「障害者になって」初めて知った投票への「壁」
(サイトへのご意見より)

「障害者になって初めてわかったこと、感じたことがある」

そう話すのは、この「みんなの選挙」サイトに意見を寄せていただいた40代の女性です。

女性は2019年に小脳に異常が見つかり、手足にまひとしびれが出るようになりました。

めまいに襲われることもあります。

去年、体幹機能障害・3級の障害と認定されました。

普段は買い物も宅配に頼るなど、なるべく移動しない生活をしています。

投票所への移動のハードル

ちょっとした段差や坂でも転倒のおそれがある女性にとって、投票日に指定された投票所まで移動するのは、かなりハードルが高いといいます。

起伏が激しい場所のため、もっとも短い距離で行くには急な階段を降りなければなりません。

一段一段、体の全体を使わなければならないため危険です。

坂を下りて登るコースを通れば安全ではあるものの、かなり遠回りになるといいます。

地図アプリなどでは「徒歩10分」と表示されますが、女性がその距離を歩くと30分近くかかってしまいます。

投票所まで行ければ、投票すること自体に問題はないものの、投票所までの移動は「とてもしんどい」うえ、転倒のリスクもあるため、高い壁となっています。

在宅で投票ができる「郵便投票」ができないかと思いましたが、その対象は限られています。

体幹の障害であれば「1級もしくは2級」まで。女性の障害は3級のため、郵便での投票は認められていません。

今回の参院選では妹の車に乗せてもらって、近くのスーパーへ期日前投票に行きました。

女性は障害の認定を受ける前も投票を続けてきましたが、障害者になって初めて「投票の壁」を知ったといいます。

女性は「郵便投票の対象を広げてもらえたら、自分だけでなく、より多くの人が投票しやすくなるのでは」と考えています。

障害者用の駐車スペースは必要な人に

施設などに設けられている「障害者用の駐車スペース」についても考えることがあるといいます。

同じ病気の知人が、投票に行った際に感じたことをSNSに投稿しました。

先日、期日前投票に行ってきましたが、なんか最近とても混んでいて、午前中、駐車場がなくて出直したけれど、午後も近い駐車場はすぐに埋まってしまって、結局、駐車場の端から投票所がある場所までつえをついて(と言っても、歩きが楽になるわけじゃ無く、ふらつきの支えになっている程度ですが)投票することに。
帰りの車にたどり着くまでなぜか涙が出ました。
投票所の目の前の障害者用の駐車場は封鎖されていました。健常者でマナーのない人が使ってしまうからかなぁ?
私の1票なんて、あってもなくても影響しないからいいか!と思わされた日でした。

この投稿を見て、女性は「自分も障害者となるまで、もしかしたら『ちょっとの間だから』と障害者用の駐車スペースに車を止めていたかもしれないな」と反省したといいます。

そして「障害者となって初めてわかったこと、感じることも多いので、大変な人がいるということを想像できる社会になってほしい」と願います。

投票所までの短い距離の移動で悩む人たちがいる。

障害者用の駐車スペースを必要としている人たちがいる。

みんながちょっとずつ想像力を働かせ、できることをしていくことが投票しやすい社会につながると思います。

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