“共通テスト未受験 個別入試で判定を”
文科省 異例の要請

2022年1月11日

今週末に実施される「大学入学共通テスト」をめぐり文部科学省は、新型コロナの影響で本試験と追試験ともに受けられなかった受験生のため、共通テストを利用する各大学に個別入試の結果のみで合否判定するよう、異例の要請を行うことを1月11日、明らかにしました。

「大学入学共通テスト」は、
▽本試験は今週末の1月15日と16日に、
▽追試験は1月29日と30日の日程で実施され、
志願者数はおよそ53万人に上り全国864の大学などの入試に利用される予定です。

文部科学省は、新型コロナの感染が全国的に第6波に突入したという指摘もある中、陽性者や濃厚接触者となるなどして、本試験も追試験も受けられなかった受験生のため、共通テストを利用する予定の国公私立の大学に、個別の入試の結果のみで合否判定するよう要請することを1月11日、明らかにしました。

大学入学共通テストは
▽国公立大学では結果が第1段階の選抜や最終的な合否判定に活用されているほか、
▽私立大学では共通テストの結果のみで選抜する方式をとっているところもあります。

要請ではこのほか、各大学の個別入試についても、
▽ほとんどの大学が設けている追試験や振り替え受験を受けられなかった受験生のため、面接や小論文による「総合型選抜」などで再度の追試験の機会を新たに設けるよう求めるとともに、
▽これにより入学時期が4月以降になることも可能にすると、全国の大学に周知する方針です。

末松文部科学大臣は閣議後の会見で「今後、仮に受験生が複数回にわたって陽性者や濃厚接触者になってしまった場合でも、受験機会を失ってしまうことがないよう、1人の受験生も取り残さないようにしたい」と述べました。

共通テストの開始が4日後に迫る中、国がこうした要請を行うのは異例で、文部科学省は大学側に理解を求めながら進めていくとしています。

また、中学や高校の入試についても、追試験の実施や調査書などの書類のみでの選考など、改めて柔軟な対応を全国の教育委員会などに求めていくことにしています。

ネット上では戸惑いの声も

「大学入学共通テスト」を受けられなかった受験生のため、個別入試の結果で合否判定するようにという異例の要請。

文部科学省の対応について、ネット上では戸惑いの声が多く聞かれました。

受験生とみられる人からは「試験4日前に急に言われても」とか「救済措置はありがたいが、個別試験で合否を決めるなら最初からそうやればいいのに」といった戸惑いの声が上がっていました。

また2021年、新型コロナウイルスに感染して受けられなかったという人は「なぜことしは急にそんなよく分からない措置をとるのか」と対応が異なることへの不公平感を指摘する声もありました。

また大学の教員とみられる人からも「このタイミングでそれは無茶ですよ」とか「いまから言われて、対応できる大学がどれだけあるのか」などと、急な変更への対応の難しさを指摘する声が相次いでいます。

一方、新型コロナの影響で受験できない生徒への救済措置がとられることについては「もっと早く決めることはできなかったのかとは思いますが、受験生が誰ひとり不利益を被ることがないように願いたいです」とか「大人が受験生に救済措置を考えているという姿勢を見せるのは大事」といった声がありました。