教えて先輩!オリエンタルランド 林隆文さん

仕事は私事(しごと)
~『夢の国』をつくる魅力~

2019年08月09日 (聞き手:伊藤七海 西澤沙奈)

今回の先輩は、オリエンタルランドの林隆文さん(28歳)。東京ディズニーリゾートで、ガイドマップなどが利用できるアプリや、電子決済サービスの導入など、テーマパーク全体の運営戦略に携わっています。「仕事は私事」と語る林さん。「夢の国」をつくる魅力や、糧になった苦い失敗談を聞くことができました。

林さんは2013年入社の6年目。大学では理工学部でスマホを保護するフィルム技術を研究。

仕事のやりがい

よろしくお願いします。

学生
伊藤

現在の仕事の内容を具体的に教えていただけますか?

経営統括部のテーマパーク戦略推進グループに所属しています。具体的に担当しているのは、デジタルコンテンツの開発や推進です。

林隆文さん

去年、東京ディズニーリゾートで導入された新しいアプリや、電子マネーの活用などですね。

アプリができたのは知っていますか?

はい。ガイドマップとか便利ですよね。

ありがとうございます。

専用アプリのマップ機能で待ち時間チェック(提供:オリエンタルランド)

お仕事のやりがいはどんな点ですか?

自分が取り組んだ新しいサービスがゲストに喜ばれた時、とてもやりがいを感じます。

学生
西澤

ディズニーリゾートには毎日のように行かれるのでしょうか?

管理部門は基本的にオフィスで仕事をしているのですが、きのうも、きょうも、先ほども実際にパークに行って、いろんな調査やテストを行っていますよ。

調査やテストってどんなことを?

ん~、あまり言えないですけど(笑)

ざっくりでいいので…教えていただけますか?

ファストパスはご存じですか?

アプリ上で取得できるファストパスのイメージ(提供:オリエンタルランド)

はい。

ファストパスは発券機で取得する形だったのですが、この夏から、アプリ上で取得できるようになる予定です。

【ディズニー・ファストパス】

人気のアトラクションは待ち時間も長いが、あらかじめ専用の発券機でファストパスを受け取り、券に記された時間に訪れると専用入口から入場でき、短い待ち時間で楽しめる仕組み。ただ、ファストパスを取るためにアトラクション入り口付近の発券機まで行かなければならない。

便利になりますね!

これまでは、開園と同時に「発券機に向かって走る」みたいな(笑)

それが、開園と同時に「アプリを見る」(笑)

その開発で調査やテストをしています。パーク全体の動き方も変わりますね。すごく楽しい仕事だと思っています。

休日に家族と訪れることもありますか?

はい。でもやっぱり「仕事の目」でいろんなことを見てしまいますね(笑)

ほかのテーマパークにも行きますか?

はい。ゲストとしての視点を仕事に生かしています。社員の中には、あえて混雑する日を選んで体験する人もいるんですよ

入社早々に味わった失敗

オフィスは「夢の国」の隣にあります。

林さんはなぜオリエンタルランドに入社されたのですか?

理工学部出身なので、研究職に憧れてメーカー就職希望でした。

ただ、メーカーは1つの分野に絞って研究すると先輩から聞いて、もしもその分野が衰退したら自分に何も残らないのではないか、という不安が漠然とありました。

なるほど。

なので、いろんな事が経験できる会社がいいなと。

オリエンタルランドは、テーマパーク事業がコアで1つに見えますが、アトラクションやエンターテインメント、飲食施設、商品施設など、本当に「国」のようにいろんな業務があるなって気付いたのです。「国」を作るのってすごく楽しそうだなと思って。

なんか壮大ですね!国をつくるって。

遊びに行く私たちも「夢の国」って言いますもんね(笑)

印象に残っているお仕事は?

入社してまもないころ、フードメニューを担当しました。大みそかのカウントダウンのオペレーションがいちばん印象に残っています。おそばとお雑煮を提供したんです。

いいですね、温まりそう!

ハッピーニューイヤーと同時に、ゲストの方々がお雑煮をたくさん買いにいらっしゃいました。

しかし、すごく行列が伸びてしまって…。

ゲストを待たせてしまった上に、結果的に売り切れてしまい、提供できない事態になってしまったんです。

残念がる方も多かったでしょうね。

ゲストにとても迷惑をかけてしまい、大きな失敗でした。

ですので、その次の年は、そういう事がないよう入念に打ち合わせをして、入店制限や、ゲスト数と提供できる数の把握など、新たなオペレーションを作り上げました。

結果はうまくいったんですか。

はい。おかげさまでうまくいきました。パークのキャストやスタッフと一緒に仕事を作り上げる醍醐味を感じました。失敗を糧にした翌年の成功体験だったので、とてもいい経験になりました。

失敗から成功につなげていくことが大事なんですね。

そのとおりですね。

情報の取捨選択

林さんの1日のスケジュール(午前)
林さんの1日のスケジュール(午後)

林さんの日常をお伺いします。日々どのようなツールでどんな情報を取り入れていますか?

