神奈川県
「緊急事態措置」「休業要請」

目次

    神奈川県 4月11日から「休業要請」 東京都と同じ基準

    2020年4月10日

    東京都の小池知事が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、6つの業態や施設に休業を要請したことを受け、これまで都とは歩調を合わせられないと発言してきた神奈川県の黒岩知事が「都と全く同じ基準にする」と述べ、一転して神奈川県でも4月11日から休業を要請する考えを示しました。

    これまで黒岩知事は、東京都との財政規模の違いなどを理由に国の補償がなければ休業は要請できないとして、都に対し「歩調がそろわないと、東京から神奈川に人が流れ、神奈川の感染リスクが増す」として共同歩調を取るよう求めていました。

    こうした中、4月10日、小池知事が感染拡大を防ぐため「遊興施設」や「商業施設」など、6つの業態や施設に4月11日からの休業を要請することを明らかにしました。

    これを受け、黒岩知事は4月10日の会見で「国と都が時間をかけて調整して合意したのであれば、神奈川県としても対象や時期を都と全く同じ基準にする」と述べ、一転して神奈川県でも4月11日から、急きょ休業を要請する考えを示しました。

    神奈川県「緊急事態措置」内容全文

    新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の発令に伴い、神奈川県が7日に発表した緊急事態措置の実施方針は次のとおりです。

    実施する措置の内容

    (1)県民の外出の自粛

    法第45条第1項に基づき、生活の維持に必要な場合を除き、外出の自粛を強く要請する。また、やむを得ず外出する場合でも、「密閉」「密集」「密接」を避ける行動を徹底することや、テレワークや時差出勤などに努めることを呼びかける。

    (2)多数の方が利用する施設の利用の制限等

    当面は、県民の外出抑制を最優先に取り組むこととし、県民の日常生活の維持に必要な事業活動については、感染防止対策に留意の上、継続を要請する。継続を依頼する業種等の類型は、医療体制の維持、支援が必要な方々の保護の継続、安定的な生活の確保、社会の安定の維持の観点から、別紙(緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者)のとおりとする。
    ※「別紙」部分は文末。

    施設の利用制限について、学校については、5月6日まで原則として施設の利用を制限し、その他の施設については、外出自粛の効果を確認しながら、クラスターの発生状況などを見極めて実施する。実施にあたっては、法第24条に基づき、施設の使用制限等の協力要請を行い、その効果を見極めながら、法第45条第2項、3項に基づく要請、指示を順次行い、その旨を公表する。

    (3)臨時の医療施設における医療の提供

    新型コロナウイルス感染症に対応する医療体制「神奈川モデル」では、医療崩壊を防ぐため、入院の必要な中等症の患者を集中的に受け入れる「重点医療機関」を設定するとともに、重症者に対しては高度医療を提供できる医療機関の治療体制を確保し、軽症者や症状がない感染者については、自宅や宿泊施設等での安静・療養を原則としている。

    神奈川モデルによる医療の提供にあたって、必要が生じた場合は、法第48条、49条に基づき、臨時の医療施設における医療の提供、そのための土地・建物の使用を行う。

    (4)緊急物資の運送

    必要に応じ、法第54条に基づき、緊急事態措置の実施に必要な物資、医薬品、医療機器などの輸送を、指定公共機関である輸送事業者に要請、指示を行う。

    (5)物資の売り渡しの要請

    必要に応じ、法第55条に基づき、緊急事態措置の実施に必要な食料、医薬品などの物資について、所有者に対して売り渡しの要請、収用などを行う。

    (6)生活関連物資等の価格の安定等

    国や市町村と連携し、県民の生活に関わる物資・役務の価格の高騰や、供給不足が生じないよう関係法令に基づく措置を行う。

    (7)その他

    上記の他、必要に応じて、特措法に基づく措置を行う。

    緊急事態措置を円滑に行うための取り組み

    (1)県民・事業者への周知

    緊急事態措置の実施にあたり、知事から、県民・事業者に強くアピールし、理解と協力を求める。ホームページ、SNSなどあらゆる媒体を活用し、県が行う緊急事態措置の周知に努める。施設の利用制限の措置を行う場合は、関係団体等を通じて、周知する。

    (2)緊急事態措置に伴う影響への対応

    緊急事態措置により影響を受ける県民・事業者等に対して、国の緊急経済対策に基づく施策などと連携し、県対策本部の緊急経済・社会対策部で、きめ細かな支援に努める。売り上げ不振や生活の困窮など、県民や事業者から社会経済面からの相談に対応するコールセンターを設置する。

