東京都
新型コロナ警戒レベル引き下げ
営業短縮要請も9月15日終了

2020年9月10日

東京都内の新型コロナウイルスの感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」が開かれ、感染状況の警戒のレベルを、およそ2か月続けてきた最も深刻な表現から1段階引き下げました。
これを受けて都は、飲食店などに要請している午後10時までの営業時間の短縮について、予定どおり9月15日で終了する方針です。

会議の中で都内の感染状況について東京都医師会の猪口正孝副会長は、新たな感染の確認が直近7日間の平均で149人と、前の週の183人から減少したと指摘するとともに、「減少速度は緩やかで、感染者数が再び増加することへの警戒が必要だ」と分析しました。

そのうえで、「数も率も安定して下がっているが、最も深刻な表現に戻るギリギリの水準だ」と指摘し、4段階ある警戒のレベルのうち、およそ2か月続けてきた最も深刻な表現から1段階引き下げて、「感染の再拡大に警戒が必要であると思われる」という上から2番目の表現にしました。

これを受けて都は、23区の酒を提供する飲食店などに要請している午後10時までの営業時間の短縮について、予定どおり9月15日で終了する方針です。

一方、会議では医療提供体制について、医療機関への負担が長期化しているなどとして、「体制強化が必要であると思われる」と評価し、4段階あるレベルのうち、上から2番目の表現を10週連続で維持しました。

専門家が指摘「再びの増加に警戒必要」

9月10日のモニタリング会議では、都内の感染状況の警戒のレベルが1段階引き下げられたものの、出席した専門家は新たな感染の確認について「再び増加することへの警戒が必要な状況に変わりない」などと指摘して、警戒を呼びかけました。
会議の中で示された感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

感染状況

まず、感染状況についてです。

新たな感染の確認は9月9日までの7日間の平均では149人で、ことし4月から5月に緊急事態宣言が出されていた間で最も多かった167人をおよそ2か月ぶりに下回りました。

ただ、専門家は「依然として高い水準で推移している」と指摘したうえで、病院内や施設内で数十人規模のクラスターが発生すると、前の週と比べた「増加比」が再び100%を超えるおそれがあるなどとしています。

そして、新たな感染の確認が「再び増加することへの警戒が必要な状況に変わりはない」と指摘しました。

年代別では、9月7日までの1週間で最も多いのは
▽20代の26.1%で、
次いで
▽30代が21.1%、
▽40代が16.7%などとなっています。

また、感染経路が分かっている人のうち、
▽家庭内での感染が37.4%と最も多く、
次いで、
▽施設内が14.7%、
▽職場内が13.8%、
▽会食が9%などとなっています。

家庭内での感染が最も多くなったのは少なくとも6週連続です。

専門家からは「家庭にウイルスが持ち込まれると感染を防ぐことは困難で、まずは家庭内に持ち込まないように対策の徹底が必要だ」と指摘しました。

また、地域別では、島しょ部でも感染が確認されるなど、都内全域に広がっていると報告されました。

医療提供体制

続いて、医療提供体制です。

9月9日時点での入院患者は1248人で、8月1日以来、1200人台まで減少しました。

しかし、専門家は「依然として高い水準で再び増加することへの警戒が必要だ。医療機関への負担が長期化している状況に変わりない」と指摘しています。

また、都の基準で集計した重症患者は9日の時点で24人で年代別にみると、 ▽40代が2人、
▽50代から60代が15人、
▽70代以上が7人でした。
▽30代以下はいません。

専門家は「重症患者数も増減を繰り返しながら減少傾向が見られるが、新たな感染者で中高年が占める割合が高くなっていることから、警戒が必要である」と指摘しています。

また、今後インフルエンザの流行期には、発熱などの症状ではインフルエンザの患者なのか新型コロナウイルスの患者なのかを見分けることは困難だとしたうえで、「発熱のある患者の相談や検査、それに診療の体制を作ったり強化したりすることが大きな課題だ」と指摘しています。