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多くは“門前払い” そのワケは?

日本は三審制ですが、実は、最高裁に上告できる案件は限定されています。原則として、憲法や最高裁の判例に違反するかどうか、法令の解釈が間違っているか、といった法的な問題を含む案件だけです。最高裁が「上告できる案件だ」とみなし、最高裁としての判断を示す場合は、法廷を開いて「判決」を言い渡す形で結論と理由を示します。判決の前に双方の主張を聞く「弁論」を開くこともあります。弁論が開かれると、多くの場合、地裁や高裁の判断が変更されます。

逆に、最高裁としての判断を示さない場合や、「上告できる案件ではない」とみなした場合は、法廷を開かず、当事者に結論を示した文書(「決定」と言います)を送って終わりになります。ほとんどの場合は「上告できる案件ではない」という短い説明だけで上告が退けられています。いわば「門前払い」の形です。その理由は、事実関係の認定は地裁や高裁が担い、最高裁は法的な判断に徹するという「役割分担」が法律で定められているからです。ただし、刑事裁判では、地裁や高裁の判断に問題があり、そのまま確定させると「著しく正義に反する」と考えられる場合は、「最後の砦」として、地裁・高裁の判断を覆すこともあります。