「と-ひょ-
にゅーじょーけん」
選挙はがきに
“点字”シール

今月25日に告示される沖縄県知事選挙。

浦添市役所

沖縄本島にある浦添市では先月の参議院選挙から、視覚に障害のある人のための取り組みを始めました。

選挙が近づくと、自治体から有権者全員に「入場整理券」が郵送されますが、ことし5月、このはがきをめぐり、視覚障害のある人たちの団体からの声が寄せられました。

入場整理券

「送られてくるはがきが選挙のものだと分かるようにしてほしい」

この声を受け、市の選挙管理委員会では入場整理券のはがきに点字のシールを貼って郵送できないか、検討が始まりました。

壁を乗り越えて

しかし視覚に障害のある人がいったいどこに住んでいるのか、選挙管理委員会には情報がありませんでした。

選挙管理委員会担当者の話:
「ふだんから障害のある人たちと関わりのある福祉関係の部署であれば把握しているのではないか」

ところが、個人情報の壁が立ちはだかりました。

たとえ同じ市役所の部署であっても、市民に無断でほかの部署に個人情報を提供することはできない決まりになっています。

障がい福祉課による希望調査

そこで5月中旬、福祉の部署では視覚障害のある人のうち、比較的、障害の程度が重い人たちを対象に、意向を確認するためのアンケートを行いました。

26人が同意し、点字の案内がついた入場整理券の郵送を希望したということです。

こうして「さんぎいんせんきょ と-ひょ- にゅーじょーけん」と点字で記されたはがきが初めて発送されました。

市の選挙管理委員会では、今回の沖縄県知事選挙でも同じ取り組みを続けるということで準備を進めています。

選挙管理委員会担当者の話:
「点字の案内があるはがきが必要だということには、要望があって初めて気がつきました。これからも障害のある方々の声を聞きながら取り組んでいきたい」

ひとりひとりの1票に向き合って

これまでに取材をしたほかの自治体では、同じように点字のシールがついた入場整理券を検討したものの、福祉関係の部署の協力が得られずに断念したというケースもありました。

同居する家族がいたりして、代わりに手紙をみてもらうことで、それが入場整理券だと分かる人もいると思います。

それでも、視覚に障害があって、1人暮らしをしている人の中には、届いたはがきの内容を理解できないばかりに、そのまま捨ててしまうという人もいるかもしれません。

誰にも等しく認められた1票の権利を大切にするために、こうした心遣いが広がっていけばと思います。

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