいです。イメージだけで言うと、工場で紙を刷ってるというイメージが強くて。

クライアントさんの依頼を受け、商品販売の支援全般、たとえば広告やマーケティング活動などを行っています。

従来は出版物やポスターなどペーパーメディア中心だったんですけど、どんどんデジタル化が進んでますね。

村上さん

人事部採用チーム(左から)村上泰史課長 安彦拓哉係長 小磯有子さん

紙だけじゃないんですね。

生活に密着した部分では、食品や衣料品のパッケージとかも作っています。お菓子の箱とか。

あとは住宅や商業施設の内装、外装に使われるんですけど、そういうものをデザインするような木目シートとか壁紙とかね。

このほか、スマホやテレビ、電子機器の中に入ってる部品にも印刷技術が用いられて作られている製品がたくさんあります。

皆さんが使っているスマホの中にも、凸版が作った部品が使われているかもしれませんね。

安彦さん

学生
勝島

昔からある印刷技術を応用させながらいろんな形に幅広く展開しているということですか?

うちはモノを作ってそれを販売するというビジネスモデルではなくて、持っている技術とかノウハウを使って顧客の課題の解決やビジネスを推進するのを一緒にお手伝いしていく

いわゆるソリューション(解決策)を提供していく。もはや印刷業っていうくくりではなかなか語りきれないと思います。

ちょっと、見方が変わりました?

デジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーション

最先端のデジタル技術を使って、製品やサービスを変革すること。先端技術を取り込んだり、異業種の企業と組んだりすることで、新たなビジネスモデルの創出を目指す。

1つ目のニュースで、「デジタルトランスフォーメーション」を選んでいます。なぜこれを選んだんですか?

我々の立ち位置は、自分たちがデジタル化するのは当然なんですけども、企業がデジタルシフトしていくのを支援する立場です

ものづくりの現場ですごく効率の悪い作業方法だったのをデータを活用して、もっとより効率的にする。

例えば電子チラシのアプリ。「近所のドラッグストアとか、スーパーのチラシが見られますよ」って記されてる。デジタル化する事で、じゃあなぜお客さんが来たのか、動線が見えるようになってくる可能性があるんですね。

学生
伊藤

紙で見るだけだと分からないことがあるんですね。

地図情報や位置情報と連動させると、例えばある店舗のお客さんがどういう購買行動をとっているのかなどがデータで分かるんですね。

そうすると企業はこのお客さんに対して例えば翌日の夕方のキャンペーンのときにこのチラシを配信しようとか効率化を図れるんです。

お客さんの嗜好に合わせた情報提供を個別にできる、それがデジタルマーケティングの仕組みです。

印刷を専門とする会社がやることの意味とかメリットってどこにありますか。

もはや我々の会社って印刷業界っていうフィールドでは語り切れないと思います。

もっと言うと情報産業になってるという認識があって。

情報産業?

そう、情報産業。情報やコミュニケーションを通じて世の中をもっと便利にするとか豊かにすることをミッションとしている会社なのでアプローチは今や紙の印刷物でなくともいいわけです。

昔は印刷技術からスタートしたから、コミュニケーションの課題を解決する手段として印刷がありました。

でも、情報技術が進化していくのであれば、それをどんどん取り入れて我々自身が変わっていく必要があるわけですね。バージョンアップしていくと。

この流れは、企業として当然やるべきことで、それをやらないとビジネスが成り立たないから我々も日々成長していく。そのためにデジタルを取り入れているんですね。

印刷業界全体でもこういった形なんですか?

やっぱりこう印刷業界っていうくくり方はなかなか悩ましいと思っていて。

会社名が印刷ってついているだけで業界は広いという感じですか?

やっぱり総合印刷業と呼ばれる企業がこういう取り組みをしているという理解でいいのかと思います。

印刷会社と呼ばれる会社って何万社と日本にあると言われているんですけど、そのほとんどはそれぞれ専業で皆さんが想像するような本とかチラシを印刷しています。

印刷はもちろん、ソフトサービス、デジタルビジネスも含めて総合的にやっている総合印刷会社というのはごく僅かです。

もともと印刷会社って、紙に印刷して、紙で歴史を残していくみたいなイメージがあったので、話を聞いて、印象がガラッと変わりました。

本当に幅広いなと思ったんですが、「印刷会社」って名前を使わないとしたら、何会社だと思いますか?今までのイメージと違ったので、なんと表せばいいのかなって。

このあいだも学生さんと話してる中で、似た質問を受けました。凸版ってどういう会社ですかって。

それこそデジタル化が進む中で、本当に何でもやるぜ、っていうところですよね。

かっこいい言い方もっとあるかもしれないけどね!(笑)「社会的価値創造企業」を目指すと定めています。世の中に新しい価値を生み出すという思いを込めています。

SDGs

2つめにSDGs。こちらを選んだ理由は?

