「令和」どう受け止めた

世論の評価は、海外は、アスリートは…新元号決定を受けた反応をまとめました。

世論調査 「令和」 80%超“好感”

NHKは4月5日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは2292人で、55%にあたる1250人から回答を得ました。

「平成」の次の新しい元号に決まった「令和」に、どの程度好感が持てるか聞いたところ、
▽「大いに好感が持てる」が30%
▽「ある程度好感が持てる」が51%
▽「あまり好感が持てない」が11%
▽「全く好感が持てない」が3%でした。

「令和」は、初めて日本の古典「万葉集」から引用されました。これについて
▽「評価する」が63%
▽「評価しない」が3%
▽「どちらともいえない」が30%でした。

一方、ふだん、元号と西暦のどちらを多く使うか尋ねたところ、
▽「元号」が38%
▽「西暦」が21%
▽「同じくらい」が36%でした。

ロバート・キャンベルさん「平和への思いをくみ取る」

新しい元号が「令和」に決まったことについて、日本文学の研究者で国文学研究資料館・館長のロバート・キャンベルさんは、「昭和の『和』を引き継ぎつつ、『令』という具体的なイメージがつきづらいことばを使っているというのが第一印象だ。『令』という字は、漢文では、何かをさせる、向かわせるという意味なので、平和になるようにさまざまな人が努力をし、たゆまぬ平和の尊さを思い、行動に移すという意味をくみ取るのがふさわしいと思う」と話しました。

また、長い元号の歴史の中で初めて日本の古典が元号の典拠となったことについて、「日本の古典に依拠するということは、日本の独立や独自性を強調するねらいがあるのだろう。万葉集は世界の中でもとても古い国民の歌であり、声として伝わったものを筆記したものだ。日本の人々の生の声を大切にする口承性を考えると、万葉集を典拠としたことはすばらしい選択だと思う」と語りました。

そのうえで、「『令』と『和』の字は後漢の時代に張衡が詠み、のちに「文選」という中国の古典に収められた「帰田賦」という漢詩に出てくる。典拠となった万葉集の歌の序文を書いた人は、こうした中国の古典を読み尽くしていて、それをなぞり引き写しながら書いたはずなので、何もないところからゼロから書かれたことばではなく、東アジアの漢字文化圏の中で常に共有され大切にされてきた価値観の中から作られたことばだと言える思う」と述べました。

さらに、「ヘボン式のローマ字で表記すると『令和』の頭文字はRになる。英語圏の人にとって『レイワ』という音は発音しやすいが、日本人はRとLの発音の区別が苦手な人が多いので、元号を使って英語で話す際には少し苦労するかもしれませんね」と話していました。

そして、「これまでのような天皇の崩御に伴う改元ではなく、在位中に新しい元号が発表されたことは掛け値なしにうれしい。次の元号を心の中でなじませることができるのは非常にいいことだ。花が咲き誇る春らんまんの季節のイメージにぴったりの元号なので覚えやすいし、この瞬間を共有したことはみんなの記憶の中に長くとどまると思う」と話していました。

弘兼憲史さん 島耕作なら「何とか乗り切ろう」

新元号の発表を受けて、平成を生きるサラリーマンの姿を描いてきた漫画「島耕作」シリーズの作者、弘兼憲史さんは、「島耕作に言わせるとしたら、なんとか頑張って乗り切ろうというげきを飛ばすような演説になると思います」と話しました。

昭和58年に連載が始まった漫画「島耕作」シリーズは、大手電機メーカーを舞台に、サラリーマンの出世争いなど日本企業のリアルな人間模様を描いて人気となり、主人公の島耕作は平成の30年を経て「会長」まで上り詰めました。

作者の弘兼憲史さんは新元号の「令和」について、「こういうことばは日本にはないと思っていたのでびっくりしました。自分の漫画の連載が昭和・平成・令和と3つの元号で続くというのは幸せなことでもあるし、誇りでもあります」と話しました。

そして、「平成はすぐにバブルが崩壊し日本経済が低迷した時期でした。大きな震災もあり、経済曲線的にはかなり下り坂で、島耕作のようなサラリーマンにとっては、いちばん厳しい時代だったと思います」と平成を振り返りました。

そのうえで、「元号がかわったら、漫画の中で島耕作は演説をすると思うんですが、その中で言わせるとしたら、今は祝賀ムードですが、新しい『令和』という時代はかなり厳しいものが待っている。少子高齢化や東アジアの情勢不安、大きな災害が起こる可能性も高い。なので、この『令和』という時代をなんとか頑張って乗り切ろうというげきを飛ばすような演説になると思います」と指摘していました。

一方で、「新しい時代はいろんな新しいツールが出てきますし、技術革新も出てくる」と今後への期待を語り、「そういう時代の変化をつぶさに漫画の中で表現していきたいと思っています」と話していました。

海外メディアも速報

平成に代わる新しい元号が決まったことについて、海外メディアも速報で伝えました。
このうちアメリカのAP通信は「日本政府は5月1日から皇位を継承する次の天皇の時代の名称が『令和』に決まったと発表した」と速報で伝えました。

また、フランスのAFP通信は、「天皇の退位にともなって迎える新しい時代の名称は『令和』になった」と報じたうえで、言葉の意味について、「令は、『order(秩序)』や、『auspicious(さい先がよい、吉兆の、など)』のような意味だ。和は、『peace(平和)』や、『harmony(調和)』などと翻訳されることが多い」と解説しています。

このほか、イギリスの公共放送BBCは、「新しい元号に使われている2文字の漢字について、秩序を意味する『order』と調和を意味する『harmony』を示している」と速報しました。

