特別支援学校に期日前投票所を設置
(栃木・日光市)

適切なサポートがあれば一票を投じることができる。ある学校への期日前投票所の設置が、そのことに気づくきっかけになっています。
(宇都宮局 齋藤貴浩記者)

栃木県日光市にある「県立今市特別支援学校」には、小学生から高校生までの知的障害がある子どもたち、約90人が通っています。今回の参議院選挙でこの学校に初めて期日前投票所が設けられることになりました。

設置を決めたのは日光市の選挙管理委員会。日光市では若者の投票率アップのために市内すべての高校で期日前投票が行われる予定で、その一環での取り組みです。

この学校で選挙権を持つ生徒は2人。程度の差はありますが、どちらも知的障害があります。このため、
①投票したい候補者を指差ししてもらい、
②選挙管理委員会の職員が代わりに投票用紙に記入する
という方法が用意されます。これが「代理投票」という制度です。

選挙管理委員会の担当者は「投票所で受けられるサポートについて知ってもらい今後も継続的に投票に行くきっかけにしてほしい」と話しています。

選挙権を持つ生徒の1人、佐野遥香さん(18)は、重度の知的障害があって話すことはできませんが、身振り手振りで感情を表すことができます。

佐野遥香さん

母親のユンヒさんによると、遥香さんはふだんから「みんなと同じことがしたい」という思いが強いんだそうです。しかし彼女が投票に行く姿は想像できなかったと言います。

今回、初めての投票に臨む遥香さんを見てユンヒさんは「18歳になっても何かが変わるわけじゃないと思っていた。社会人の1人としての役割を与えられた気持ちです」とうれしそうな様子でした。

今回の対応を学校側も歓迎しています。知的障害のある子どもの中には、慣れない環境に置かれるとパニックになる子どもがいます。

今回、通い慣れた学校で投票できることで、そうした心配も払拭できるといいます。学校ではこれまで、生徒会選挙の時に本物の投票箱を借りるなどして、生徒が「選挙」について知る機会を設けてきました。

しかし、実際の選挙で受けられるサポートについてはほとんどの教員が知りませんでした。小野容子教頭は「生徒が1票を投じられるいい機会になるだけでなく、私たち自身が学ぶ場にもなった」と話していました。

2022年7月5日放送

【動画】特別支援学校に期日前投票所を設置
クリックで動画を再生します

このページの内容はここまでです