教えて先輩! LINE 青田努さん 

キャリアを我慢大会にしない! 仕事は人生を良くするもの

2019年09月13日 (聞き手:工藤菜摘 勝島杏奈)

今回の先輩は、LINEの人事担当、青田努さんです。「仕事で苦しむ人を減らしたい」との思いで、リクルートグループやアマゾンジャパンでも人事を担当し就活生と向き合ってきた経験から、企業も学生も『就活を勘違いしてる』と感じているそうです。“人事のプロ”が感じる『勘違い』って、気になりますね!?

8社経験の仕事観「仕事は人生を良くするもの」

学生
工藤

よろしくお願いします。

青田さんご自身のキャリアについてお聞きしたいんですが・・・

僕、全部で8社勤めています。

青田さん

8社!!

社会人2年目でリクルートグループに転職して、10年間いました。そこで人事の仕事をスタートさせたんです。

リクルートグループを出たのは、リーマンショックの余波で希望退職の受付があって、新しい世界を見ようかなと手を挙げたんですよ。

それからアマゾンやコンサルティングファームなどを経て、2017年からLINEですね。

どうして人事をやりたいと思ったんですか?

僕は最初の就職活動の時はあんまり考えてなかったんですね。会社になんとなく入って・・・、仕事に対するモチベーションも低くって・・・。同期が転勤で縁もゆかりのない土地に行って、なんか鬱っぽくなって・・・。

そういう様子を見て、仕事って人生を良くするためにあって欲しいのに、逆になっている事が多いなって思ったんです。

そうだったんですか。

仕事で苦しむ人を減らしたいなって。それが最初に転職した一番大きな理由です。人事の仕事をやる上で、その軸は変わっていないです。

社員の“やりたい”を実現していく!

学生
勝島

今のLINEでは人事のどんなお仕事をされているのですか?

「エンプロイーサクセス室」という部署の副室長です。エンプロイーは従業員、サクセスは成功。LINEにいることで、ひとりひとりが生活でも仕事でもサクセスして欲しいという意味です。

そういう意味が込められているんですね。実際に採用面接もされるんですか?

しますよ。うちは職種別採用で、エンジニアをやりたい人は初めからからエンジニア、営業やりたい人は営業として応募してもらっていて。

職種によっては僕が最終面接官をやっているケースもあります。

2019年入社式

日本の会社っていろんな仕事をやることが多いと思うんですが、LINEは違うんですか?

LINEの場合は、いわゆるジョブローテーション制度のように3年単位でほかの部署に異動させることはやっていません。基本的にみんなスペシャリスト志向が強いんですね。

例えば、デザイナーとして力量を高めていきたいとか、プランナーとしてより良いサービスをどんどん作っていきたいとか。

それを尊重することが、個人にとってはやりがいだし、会社にとっても価値につながってくるので、人事がそれを途中で辞めさせてほかの仕事をさせることは、考えてないんですね。

新卒採用でも、やりたいことをやらせてもらえますか?

大きなくくりの中ではそうですね。もちろん、やっている中で「あの職種に挑戦してみたいな」とか増えてくるので、社内公募という制度があります。

最終的に自分が働きたいと思っている部署の人がOKと言ったら、異動が実現するっていう感じですね。

やりたいことができる環境っていいですね。

「本当はこういった事やりたいれど・・・、転職でほかの会社行くしかないのかな・・・」って思われるよりは、LINEが好きで働きたいと思っているんだったら、LINEの中でちゃんとその機会を提供したいんです。

情報は発信する人のもとに集まる

青田さんの1週間のスケジュールと、情報収集の方法について教えてもらいました。

情報収集そのものに時間をかけないというのがすごく印象的です。何か理由があるんですか?

面倒くさいからです!(笑)

収集するコストをかけずして情報が得られるのが一番じゃないですか。手間がかかるのは長続きしないので、極力自動化するのが大事だと思ってます。

TwitterとかFacebook内のフォロー機能は便利で、自分に関係ありそうな情報はおのずと集まるという感じですね。

人事のお仕事をされている方として、どんな分野の情報やニュースに注目しているのですか?

他社の人事の取り組みは、まず気にかけますね。同業他社さんやグローバル企業がどんな事をやっているかといった情報は、絶えず得られるようにしています。

もう一つ気になったのが、「気になるニュースは知人に頼んで聞かせてもらう」

例えば、どこかの会社の人事施策がいい感じだっていう記事があったとしますよね。もうちょっと知りたいなと思ったら、その人の名前がわかればコンタクトできるじゃないですか。

ネットや知人のつてをたどって。記者さんとかそういう事やってると思うんですけどね。

自分で足を運んで情報を取るというのは当たり前だし、生情報って大事だなっていうのはすごく思っています。

青田さんのTwitter

青田さんはSNSでの発信もされてますよね。私も、青田さんが書かれた物を読みました。すごく話題になっていて。

もともとはね誰かが勝手に取り上げてくれたやつですけどね。13万いいねくらいになったツイートもありましたね。

情報を集めるだけじゃなくて発信することにも重きを置いているんですか?

たぶん発信した方が集まるので。発信する、それが役に立ったとする。そうすると何かこの人にきいてみようとなる。

その時にギブアンドテイクが起きて、情報交換になる。発信する人のもとに情報は集まるという法則があると、実感しています。

ただ発信するだけじゃ駄目で、有益な情報を発信する。役に立つか、面白いかしか情報の提供価値はない気がします。そこにオリジナリティーがあるとなお良いですね。

LINEの人事が教える就活のコツ!

私は3年生なんですけど、人事として、今の就活を見ていて思うことはありますか?

