視覚障害者の投票 手作りファイルでサポート(京都・舞鶴市)

選挙での投票に際し、「視覚に障害があり、候補者名を記入する枠がよく見えない」といった声を受けて、京都府舞鶴市では投票用紙を入れれば記入する枠がわかりやすくなるクリアファイルを作り、選挙で活用しています。

(ネットワーク報道部記者 土方薫)

手作りのクリアファイル

これはA5サイズの透明のクリアファイルの一部を切り取ったもので、投票用紙を中に入れると、切り取った部分にちょうど候補者名を記入する枠がくるようにしています。

また切り取った部分に沿って紙で黒い枠を付け、手で触っても記入する部分がわかるようになっています。

このファイルを作るきっかけは5年前、選挙管理委員会が視覚障害者向けの出前講座を行った時、参加者から「候補者の名前を枠内に記入するのが難しい。記入をサポートするものを配備してもらえないか」という相談を受けたことでした。

そして当時の担当者が試作品を手作りし、障害者団体とも相談を繰り返して完成したものを、平成30年の市議会議員選挙から投票所に配備するようになりました。

少数が対象でも環境を整える

当時、選挙管理委員会事務局の担当者だった濱上輝彦さんは「少数の人が対象のことであっても、投票に行きやすい環境を整えるのは選挙管理委員会の役目だと思いました。出前講座を通して生の声を聞いて、課題をクリアできたことは非常によかったです」と話していました。

自分で書けた うれしかった

市の選挙管理委員会に要望を伝えたのは、金治みゆきさん(70)で、10年ほど前から徐々に目が見えにくくなり、候補者を記入する枠が見えづらいということです。

投票の際に選挙管理委員会の担当者に代わりに記入してもらう「代理投票」を利用したことがありましたが、投票したい候補者を担当者と口頭で確認する時に周囲に聞こえてしまわないか不安で、自分で記入したいと思っていました。

金治さんは実際にクリアファイルを利用して投票していて「自分で文字を書けるから自分で書きたいという思いが強かった。候補者名を記入できたときはうれしかった」と話していました。

金治さんによりますと視覚の障害が徐々に進んでいった人などは、点字が苦手で、自分で記入したいという人も少なくないということです。

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