字を書くのが苦手な人にとって、投票用紙が小さく、記入しづらい。
投票したくても、移動する手段がない。
選挙公報が見にくい、分かりにくい。
いずれも選挙の時、障害のある人たちが実際に直面した事例です。
これらの改善を求めて、参議院議員選挙を前に、障害者団体などで作るNPOが国に要望書を提出しました。
「投票、嫌だな」

選挙に行くことに難しさを感じているという内田邦子さん(71)。20代のとき、緑内障の影響で視力を失いました。
「あした投票嫌だなって思うこともありますね。やっぱり行き慣れてないところに行くわけですから」と話します。

内田さんのように視覚に障害のある人は、希望をすれば点字による投票も認められています。しかし点字で文字を打つ時に力がかかるため、台が不安定でうまく打てないことがあったといいます。
内田邦子さん:
「下がしっかりしてないと、点が重なって一緒になっちゃうとかあるんですね。ちゃんとした点が出なかったり」

読み上げられても・・
さらに期日前投票の際に、秘密投票の原則が守られない不安も感じました。

ある投票所を訪れた時、点字で読める候補者の一覧表がありませんでした。そのため係の人が候補者の名前を読み上げましたが、自分の投票先が分かってしまうのではないかと心配になったといいます。
内田邦子さん:
「全部読み上げられても忘れちゃうんで、途中でじゃあそこでいいですって言うと、なんか誰に投票したか分かっちゃうんじゃないかしらって、プライバシーを考えちゃいました」
「最も近くて遠いのが選挙」
さまざまな障害者からの声を受けたNPOは、現状は、自治体によって対応に差が大きいと指摘しています。

投票所のバリアフリー化の徹底や、プライバシーへの配慮、知的な障害がある人などに対して分かりやすい選挙公報を出して欲しいなどと国に求めました。

日本障害者協議会 藤井克徳代表:「障害者からすると、もっとも近くて遠いのが選挙。権利侵害を受けやすい障害者が、もっとも大事な権利行為ができないというのは、何かおかしいと思います。真剣に向き合ってもらいたい」