基本的にスマホで情報を入手していて、日経新聞の電子アプリやSNSを見ています。

会社に置いてある「日経MJ」という新聞もチェックしていますね。

日経MJではどんな情報を見ていますか?

企業のサービスやマーケティングなどの情報に特化していて、結構いろんな会社が新しく始めたサービスの内容や、その裏側の話が掲載されていますね。

難しそうな内容ですね。

きょう持ってきたんです。先ほどまで読んでいました。

サービスを作るという視点で他社の事例が具体的に書いてあるので、すごく勉強になります。

取り入れたい情報によってツールは使い分けていますか?

そうですね。

SNSではどんな情報を?

何かサービスがスタートした後、ゲストがどういう反応をしたかを見ます。うちのサービスだけではなく、ほかの会社のサービスも。いろんな声が載っているので参考になりますね。

他社さんのも見たりするんですね!

そうですね。いま話題のものとか。

トレンドを先回りしなきゃいけないんじゃないかと思いますが、どうやっていますか?

先回りは難しいですが、SNSが最も早いのかなと思っています。流行りものや情報を先に知りたい時は、SNSを意識しています。

なるほど。

トレンドで言うと、ビッグサイトなどで開かれる展示会にも足を運び、新しいITソリューションや、他社の最新技術を学んだりしています。

いろんな情報があってパンクしませんか? 取捨選択のコツはありますか?

いちばん大事なのは、いかに“自分事”化できるかだと思っています。

新しいサービスに生かせそうな情報をもとに自分で新しい行動に移せるか、自分事化できるような情報かどうか、という視点を持つようにしています。

“夢がかなう場所”を目指して

テーマパークの大きな課題は混雑対策かなと思うんですが、こんなことに取り組みたいというのはありますか?

そうですよね。より快適にパークを楽しんでもらいたいのです。

やはりどうしても並ぶことは発生すると思いますが、並んでいる時間をどう楽しんでもらえるかを考えていきたいと思っています。

並んでいる間も結構アトラクションっぽい空間もあって楽しいなと思いますし、来るだけでワクワクする、夢の国ですよね。

そう言ってもらえるのが、自分たちの原動力になっています。大学の友人に「俺も行ったよ」とか、ほかの会社の人に「家族で行きました」とか。

インスタグラムで位置情報の検索をしたら、ディズニーがたくさん出てきます。「夢の国」って位置情報にあったり。

えー、そうなんですか!

あります。「夢がかなう場所」みたいな。

でも、その夢を壊さないって難しくないですか?

新しいサービスを考える時は、その視点がすごく大事だと思っています。

いろんな方が来られますので、老若男女に広く受け入れてもらえるサービスをつくるのは非常に難しいでもだからこそ楽しいし、やりがいがありますね

お子さんやお年寄りへの対策もされたりしているんですか?

飲食施設のような休憩できるスペースを増やしたり、暑さ対策で言えば、いろんなところにパラソルや扇風機をつけたりして、少しでもゲストにとって良い体験になるように工夫していますね。

来年は東京オリンピック・パラリンピックです。海外からのゲストに備えたりしていますか?

私も海外のテーマパークに行く時「その国ならでは」を楽しみに行くので、おそらく海外の方も「日本ならでは」を楽しみにしているのかなと思います。「日本ならでは」は大事にしていきたいですね

仕事は“私事”

最後に、林さんにとって仕事とは何か、書いていただけますか?

わかりました。

即決ですね。

寝ずに考えたんですよ(笑)

「仕事は私事(しごと)」

仕事って、仕えるという漢字を使いますが、自分にはあまりしっくり来ないと思っています。自分事にして仕事をしてほしいし、そう思える仕事を探してほしいなと思っています。

なるほど。

「やらされてやる」のではなく、「自分がやりたいからやる」というのが大事だと思っていて、そう思える仕事をする事で何よりも楽しいし、自分の成長にもつながる。

皆さんも就職活動では、仕事内容が自分事のように考えられそうかどうかみたいな視点をぜひ持ってほしいと思います。

“私事”を見つけられるように頑張ります!

きょうはありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

大切な人と、大切な時間を過ごした、思い出の場所。林さんは、そんな思いをめぐらせながら、テーマパークを支える仕事に携わっていることが伝わってきました。情報も、仕事も、自分事として捉え、吸収していくことの大事さ。仕事でつらいことがあっても、こんな原点、原動力があれば、なんとか乗り越えられるかもしれないと感じました。「仕事は私事」。

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