東京都 「休業要請」の緩和
宣言解除後どう進める

2020年5月22日

東京都の小池知事は、5月22日の記者会見で、緊急事態宣言が解除されたあと、休業などの要請を段階的に緩和していくための「ロードマップ」を示しました。

この「ロードマップ」には、現在の「ステップ0」から「ステップ3」までの段階があります。

小池知事は会見で、緊急事態宣言が解除された場合の対応ついて、「速やかに『ステップ1』に進む。たとえば25日に解除されたら26日の午前0時ということになろうかと思う」と述べ、5月25日に緊急事態宣言が解除された場合、翌・5月26日から緩和を始める考えを示しています。

ステップが次に進むかどうかは、次の7つの指標を用いて判断するとしています。

①新規の陽性者数
②新規の陽性者で接触歴が分からない割合
③週単位の陽性者増加比
④重症患者数
⑤入院患者数
⑥PCR検査の陽性率
⑦受診相談窓口における相談件数

東京都は新規陽性者数が1週間の平均で1日あたり20人未満になるなど、目安となる3つの数値とほかの指標の推移も踏まえて、原則として2週間単位で状況を評価し、専門家の意見を聴いたうえで総合的に判断するとしています。

小池知事は、「感染者が少ない状況が続けば、次のステップへの移行を早めることも検討したい」と述べています。

一方、感染状況が悪化した場合は再び休業要請を行うこともあるとしていて、感染の状況が目安の数値を超えた場合には、東京都独自で「東京アラート」を出して警戒を呼びかけることにしています。

(25日追記)
東京都は、社会経済活動を早期に取り戻すため次のステップに進むまでの期間を短縮したい考えで、感染拡大が抑えられていることを前提に、早ければ今週末、生活必需品以外の小売店などが緩和の対象となる「ステップ2」に入ることも検討しています。

ステップ1

緊急事態宣言が解除されたあと、最初の段階で緩和の対象となるのは博物館、美術館、図書館、観客席を除いた体育館や水泳場、ボーリング場などの「屋内の運動施設」です。

例えばドーム球場や体育館で、プロ野球やバスケットボールのBリーグの無観客試合を行うことや、ナショナルトレーニングセンターを利用したアスリートの練習などが可能となります。

さらに、宅配以外の居酒屋を含む飲食店、料理店喫茶店は現在、午後8時までの短縮を要請している営業時間を午後10時までとし、酒類の提供も午後10時までとします。

イベントについては50人までの規模のものは開催できるとしています。

ステップ2

次の段階で新たに緩和の対象となるのは、観客席を含めた「屋内外の運動施設」のほか、自動車教習所、学習塾、劇場、観覧場、映画館、演芸場、集会場、公会堂、展示場、商業施設で、生活必需物資の小売関係など以外の店舗、生活必需サービス以外のサービス業を営む店舗です。

イベントについては100人までの規模のものは開催できるとしています。

ステップ3

さらに次の段階では新たにネットカフェ、漫画喫茶、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場、マージャン店、パチンコ店、ゲームセンター、遊園地などが対象となります。

また、宅配を除いた居酒屋を含む飲食店、料理店、喫茶店は翌日の午前0時まで営業できるようになります。

酒類の提供も翌日の午前0時までとなります。

イベントについては1000人までの規模のものは開催できるとしています。

一方、この段階でも、ナイトクラブなど接待を伴う飲食店のほか、ライブハウス、カラオケボックス、それにスポーツジムなどについては、これまでにクラスターが発生するなど感染のリスクが高いとして引き続き休業を要請します。

こうした業種の緩和については、今後の国の対処方針などを踏まえて、検討していくことにしています。

東京都 宣言解除後の営業再開へ 事業者向けにコロナ対策指針

東京都は緊急事態宣言が解除された後、休業していた施設が営業を再開するにあたり、感染拡大を防ぐための対策をまとめた事業者向けのガイドラインを作成しました。

この中で施設の利用者向けの対策として、入場時には日時指定予約やオンラインチケットなどを導入して混雑を緩和すること、施設内では座席の配置を工夫するなどして人と人との間隔をできるだけ2メートル確保することをあげています。

また、従業員向けの対策として、制服などはこまめに洗濯することや、営業中の施設では扉や窓を開けたうえで扇風機などを外に向けて使用して定期的な換気を行うこと、それに更衣室や休憩室に一度に入る人数を制限することなどをあげています。

また、施設の環境整備として、レジや窓口に飛まつを防ぐアクリル板や透明のカーテンを設置したり、キャッシュレス決済を導入したりして接触の機会を避けることや、トイレではハンドドライヤーの使用を中止し、できるだけペーパータオルを設置すること、鼻水や唾液がついたごみは袋に入れて縛るなど密閉したうえで捨てること、不特定多数の人が触れるエレベーターのボタンやタッチパネルなどはこまめに消毒することをあげています。

さらに、万が一、感染者が出た場合の対応として、保健所との連絡体制を事前に整えることや来場者の把握に努めることをあげています。

一方、ガイドラインでは、公共施設や商業施設など20の種類別に対策の例もまとめています。

このうち最初の段階で休業などの要請が緩和される博物館や美術館では、展示の配置を工夫したり一方通行を設定したりして人と人との十分な距離を確保することや、展示作品の前には、床に目印をつけて多くの人が滞留しないよう工夫することをあげています。

図書館ではオンラインの予約による貸し出しを行うほか、本棚で閲覧した資料は直接戻さずに返却台に置くよう求めるなど注意喚起を行うことをあげています。

レストランや料理店でテレビを設置している店では、飲食中の上映を休止して客の滞在時間を短縮するよう工夫することやビュッフェスタイルの店では料理にふたをして従業員が取り分けて提供するなど衛生管理を徹底することなどをあげています。

居酒屋では料理は大皿での提供を避けて個々に提供することや、グラスやおちょこの回し飲みを控えるよう客に呼びかけること、複数のグループの相席を避けることなどをあげています。

都はこのガイドラインをホームページで公開しています。