裁判で勝ち得た権利「代筆による郵便投票」

原告の男性

難病の患者の訴えが、法律を変えたケースがあります。

2000年に、運動の神経がまひして体を動かせなくなる「ALS」という病気の患者3人が起こした裁判。

特別な装置などを使えば「誰に投票したいか」伝えることができるのに、投票所に行ったり自分で字を書いたりできないために投票する方法がないのは、憲法に違反すると主張しました。

それまでの法律(公職選挙法)では、体に重い障害がある人に限って、自宅にいながら郵便で投票できる制度(郵便投票)を認めていましたが、みずから投票用紙に記入することを条件にしていました。

代わりの人に書いてもらう「代筆」は認められていなかったのです。

裁判で患者たちは「郵便投票で代筆を認めるべきだ」と求めましたが、国は「不正を防ぐために自分で書いたものでないと認められない」と反論しました。

2002年11月、東京地方裁判所で言い渡された判決で、裁判長は次のように指摘しました。

「投票の意思を示すことはできるのに、自分で書くことができないために選挙権を行使する機会を奪われている。患者の家を訪ねる方法も考えられるし、海外には同じような人たちが投票できる制度もある」

慰謝料などの訴えは退けましたが、患者が選挙権を行使できないのは“憲法違反の状態”だと判断しました。

改正公職選挙法が可決、成立(2003年7月18日)

これを受けて法律が変わりました。

判決の翌年(2003年)7月、「代筆による郵便投票」が認められることになったのです。

この時の改正で郵便投票の対象には、介護保険制度で介護が必要と認められた寝たきりの人たちも含まれることに。

当時、新たに25万人に投票の道が開かれました。

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