日本の憲法の特徴とは?

1947年に施行された日本国憲法は、これまで一度も改正されずにことしで“75歳"となります。世界各国の憲法と比較することで、日本国憲法の特徴が見えてきました。

非改正で“世界一の長寿"

東京大学のケネス・盛・マッケルウェイン教授は、世界各国の憲法典をデータベース化する「比較憲法典プロジェクト」のデータを用いて、日本国憲法の特徴を分析しています。

おととし(2020年)時点のデータによりますと、70年以上改正されていない日本国憲法は、データにある177の現行憲法の中では改正されずに存続した期間が最も長く、マッケルウェイン教授は「非改正で世界一長寿」の憲法だとしています。2位はデンマーク、次いで大西洋の島国バハマなどとなっています。

一方で世界には100年ほどの間に70回以上改正されているメキシコなど、憲法が頻繁に改正されている国もあります。

単語数の少なさも世界有数

日本国憲法は、文章の量の少なさも特徴の1つです。英語に訳したときの単語数は4998語で、データにある177の現行憲法の中で、モナコやアイスランドなどに次いで、世界で5番目に少ないということです。

単語数の少なさの要因についてマッケルウェイン教授は、「○○については、法律でこれを定める」などと、具体的な定めを法律に委ねる規定が多い点をあげています。

その上でこの特徴が、長期間、憲法が改正されずにきた背景の1つでもあると指摘しています。例えばほかの国では憲法の改正が必要となる選挙制度の変更などが、日本では法律の改正で対応できるというわけです。

“人権"規定が多め、“統治”の規定は少なめ

憲法の規定は主に、国民の権利や自由を定めた「人権」に関するものと、立法府や行政府の仕組みや権限といった「統治機構」に関するものの2つに分類されるといいます。

これについてマッケルウェイン教授は、代表的な項目として「人権」については信教の自由や教育の保障といった26項目、「統治機構」については立法権や解散権といった30項目を設定した上で、各国の憲法に何項目記載されているのか調べました。

そして比較可能な2013年時点のデータベースを用いて各国の憲法を調べた結果、日本国憲法は、「人権」については26項目中17項目を記載し、記載率は約65%でした。

一方で「統治機構」については30項目中11項目を記載。記載率は約37%だったということです。

こうした結果から日本国憲法は、「人権に関しては比較的、手厚く定める一方、統治機構に関する規定は比較的、少なめ」と言えるということです。