独自の「ワクチンパスポート」
で面会制限緩和の病院も 大阪

2021年11月8日

新型コロナウイルス感染者の減少傾向が続く中、大阪の医療機関の中にはワクチンの接種を条件に患者と家族の面会の制限を緩めるところも出てきて、コロナ禍で家族の交流をどう実現するか、模索が始まっています。

堺市北区にある仁悠会吉川病院は、内科や産婦人科など90床のベッドがある総合病院です。

この病院では患者と家族の面会について、2020年の春以降、緊急事態宣言の期間中は禁止するなど、厳しく制限してきました。

しかし、患者の家族からの要望や緊急事態宣言の解除を受けて、10月半ばからワクチン接種を条件の1つとして面会の制限を緩めました。

具体的には、ワクチンを2回接種した人に病院独自の「ワクチンパスポート」を発行して面会の際に提示してもらうほか時間は1日15分間、人数は1人に限り、予約制で面会できるようにしました。

この日は、97歳の男性患者の娘が面会に訪れ、受付でワクチンパスポートを示して病室に入りました。

男性患者は笑顔で近況を話し、娘の訪問を楽しんでいるようでした。

病院の香村英孝事務長は「安全を考えて面会を禁止すべきという意見もあったが、患者や家族が長い期間会えない不安をどうにか解消できないかと考えた末、今の方法で始めることになった。パスポートがあっても無条件に面会していいわけではないので、今後も検証しながらよりよい方法を考えていきたい」と話していました。

大阪府内では、ほかにも大阪大学医学部附属病院が面会の際にワクチンの接種証明書の掲示を求めるなど、コロナ禍で家族の交流をどう実現するのか、模索が始まっています。

病院を訪れた熊谷保代さんは、週に1回、入院中の97歳の父親に面会に来ています。

父親は足を骨折して2020年4月から入院し、リハビリを続けています。

熊谷さんはまず、受付で病院から発行されたワクチンパスポートを示して病室に入りました。そして熊谷さんと父親は近況を話し合ったり、車いすを使って面会スペースに移動し窓の外の様子を見たりして、短い面会の時間を楽しんでいました。

面会した熊谷さんは「全く会えない期間が長かった時には、病院のスタッフに『まだ来てくれないのか』と話していたと聞いています。家族が別の病院に入院している知り合いは2020年からずっと面会できていないとも聞いているので、こういう形でも面会できるのは安心だし、ありがたいです」と話していました。