中国メディアも相次ぎ速報

中国の国営メディアなども相次いで速報で伝えました。

中国共産党系のメディア、「環球時報」の電子版は天皇の退位を前に元号が発表されるのは日本の憲政史上初めてだと伝えました。また「令和」の典拠、いわゆる出典について、元号はこれまで中国の古典から選ばれてきたが、今回初めて日本最古の歌集である「万葉集」から引用されたと伝えました。

国営の中国中央テレビは日本時間の4月1日午後0時20分ごろ、ニュース番組の中で日本の新しい元号が「令和」に決まったことを伝えました。

この中では、新しい元号は日本の古典「万葉集」からの出典で、5月1日から正式に使われること、さらに、今回の退位はおよそ200年ぶりのことであるなどと紹介しました。

韓国メディアの反応

韓国の各メディアも速報で伝え、このうち通信社の連合ニュースは、元号が発表された際、街頭の大型モニターを見ていた市民たちから歓声が上がったことや新聞の号外が、配られたことなど、日本国内の反応を伝えました。

また、韓国の大手ポータルサイトでは、昼すぎに日本の元号に関する検索数が5位になるなど、韓国国内での関心の高さがうかがわれました。

一方で革新系のハンギョレ新聞は「令和」の典拠いわゆる出典について今回、初めて中国の古典ではなく日本の古典から引用されたとする報道を受けて、「日本の伝統を重視する安倍総理大臣の保守的な世界観が投影されたと解釈できる」と論評を加えました。

ロシアメディアの反応

ロシアの国営メディアは、日本国内の様子や元号の説明なども加えて詳しく伝えました。

このうちロシア国営テレビは元号の発表を伝える街頭のモニターの前に多くの市民が集まって見守っていたことや「令和」を平和のイメージと結び付ける市民が多いことなど日本国内の様子を伝えました。

また国営のタス通信は、元号は日本では運転免許証や健康保険証などほとんどの証明書で使われている一方で、日本人の若者は元号よりも西暦を利用する傾向にあることなどを紹介しました。

「令和」 アスリートたちは

カズ「令和でもゴールあげたい」

サッカーJリーグで最年長の横浜FCの52歳のカズ、三浦知良選手
「発表はテレビで見ていた。昭和から平成を生きていた僕としては、まだ『令和』というのが自分からすっと出てこない。昭和の最後のほうはブラジルでプロとしてプレーしていた。平成は30年間ずっとプロとしてプレーした。また新たな元号の中でプロとしてプレーができると思うとやはりうれしい。平成のうちに早く1点を入れて、令和でもまた出場してゴールをあげたいと思う」

新大関 貴景勝「『令和』代表する力士に」

大相撲の新大関 貴景勝
「第一印象としてはとてもきれいな言葉だと感じた。次の時代が来るというのは不思議な感じがするが、新しい時代を代表できる力士になりたい」
(「令和」で迎える最初の5月の夏場所について)「次の場所、優勝するために向かっていくということが一番大事だ。最初といういい区切りだからいいスタートが切れるようにしたい。大関よりもさらに上の番付を目指し、力をつけていきたい」

競泳選手たちが新時代での活躍誓う

瀬戸選手(左) 入江選手(中) 大橋選手(右)

リオ五輪 男子400メートル個人メドレーの銅メダリスト、瀬戸大也選手
「元号が変わることしは東京オリンピックに向けてキーポイントになる1年だと思っていて、元号も変わる中、心機一転、ことしにのぞみたい。自分の夢の東京オリンピックが来年に迫ってきていて、令和に変わってすぐとなる夢の舞台で、しっかりと大きな花を咲かせたい」

2020年の東京大会で4大会連続の夏の五輪を目指す、29歳の入江陵介選手
「2006年に日本代表に入ったとき、『平成生まれで初めての代表に入った』と言われたので、これからは新しい元号で生まれた選手が代表に入ってくると思うと不思議な感覚です。新たな元号で東京オリンピックを迎える来年は特別な年になるので、歴史の教科書に載るような1年にできるよう頑張りたい」

女子の個人メドレー2種目の日本記録を持ち、東京五輪で活躍が期待される23歳の大橋悠依選手
「まだ新しい元号に慣れないが、あと1年でオリンピックが来るので、できることを地道にやってじっくり耐えながら一つ一つ進んでいきたい」

卓球 平成生まれの3選手「令和」へ決意語る

伊藤選手(左) 平野選手(中) 張本選手(右)

2018年、中国のトップ選手を連続で破るなど国際大会での活躍が続く18歳の伊藤美誠選手
「私はまだ18年しか平成を生きていないので、平成が終わるのはさみしいなと思う。『令和』はまだ聞き慣れないが、平成も同じだったと思うので、だんだんとなじんでいくようにしたい。世界選手権が平成最後の大会になるので、笑って終わりたいし、平成はすごく楽しかったので、令和という新しい時代もいろいろな思い出を作って楽しく過ごしたい」

伊藤選手と同い年の18歳の平野美宇選手
「平和の『和』が入っているので、平和な時代になればいいなと思う。自分が生まれた平成と違う元号になるのは不思議だが、時代はどんどん新しくなっていく。東京オリンピックは令和何年と言われて残っていくと思うので、そこに自分が出場できるように、この1年間全力でやりたい」

2018年12月に世界トップ選手が集まる国際大会で優勝した15歳の張本智和選手
「新しい元号が何になるのかずっと気になっていたが、『智和』の『和』が入っていたので、ちょっとうれしかった。自分は平成しか知らないので、平成に感謝して次の時代も頑張りたい。新しい時代に自分の悔いのない卓球人生を送りたい」

  • 新元号は「令和」 出典は「万葉集」

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