成田山新勝寺
2022年の初詣は分散参拝の呼びかけ見送り 賛否両論

2021年10月5日

千葉県の成田山新勝寺が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、2021年の初詣で行った「分散参拝」の呼びかけを2022年は見送る方針を決めたことについて、参拝者からは感染対策が定着したとして賛成する意見や、今後感染の第6波が起こる可能性があるとして反対する意見が聞かれました。

例年、正月三が日におよそ300万人が初詣に訪れる千葉県の成田山新勝寺は、感染拡大を防ぐため2021年の三が日はなるべく参拝を避けてもらう「分散参拝」を呼びかけました。

2022年の初詣については、密を避ける感染対策が定着しワクチン接種も進んでいるなどとして、「分散参拝」の呼びかけを見送る方針です。

そのうえで境内の各所に消毒液を設置したり、参拝者どうしが距離を取るための目印を貼り付けたりする感染対策を行うことにしています。

こうした新勝寺の来年の初詣の方針に、参道の店ではにぎわいが戻ることを期待しています。

「ありがたい」「安心できない」さまざまな声

創業100年を超えるうなぎ料理店では、分散参拝が呼びかけられ、緊急事態宣言が出された2021年1月の売り上げは例年と比べて3割ほどに減少しました。

店ではテーブルにアクリル板を設置したり、行列ができないようスマートフォンで順番を確認できるシステムを活用したりして、感染対策を行うことにしています。

「川豊本店」の伊藤小澄社長は「来年、分散参拝を呼びかけないことは前向きにありがたいです。多くの方が初詣に来ることを期待しています」と話していました。

新勝寺の来年の初詣の方針に、参拝者からはさまざまな意見が聞かれました。

33歳の男性は「ワクチン接種が進み、感染者も減ってきているので、分散参拝は呼びかけなくてもよいと思います。三が日に参拝したい人もいてあまり縛りすぎないほうがいいと思います」と話していました。

一方で、25歳の女性は「ワクチンを打っても、新しい変異ウイルスが出ているので安心できません。分散参拝を呼びかけたほうがいいです」と話していました。

2021年の成田市の初詣の感染対策の指導をした国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「来年の初詣の時期は感染の第6波と重なる可能性があり、密になるような状況になれば感染が広がるリスクが十分あり得る。感染者数のレベルに応じた対応を段階的にあらかじめ決めておき、第6波が起きたら呼びかけを行うなど、何をすべきかを準備することが大事だ」と指摘しました。

新勝寺では来年の初詣の対応について、今後の感染状況を見ながら柔軟に検討していきたいとしています。

新勝寺企画課の松岡照英係長は「感染状況を注視しながら検討を重ねていく必要がある。境内が密にならないよう入場規制をするなどして、安心してお参りできる環境を整えたい」と話しています。