    (3)医療体制の確保

    神奈川モデルによる医療供給体制を確立するため、医療機関や医療従事者、民間事業者の理解を得て、病床や宿泊施設の確保に全力で取り組む。新型コロナウイルス感染症に対処する医療関係者を応援するよう、県民に求める。

    (4)市町村との連携

    本実施方針を市町村に周知し、県民の外出の自粛の要請など、緊急事態措置の実施に協力を求める。

    (5)県の実施体制

    8月末まで、県が主催するイベントや県民利用施設の休止等を行う。緊急性のない業務の休止や延期、縮小などを徹底し、全庁を挙げて、緊急事態措置を含めた新型コロナウイルス対策を推進する。

    緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者 ※別紙部分

    (1)医療体制の維持

    新型コロナウイルス感染症の治療はもちろん、その他の重要疾患への対応もあるため、すべての医療関係者の事業継続を要請する医療関係者には、病院・薬局等のほか、医薬品・医療機器の輸入・製造・販売、献血を実施する採血業、入院者への食事提供など、患者の治療に必要なすべての物資・サービスに関わる製造業、サービス業を含む。

    (2)支援が必要な方々の保護の継続

    高齢者、障害者など特に支援が必要な方々の居住や支援に関するすべての関係者(生活支援関係事業者)の事業継続を要請する。

    生活支援関係事業者には、介護老人福祉施設、障害者支援施設等の運営関係者のほか、施設入所者への食事提供など、高齢者、障害者などが生活する上で必要な物資・サービスに関わるすべての製造業、サービス業を含む。

    (3)国民の安定的な生活の確保

    自宅等で過ごす国民が、必要最低限の生活を送るために不可欠なサービスを提供する関係事業者の事業継続を要請する。

    1.インフラ運営関係(電力、ガス、石油・石油化学・LPガス、上下水道、通信・データセンター等)。
    2.飲食料品供給関係(農業・林業・漁業、飲食料品の輸入・製造・加工・流通・ネット通販等)。
    3.生活必需物資供給関係(家庭用品の輸入・製造・加工・流通・ネット通販等)。
    4.食堂、レストラン、喫茶店、宅配・テークアウト、生活必需物資の小売関係(百貨店・スーパー、コンビニ、ドラッグストア等)。
    5.家庭用品のメンテナンス関係(配管工・電気技師等)。
    6.生活必需サービス(ホテル・宿泊、銭湯、理美容、ランドリー、獣医等)。
    7.ごみ処理関係(廃棄物収集、・運搬、処分等)。
    8.冠婚葬祭業関係(火葬の実施や遺体の死後処置に係る事業者等)。
    9.メディア(テレビ、ラジオ、新聞、ネット関係者等)。
    10.就労者等の子どもを預かる施設(保育所、放課後児童クラブ、預かり保育等を実施している幼稚園など)。
    11.個人向けサービス(ネット配信、遠隔教育、ネット環境維持に係る設備・サービス、自家用車等の整備等)。

    (4)社会の安定の維持

    社会の安定の維持の観点から、緊急事態措置の期間中にも、企業の活動を維持するために不可欠なサービスを提供する関係事業者の最低限の事業継続を要請する。

    1.金融サービス(銀行、信金・信組、証券、保険、クレジットカードその他決済サービス等)。
    2.物流・運送サービス(鉄道、バス・タクシー・トラック、海運・港湾管理、航空・空港管理、郵便等)。
    3.国防に必要な製造業・サービス業の維持(航空機、潜水艦等)。
    4.企業活動・治安の維持に必要なサービス(ビルメンテナンス、セキュリティ関係等)。
    5.安全安心に必要な社会基盤(河川や道路などの公物管理、公共工事、廃棄物処理、個別法に基づく危険物管理等)。
    6.行政サービス等(警察、消防、その他行政サービス)。

    (5)その他

    医療、製造業のうち、設備の特性上、生産停止が困難なもの(高炉や半導体工場など)、医療・支援が必要な人の保護・社会基盤の維持等に不可欠なもの(サプライチェーン上の重要物を含む)を製造しているものについては、感染防止に配慮して、継続する。また、医療、国民生活・国民経済維持の業務を支援する事業者等にも、事業継続を要請する。