「就活を勘違いしてるな」って
学生のせいだけでなくて、採用する企業サイドにも問題はあると思うんですけどね。

どういうことですか?

まず、「面接うまい人コンテスト」だと思っているというのが1つです。

「私、きょうは面接をうまくやりに来ました」みたいな、そんなの会話してる気が全然しないなっていうところで。

そういうのってわかるんですか?

だって、覚えてきた自己紹介再生マシーンになったりする。

自己PRとか本当にそうなっちゃいます。

(面接で)自己紹介して下さいって(学生に)言ったら、そうなると思うんですよ。でも、普通に会話したらそうならないでしょ。

だから、そのあたりは人事サイドのスキルの問題も大きいかなと思っていますけど。

2つ目は、例えば志望動機を聞いた時に、「御社は」とか「LINEは」とかじゃなくて、「私は」を主語にしてほしいんです。

どういうことですか?

何でそこに興味を持ったの?あなたのことを知りたいんだけどっていう。そこが抜け落ちがちになっちゃっている。

たしかに。

あとは必勝法や攻略法があると思ってるとか、そういう感じですかね、勘違いとしては。

短所聞かれたときの就活用に用意された短所や、面接で答えてもザ・無難な弱みとか。

エントリーシートとかもね、「私は常に」とか、「私は何事にも」とか、この2つある時点で嘘ついてるなって思う。

あー、よくネットの記事とかにありますよね。そうするのがマスト!みたいな。履歴書も自己PRも似てる感じになっちゃうんです。

そうなの。よくある勘違いは、足切りの試験だったら、上位8割入ればいい。つまり普通を目指せばいいんですよ。ただ就活で人気企業になってくると例えばエントリーシートだけでも通るのは上位10%とかになるわけですよね。

倍率10倍の試験に対して、真ん中を狙いに来てるっていう。そもそも、負けに向かってる人たち多いんですよ。戦い方が間違ってるよって。

普通に素を出して話すというのが一番いいんじゃないのって感じはしますね。普通にナチュラルに話すだけで相当な加点ポイントになると思うんですけど。

ありのままの自分を出してぶつけていくのが大切ですか?

そういうことです。

勉強になります!

あと、社会人向けの転職活動している人たちが見るような口コミサイトですね。就活生あまり見ないんですけどね。月額いくらかかかりますけど、自分の人生がかかってるんだから、全然安いです。

たしかに私たちは就活サイトしかみないので、転職サイトの口コミは盲点でした。

もちろん鵜呑みにしちゃいけないし、基本的に退職した人が書くものなので退職者満足度みたいな感じにはなるんですけどね。

それでも総合的に情報を見た方がいいだろうなって、利害関係がない人のコメントはすごく大事だと思います。

キャリアは我慢大会じゃない

いろいろな会社に転職されていますけど、変わることに対して抵抗はなかったですか?

ないですね。むしろ変わらない方が怖いなって。人は変わっていくし、やりたい事も時々で変わっていくわけで。

僕の中では、転職っていうより、自分で手を挙げて異動希望を出しているくらいの感覚なんです。

そうなんですか。

日本人の場合って、転職をむやみにリスキーなものとして扱ったり、ネガティブなイメージを持っている。動いた方がいいのに、動かずに後悔している人も見てきました。

転職したら負けだとか逃げたとかいう風に思って、キャリアを我慢大会みたいに捉えると、しんどいだろうなって思います。メンタルやられたりとか。

自分が我慢大会に乗っちゃうと、それを正当化して、自分がしてきた我慢を後輩に強いるようになっちゃったりする。僕からすると、いつまで我慢大会してるんだろうと思います。

仕事は資源を資産に変えるもの

青田さんにとって仕事とは何か。書いてもらいました。

今、皆さんの持っている資源なんですけどそれは加齢によってどんどん失われちゃいます。

すっからかんになる前に仕事を通じて資源をいかに資産に転換変化させていけるかというのがとても大事です。

上段が「資源」、下段が「資産」(青田さんのプレゼンテーションスライドより)

持っている資源をさんざんすり減らせておいて、専門性も身につかないし、実績にもならないし、人脈もできるわけじゃないし、お金も貯まらないしみたいなのが、消耗型のブラック企業と呼ばれるものと思うんですよ。

ひとつ聞きたいんですけど、働くことって楽しいですか?「一生学生でいたい」「社会人になったらこの世の終わりだ」って思ったりして・・・

私も4年なんで、あと半年しか遊べないって感覚で。最後だーってみんな言ってる。

楽しいんじゃないんですか。仕事には、縦軸と横軸というものがあると思っているんです。

縦軸はお金とか、ポジションとか。他人がスゲーって言ってくれる客観指標ですよね。

横軸は好きな事。好きな事を好きな人たちと好きな時に好きなように好きなだけ好きなやり方でやることで、これはもう自分の主観による価値なんですよね。

タテ軸は「客観的な指標」 横軸は「主観的な指標」(青田さんのプレゼンテーションスライドより)

やっぱり一長一短で、好きな事だけやっときゃいいかっていうと、お金も大事ですよね。私生活の自由度が高まるので。

社会に出ると学生時代よりも人とのつながりが増えたり、使えるお金が増えたり、できなかった遊びができたりするので、普通に面白いなあという感じはしますけどね。

サービス8周年の社内イベント

そういうふうに言ってくれると働きたい人がもっと増える気が・・・

いろいろな社会人のツイッターアカウントをフォローしておくと、こういった情報も日常的に出てきたりしますよ。

楽しいか楽しくないかじゃなくて、自分を楽しませるかそうじゃないかという。楽しむことを怠けないっていうやつですね。

ありがとうございました。ちょっと未来が明るい気持ちになりました!

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