いわゆる持続可能な社会の実現を目指すっていうところは、もうすでに我々としてさまざまな事業のなかに入り込んでるじゃないかなっていう捉え方をしています。

SDGs

「Sustainable Development Goals」の略。「エスディージーズ」と読む。日本語で「持続可能な開発目標」。2030年までに解決を目指す国際目標で17のゴール・169のターゲットから構成される。

詳しくはこちら→1からわかる!SDGsをご覧ください。

具体的な事例を知りたいです。

環境に配慮した包材をつくることはやっているんですが、それって技術力さえ身につければできますよね。凸版印刷が持つ強みとして循環の仕組みをつくっていくのが仕事なんですね。

小磯さん

単純に環境に配慮したフィルム材料、パッケージをつくるのはもちろんですが、先に何があって前に何があってどうやってつなげるのか、つなげるにはどういった人たちが関わらなきゃいけないのか、そういったことも含めてビジネス化していくっていうのが背景にあります。

作るだけでなくその先を見据えているんですね。

モノを作るんじゃなくて仕組みを作るっていうのは面白いですね。

モノの動きで考えるとわかりやすいかもしれません。これを作るって思ったらまず製造の段階が必要です。

そのあと流通、小売が必要です。タッチポイントすべてに凸版がかかわっているんです。凸版って消費者が生活する上で必ずどこかにいます。

社内の取り組みでは、なでしこ銘柄に選ばれたとお聞きしました。

なでしこ銘柄

経済産業省と東京証券取引所が女性社員の活躍の推進に積極的に取り組んでいる上場企業を選んで公表するもので2012年度から始まった。凸版印刷は2019年度に選ばれた。

小磯さんは実際に働いてみてどうですか。女性代表として。

私、もともと営業にいたんですね。新しく凸版の未来につなげていくというような事業を作り上げてくださいという部署にいたんですよ。

新しいビジネス始めるときも、ターゲットって、みなさんみたいな大学生だったりとか、若い人たちが対象になりやすいんです。

発信力があるみなさんの意見ってとっても大事で、会社も若手の意見を吸い取ってビジネスにしていこうという動きを肌感覚で感じています。

文化財のデジタル化という話を聞いたのですがSDGsとしても行っているのですか?

凸版の映像技術、VRを使って文化遺産や自然遺産みたいなものをしっかり保存するっていうことを文化事業としてやっています。印刷の技術やノウハウがそこに使われていたりするんですけど。

印刷の技術ってどうVRに生きているんですか?

VR作品『故宮VR《紫禁城・天子の宮殿》』
製作・著作:故宮博物院/凸版印刷株式会社

たとえば南米ペルーの遺跡、マチュピチュの作品もありますが、現地に行って何万枚も写真を撮影して、撮影したデータを使ってVRに再現していきます。

色の微妙な違いだとか、再現性だとかそういうところにも印刷で培ったノウハウやスキルみたいなものが応用されています。

eスポーツ

世界で盛り上がりをみせるeスポーツ

3つめのニュース。eスポーツはどう捉えればいいですか?

狙って選びました。

奇をてらった訳じゃないですが、我々としてまったく新しく始まった事業というかビジネスへの参入だったのでおもしろいと思って。

eスポーツとビジネスが結びつかなかったんですけど。

eスポーツって世界では1760億円ぐらいの市場規模があるんです。

成長性がすごく高くて、2022年には、市場規模は2300億円とかになるんですって。今後さらに成長が持続するだろうっていうところが着眼点じゃないかなと思います。

面白いのは、eスポーツは色々な取り組みとの親和性、注目度が高いんです。eスポーツを取り入れてイベントを柔らかくしてくれる影響で、若手が入って人が集まる、そこに対して凸版がまた何かできる。

なるほど。

eスポーツってエンターテインメント的な要素のイメージが強いんですけど、うまく活用する事でより社会的な意味を持たせ、それをうまくつなぐ役割というのを我々は果たそうとしているんです。

印刷とは結びつかないですね。

背景としてはやっぱり従来からの印刷だけでは既に成り立たなくなってきてるところがあると思うんですね。

創業は1900年。覚えやすいです。ちょうどことしが120年目になります。

大蔵省の印刷局っていうところで紙幣をつくってた当時の技術者達が独立して、新しいビジネスをやろうって始めたのが凸版っていう会社だったんですね。

具体的には、最初の受注品がたばこの包装紙とポスターだったんです。印刷技術を応用して芸術品のような細かい描写は当時は最先端の技術でした。

そうだったんですね。

結果的にいろんなものにチャレンジした結果、どんどん事業が多角化していってそれを総合印刷業というふうに名乗っていると言う方が正しいのかもしれないです。そういうDNAが残ってるからだと思うんですね。

印刷会社ってどんなことをしているの?って取材に行って見ましたが、「印刷」の枠にとどまらない事業を多々展開していることがわかりました。お忙しい中、ありがとうございました。編集:後藤祐輔