【詳細】東京パラ 組織委会見
「感染状況ふまえ無観客で合意」

2021年8月16日

東京パラリンピックの観客の扱いについて話し合う大会組織委員会やIPC=国際パラリンピック委員会など4者による会談が開かれ、原則としてすべての会場で観客を入れずに開催されることが決まりました。

会談のあと、組織委員会の橋本会長と武藤事務総長が記者会見しました。

橋本会長は会見の冒頭で、「パラリンピックの観客数の取り扱いについて、本日、協議を行った。会議において、IPCは日本側の方針に対し合意いたしました」と述べました。

橋本会長「感染状況をふまえ無観客」

橋本会長は「東京都、埼玉県、千葉県に緊急事態宣言が発出され、また静岡県が緊急事態宣言発出の要請をしている状況及び、現在の感染状況をふまえ、すべての競技についてより厳しい措置として無観客とする」と述べました。

「路上競技は観戦の自粛を」

橋本会長は観客の扱いに関連して、「路上競技については沿道での観戦の自粛を求める」と述べました。

「学校連携観戦は希望する場合は実施」

橋本会長は「学校連携観戦については、共生社会の実現に向けた教育的要素が大きいことに鑑み、保護者などの意向を踏まえて自治体や学校設置者が希望する場合には、安全対策を講じた上で実施できるようにする」と述べました。

「状況変化した場合は速やかに4者で協議」

橋本会長は「新型コロナウイルスの感染状況などについて大きな変化が生じた場合には速やかに4者協議を開催し、対応を検討する」と述べました。

「是非自宅等で大会をご覧いただきたい」

橋本会長は「オリンピックに引き続き、パラリンピックについてもこのような状況となったことは大変残念であり、会場での観戦を楽しみにしていたチケット購入者のみなさまには誠に申し訳ない。感染拡大の防止を図るためにはやむを得ない措置としてご理解頂くとともに、是非自宅等で大会をご覧いただきたい」と述べました。

「安全・安心な大会運営に万全を期す」

橋本会長は「4者としては引き続きアスリートにとって安全・安心な大会運営に万全を期すとともに、スポーツの力、特にパラリンピックが子どもたちにポジティブな影響を与える教育的意義が大きいことを踏まえ、大会を日本中、世界中の人々に届けることに全力を傾注することを確認した」と述べました。

「聖火台 来場の自粛を」

橋本会長は「東京臨海部の『夢の大橋』に設置するパラリンピックの聖火台については、オリンピックと同様に一般の方々の来場の自粛をお願いする」と述べました。

「学校連携観戦 教育的要素大きく実施」

学校連携観戦について橋本会長は「オリンピックでは学校連携観戦についてよい経験になったという子どもたちの声が多数寄せられた。パラリンピックについても1都3県の知事から共生社会についてなど教育的要素が非常に大きいことから対策をしっかり上で観戦させたいと意見をいただいた。組織委員会でもできる限りの協力しながら子どもの健康を守りながら行う運びになった」と話しました。

その上で「オリンピック前の専門家からの提言で、管理をしやすい学校連携観戦は 対策を万全にした上であればよいではないかと意見をいただいた。それを踏まえて、どのように児童生徒が会場に安全に足を運ぶかという対策も協議しなければいけない」と述べました。

一方で、自治体をまたぐプログラムについては「すべて取りやめとなった。完全に、地元の会場に隣接する学校の子どものみとし、人流を抑える感染対策をする」と述べました。

武藤事務総長「最終的判断は学校や自治体」

学校連携観戦チケットによる子どもたちの観戦について武藤事務総長は「最終的に実施を判断するのは学校の設置者や自治体で、いろんな状況を勘案して、われわれに希望をよせることになる」と述べました。

アスリートのワクチン接種率「把握していない」

武藤事務総長はアスリートのワクチン接種率を問われると「詳細は把握していない。パラリンピックの選手たちはさまざまな事情があり、打てない方もいる。IPCもそこまで把握していないと聞いている」と答えました。

そのうえで「我々としてはできる限り管理をしっかりして陽性者が出ないような対応をしていきたい。万が一、陽性者が出たときは地域医療に悪影響をもたらさない形で対応を考えたい」と述べました。

橋本会長「子どもたちにパラ選手 見ていただきたい」

橋本会長は学校連携観戦について「オリンピックも教育的価値はあると思うが、パラリンピックについてはコロナ禍の状況を乗り越えるということ以前に、大変な身体的障害を乗り越えてチャレンジしてきた背景がある。パラリンピアンの大会を、障害者スポーツを通じて見てきたが、私自身オリンピアンとしてパラリンピアンは本当に尊敬している。子どもたちが直接、パラリンピアンの姿を見るというのはまさに教育に値する大きなものだと思っている。万全の感染対策を講じた上でぜひ、子どもたちには、パラアスリートの姿を見ていただきたい」と話しました。

一方で、感染状況による中止の可能性を聞かれると「状況によっては十分にあり得る」と述べました。

「感染拡大が続く中、五輪が無関係とは全く思っていない」

橋本会長は「新型コロナウイルスの感染拡大が続いていくなかでオリンピックが無関係とは全く思っていない。オリンピックの人流によって感染が拡大したかまだ専門家の中でも検証はされていないと私は承知している。検証をしながらパラリンピックを開催させて頂き、万全の対策をしていくことになる」と述べました。

武藤事務総長「ジョージア選手逮捕は遺憾」

武藤事務総長は東京パラリンピックに出場する予定のジョージアの柔道選手が傷害の疑いで逮捕されたことについて「警察が調べているということでその結果を待ちたいが、いずれにしてもこのような振る舞いがパラリンピアンからあり、大変遺憾に思っている」と述べました。

「アフガニスタン選手団不参加は残念」

アフガニスタンの選手団が東京パラリンピックに参加できなくなったことについて武藤事務総長は「IPCを通じて承知しています。アフガニスタンでの現在の緊迫した政情が理由になっているということだが本当に残念に思っている。アスリートや関係者が安全に過ごしていることを心より祈っている」と述べました。

橋本会長「静岡 無観客 知事の判断間違っていない」

静岡県の競技会場が無観客開催となったことについて橋本会長は「現在の新型コロナの感染状況をみれば無観客は致し方ない。有観客にして頂いたオリンピックの静岡での競技は非常に成功裏に終わり、評価が高かったので、今回の無観客は地元の皆さんには残念な一面もある。ただし、まずは県民、アスリートなどの関係者の安全・安心を確保するのが最優先という知事の判断は間違ってはいない」と述べました。

武藤事務総長「選手村での行動管理を徹底」

武藤事務総長はアスリートの安全をどのように守るのか問われると、「オリンピアンとは違う課題がある。選手村での生活が安全・安心であるような徹底した行動管理と努力を行っていく」と答えました。

その上で「無観客としたのは選手への配慮もあるが、日本社会の人流の増加なども考慮して総合的に判断した」と述べました。

橋本会長「パラリンピック中止の議論はなされず」

橋本会長は、8月16日の4者会談で東京パラリンピックの中止について議論したかどうかを問われると「議論はなされませんでした」と答えました。