緊急事態宣言 関西は解除
首都圏・北海道は継続

2020年5月21日

新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言について、5月21日、大阪、京都、兵庫の関西2府1県で解除する一方、首都圏の1都3県と北海道では宣言を継続することになりました。各都道府県はどう対応するのか、まとめています。

関西は解除

大阪府の対応

大阪府は5月21日夜、対策本部会議を開き、休業要請を継続している、床面積の合計が1000平方メートルを超える、ネットカフェなどの遊興施設、屋外プールなどの運動施設、遊園地やパチンコ店などの遊技施設、集会、展示施設への休業要請については、業界団体などが作成したガイドラインを順守し、感染防止対策を徹底したうえで、5月23日午前0時から解除することを決めました。

また営業時間を夜10時まで、酒類の提供時間は夜9時までとしている居酒屋を含む飲食店についても、営業の自粛要請をすべて解除することを決めました。

一方、クラスターと呼ばれる感染者の集団が発生した夜の接待を伴う飲食店や、ライブハウス、スポーツクラブ、カラオケ店は依然、感染拡大のリスクがあるとして、今回も解除を見送りました。府ではこれらの施設の再開の可否について、5月29日までに改めて判断する方針です。

また開催の自粛を求めてきたイベントについて、参加人数を屋内は100人以下で、収容定員の半分以下とすること、屋外は200人以下とし、人と人との距離を十分確保することを求めたうえで、QRコードを活用して、イベントの参加者に感染の発生情報を伝えるシステムの導入などを主催者側に要請して、開催を認めることを決めました。

さらに休校中の府立学校や市町村の小中学校などは、来月1日から分散登校で再開したうえで、6月15日からは部活動も含めてほぼ通常の形で再開させることを決めました。このうち小学6年生、中学3年生、それに高校3年生については、5月25日から一部の授業を再開させます。子どもたちや教職員への感染が確認された場合は、当該の学校を臨時休校とする方針です。

また府民に対しては引き続き、夜の接待を伴う飲食店などクラスターが発生した施設や、「3密」の状態の場所への外出を避けることや、5月末まで府県をまたいだ不要不急の移動を控えるよう求めることも決めました。

大阪府の吉村知事は府の対策本部会議のあと、記者会見し、「4月上旬は感染の右肩上がりの危険な状況だったが、宣言の解除の日を迎えることができたのは府民や事業者の協力のおかげだ。ただ市中にウイルスは確実にいるので、今後は感染を抑えながら、一方で社会経済活動を徐々に戻していくという新しい両立の道を目指していく」と述べました。そのうえで、「府民の皆さんは、これからは外出していただいて結構だが、外出のしかたに気をつけてほしい。マスクをつけ、『3密』を避けて、できるだけ距離をとるなど、ウイルスの特徴をとらえて社会経済活動をしていただきたい」と述べました。

兵庫県の対応

兵庫県は5月21日夜、緊急事態宣言の解除を受けて対策本部会議を開き、新たな対処方針を決定しました。この中では、施設などへの休業要請を一部を除いて23日午前0時から解除することを決めました。

解除されるのは、
▼体育館、屋内プール、ボウリング場、スケート場
▼個室ビデオ店、インターネットカフェ、漫画喫茶、場外馬券場など
▼マージャン店、パチンコ店、ゲームセンター、テーマパーク、遊園地など
▼集会場、公会堂、展示場などです。

一方、クラスターと呼ばれる感染者の集団が発生した夜の接待を伴う飲食店、それにカラオケボックス、スポーツジムなどは休業要請を継続します。

また居酒屋を含む飲食店については現在、営業時間を午後10時まで、酒類の提供は午後9時までとしている要請をすべて解除する方針です。

さらにイベントについては参加人数を屋内は100人以下、屋外は200人以下などとすることを条件に開催を認める方針です。

臨時休校となっている県立学校については6月1日から再開し、14日までは分散登校などの感染防止対策を求めるとしています。

ただ県民への不要不急の外出、不要不急の帰省や旅行、府県をまたぐ移動、それに「3密」が発生する懸念のあるイベントへの参加は引き続き自粛するよう求めています。

兵庫県の井戸知事は記者会見で「緊急事態宣言は解除されたが、感染拡大の第2波にも備えていかなければならない。県民には、引き続き感染防止にご協力をいただきたい」と述べました。

