初の「東京アラート」
都民に警戒呼びかけ

2020年6月2日

東京都は6月2日、都内で新たに34人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されるなど感染状況の悪化の兆候が見られるとして、都民に警戒を呼びかける「東京アラート」を出しました。「東京アラート」が出されるのは初めてです。

『東京アラート』 どう判断

東京都は休業要請の緩和や予想される「第二波」に備えて再び休業を要請する際の判断の目安とする7つの指標と具体的な数値を公表しています。

①~③の指標のうち1つでも目安の数値を超えた場合に、④~⑦の指標も勘案したうえで、必要と判断された場合、都民に呼びかける「東京アラート」が出されます。

新規感染者数

新たな感染者の数はこのところ増加傾向にあり、6月2日は34人の感染が確認されました。1週間の平均でみると16.3人で、緩和の段階を進める場合の基準となる20人未満を下回っているものの、19日ぶりに30人以上となり、都は「警戒すべき状況だ」としています。

感染経路不明の割合

感染経路がわからない人の割合は、6月2日の時点で目安となる50%未満を超えて50%ちょうどでした。

感染者の増加比率

また、感染確認の週単位の増加比率も、1を超えると前の週より増えたことを示しますが、6月2日の時点で2.15となりました。2を超えると休業などを再要請する目安を超えたことになり、これも都は、「警戒すべき状況」だとしています。

感染の状況

さらに、感染の状況をみると、夜の繁華街に関連する感染が多くなっているほか、医療機関で集団感染がみられることにも都は懸念を示しています。

こうした点について専門家に意見を求めたところ、「医療提供体制は確保できているものの、直近の感染状況の推移を鑑みると、感染拡大を警戒すべき状況にある」と指摘されたということです。

このため、都は都民や事業者に感染拡大の警戒を呼びかける必要があるとして、「東京アラート」を出すことを決めました。

しかし、「東京アラート」が出されても、6月1日から移行した「ステップ2」はただちに変わることはありません。

さらに「東京アラート」の効果があらわれなかった場合に、再び休業を要請する際の目安の数値も設けられています(上の表右側)。

具体的には1週間の平均でいずれも1日当たり、新たな感染の確認が50人以上、感染経路がわからない人の割合が50%以上になり、感染した人の週単位の増加比率が2倍以上になることです。

都はこれらの数値のうち複数で目安を超えると、再び休業を要請するとしています。

「東京アラート」が出たことを知らせるために、6月2日夜、東京都では臨海部にかかるレインボーブリッジを赤く点灯させて警戒を呼びかけました。

小池知事「これ以上、波を高めないために」

小池知事は「ここまで感染を抑えてきたのは都民の協力があってのことだ。改めてこの波をこれ以上、高めないために協力をお願いしたい」と述べました。

そのうえで、休業要請などの段階的な緩和について、「『ステップ2』に移行しているが、これで『ステップ1』に戻るというものではない。ただし、徹底した対策をして、事業を再開した方々には注意をいただきたいし、利用される方々にも基本的な感染症の防止に協力をいただきたい」と述べました。

そして、「改めて原点に立ち返って、一人一人の行動が社会全体に影響をもたらすという意識を持ってほしい」と呼びかけました。