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意外に短い? 審理の期間は

審理にかかる期間は、案件によります。最高裁が「上告できるような案件ではない」とみなして「門前払い」するようなケース(「多くは“門前払い” そのワケは?」参照)など、多くは数か月で結論が出ます。一方で裁判官の間で意見が分かれるようなケースや、複雑な案件では、2~3年かかることもあります。

映画化され、「まだ最高裁があるんだ!」というセリフが有名になった「八海(やかい)事件」(1951年に起きた強盗殺人事件。戦後最大のえん罪事件とも呼ばれる)では、最高裁が繰り返し審理を「差し戻し」(高裁にやり直しを命じること)、合計3回にわたって最高裁で審理される異例の経過をたどりました。最高裁ではそれぞれ3年~4年にわたって審理が行われ、事件発生から3回目の最高裁判決で4人の無罪が確定するまでに17年もの年月がかかりました。

裁判は人権や権利関係に関わるので、一般的には速やかに進めるのが望ましいのですが、最高裁には「最後の砦」としての役割も求められています。「スピード」と「慎重さ」を同時に求められるのが、最高裁の裁判官の「宿命」なのかもしれません。