京都府の対応

京都府は5月21日午後6時半から、対策本部会議を開き、一部の施設などに継続している休業要請の大半を、23日午前0時から解除することを決めました。

休業要請を解除するのは床面積の合計が1000平方メートルを超える遊興施設、運動施設、遊技施設、集会・展示施設などです。

また営業時間を夜10時まで、酒類の提供時間を夜9時までとしている居酒屋を含む飲食店については営業の自粛要請をすべて解除します。

ただ休業を要請している施設のうち、クラスターと呼ばれる感染者の集団が発生した施設や類似の施設として、夜の接待を伴う飲食店や、ライブハウス、スポーツジムなどについては解除を見送り、休業の協力を求めます。

また京都府では大学でもクラスターが発生したことから大阪や兵庫と異なり休業要請が続いていますが、再開すると都道府県を越えた学生の移動が予想されるとして、今回は解除を見送り、感染拡大防止のマニュアル作成を各大学に求めたうえで、来週改めて判断することにしています。

首都圏の1都3県と北海道での緊急事態宣言は続くため、京都府は都道府県を越えた移動の自粛のほか、一定規模を超える催しについても引き続き自粛を求めることにしています。

会議の中で西脇知事は「全国では引き続き緊急事態宣言が継続しているところがある。新型コロナウイルスはなくなったわけではなく、身近に存在していることから、引き続き緊張感をもって対策に取り組んでほしい」と述べました。

首都圏・北海道は継続

東京都の対応

東京都の小池知事は5月21日夜、記者団に対し、「きょうの東京の感染者数の数字は緊急事態宣言の解除の判断に向けた目安となるそれぞれの指標を下回ることができている。25日の数字なども確認しながら解除することになると、経済活動も含めて気を緩めることなく新しい段階に入ることができるだろう」と述べました。

そのうえで、「ただ、人の流れなどはこれからも気をつけていかなければならない。次の週末もいろいろと協力を賜りながら、次の段階へ進められるようにしたい。あすには都の詳細なロードマップも示したい」と述べました。

また記者団が「緊急事態宣言が25日に解除された場合、31日までとなっている都の休業要請などの措置を宣言の解除にあわせて前倒して解除する考えはあるか」と質問したのに対し、小池知事は「解除されるかどうかは仮の話なので、しっかりと確認したのちに示したい」と述べました。

神奈川県の対応

神奈川県の黒岩知事は「大変残念なことだと思っている。ただこのところ感染者が少し増えていて、院内感染のクラスターの増加が要因だが、10万人当たり0.5人以下という目安にはとうてい及んでおらず、解除に至らなかったことは大変残念だが仕方がない」と受け止めました。

そのうえで、「首都圏は一体と言うことで目安をクリアした埼玉や千葉では解除を楽しみにしていた方も多かったと思うので、申し訳ないという気持ちだ」と述べました。

一方、安倍総理大臣が1週間待たずに5月25日に改めて解除を検討する考えを示したことをうけて、黒岩知事は「28日を待たずに25日と聞いて驚いた。その段階で収束しているよう祈るような気持ちだ。専門家の間にはクラスターは切り離して考えるべきだという意見もあり、なんとか解除されてほしい」と述べ、5月25日の解除も念頭に5月22日の県の対策本部会議で休業要請の緩和などの対応を検討する考えを示しました。

埼玉県の対応

埼玉県の大野知事は5月21日夕方、記者団に対し、「一刻も早く宣言を解除していただいて、通常の状況に戻ることを以前から希望していたが、特に東京で陽性率を含め、まだ心配なところもある。連休後に行動が緩んでいるという報告もあるので、首都圏一体の対応として埼玉県を解除しなかったことは残念だが致し方ない」と述べました。

一方、大野知事は5月22日午後、県の対策本部会議を開き、
▼学校の再開に向けた方針のほか
▼外出自粛や休業要請の緩和に向けた具体的な指標を示すことを明らかにしました。

千葉県の対応

千葉県の森田知事は5月21日の定例の記者会見で「1都3県は経済的にも社会生活でも密接なので、一体と考えるのが妥当だ」と述べました。そして「千葉県だけ先に解除して人が集まったら困るので現段階での解除は難しい」という認識を示しました。

そのうえで、千葉県としては宣言の解除を待たずにまずは図書館、博物館、美術館について感染防止対策を徹底したうえで5月22日以降、休業要請の一部を解除する方針を示しました。

また千葉県として今後、休業要請の緩和や解除をどう進めて行くかなどについて5月22日、具体的な計画を発表したいとしています。

札幌市の対応

札幌市の秋元市長は記者会見で「国の解除基準には至ってないが多くの人の協力でもう少しというところまで来ている。ここ数日、新たな感染者がおさまっているが、もうしばらくこれが続けば、解除になると思う」と述べ、これ以上の感染拡大が起きないかぎり、近く北海道の緊急事態宣言が解除されるという見通しを示しました。