「濃厚接触」基準相談急増
保健所ひっ迫で企業が判断する例も

2022年1月26日

新型コロナウイルスの感染が急拡大するなか、保健所の業務がひっ迫し、社員が感染した場合に、企業が濃厚接触者の判断を求められるケースが相次いでいます。都内の中小企業でつくる団体では濃厚接触者の判断基準がわからないなどという企業からの相談が急増しています。

都内のおよそ2300の中小企業が加盟する団体では、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、2020年2月、相談窓口を設置し、企業からの相談に応じています。

相談は12月は1日1件程度でしたが、感染の急拡大で件数は急増し、現在は1日に10件を超える相談が寄せられています。

1月26日も化学薬品メーカーの経営者から「感染したため出勤できなくなり、銀行への支払いなどの業務が滞り困っている」などという相談があり、担当者がアドバイスしていました。

企業からの相談で特に多いのは社員が感染した場合、同じ職場で働くほかの社員について、濃厚接触者をどのように判断すべきかという内容です。

保健所の業務がひっ迫し、企業が濃厚接触者の判断を求められるケースが相次いでいますが、保健所に相談したいと電話をしてもつながらず、対応に困っているという声が増えているということです。

団体では自治体のホームページなどに掲載された、濃厚接触者の判断基準などに関する周知を案内しています。

「東京中小企業家同友会」の林隆史事務局長は「中小企業は限られた人員で経営を守りながら濃厚接触者の判断などを同時に行っている状況で、ほんろうされていると感じる。企業に必要な情報を丁寧に伝えていくのが大事だと考えています」と話しています。

濃厚接触者の判断をした会社は

60人余りが働く千葉県鎌ケ谷市にあるステンレス材料の販売会社では、1月20日、社員1人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。

この会社では、2020年社員が新型コロナウイルスに感染した時には、保健所の指導に従って、配席や昼食時のレイアウト、濃厚接触の可能性がある人のリストなどを提出し、保健所が濃厚接触者の判断をしたということです。

今回は保健所に問い合わせたところ「対応できない」と言われたということで、千葉県が示している「手で触れることのできる距離、目安として1メートル以内で、必要な感染対策なしで15分以上の接触があった」などの基準にも基づいて、濃厚接触者の判断を行ったということです。

その結果、濃厚接触者と判断すべき社員はいませんでした。

感染した社員と社内で席が近い人などには、PCR検査を受けてもらいましたが、いずれも陰性だったということです。

野水鋼業の野水俊明社長は「それぞれの企業で対応するしかないと思います。職場で感染が広がらないよう、換気やマスクの着用などを改めて徹底したいです」と話していました。