新型コロナ “第7波に入った”
過去最多の感染者 各地で相次ぐ

2022年7月12日

“感染拡大の第7波に入った”
政府分科会の尾身茂会長は7月11日、こうした認識を示しました。

そして7月12日は各地で過去最多となる感染確認が相次ぎ、全国の感染者の発表は7万人を超えました。2022年3月3日以来になります。また東京都でも2022年3月以来となる1万人超の感染者が発表されました。

▽なぜ感染が再拡大したのか?
▽行動制限はどうなるのか…?
▽改めて必要な感染対策とは?

新型コロナをめぐる最新の情報をまとめました。

“過去最多” 全国各地で…

7月12日はこれまでに全国で7万6011人の感染が発表されています(18:45現在)。このうち青森、和歌山、愛媛、島根、鳥取、山口、大分、佐賀、熊本、長崎、鹿児島、沖縄の12の県では、一日としては過去最多の感染者数が発表されました。

東京 新たに1万人超の感染確認

東京都は7月12日、都内で新たに1万1511人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。都内の感染確認が一日に1万人を超えるのは、およそ4か月前の2022年3月16日以来です。

なぜ感染再拡大?

なぜ感染は再拡大したのか?専門家は次のように説明しています。

「BA.5の広がり」「ワクチンの免疫効果が低下」

政府分科会の尾身茂会長ら専門家は7月11日、総理大臣官邸を訪れ岸田総理大臣と会談しました。

尾身会長によりますと、会談では専門家が
▽現在の感染者急増の背景にオミクロン株のうち感染力がより強いとされる「BA.5」の広がりや
▽ワクチン接種から時間がたって免疫の効果が下がってきていることがあることなどを説明したということです。

“感染拡大の第7波に入った”

会談のあと尾身会長は「新たな感染の波が来たということは間違いない」と述べ、感染拡大の第7波に入ったという認識を示しました。そのうえで「感染力の強い『BA.5』が主流になってもリスクの高い場面などはこれまでと変わらず、われわれがやることは3密や大声を出す場面を避けること、それに換気などで、従来やってきたことを徹底してほしい」と呼びかけました。

“現時点で行動制限は必要ない”

さらに尾身会長は「強い行動制限は多くの人は出したくないと考えていると思う。そうした措置をとらずとも検査やワクチンの接種、基本的な対策で乗り越えることは可能で、国や自治体含めて対応を徹底するべきだ」と述べ、現時点ではまん延防止等重点措置のような行動制限は必要ないという認識を示しました。

後藤厚労相「現状 行動制限かける事態と思っていない」

後藤厚生労働大臣は記者会見で、感染が再拡大している要因について「3回目のワクチン接種などによる免疫が徐々に減衰していることや、オミクロン株の新たな系統への置き換わりが進むことなどが考えられる」と述べました。

また尾身会長が第7波に入ったという認識を示したことについては「さらなる感染者数の増加も懸念されるところで、医療提供体制への影響も含めて注視していく必要がある」と述べ警戒感を示しました。そのうえで後藤大臣は「現状としては行動制限をかける事態とは思っていない」と述べた一方、今後、夏休みに入って人と人との接触機会が増えることなどが予想されるとして、マスクの着用や手洗いなど基本的な感染防止策の徹底を呼びかけました。

専門家「責任持ち基本的対策を続けることが重要」

国際医療福祉大学 松本哲哉 主任教授

・現在の感染状況についてー
「感染拡大のスピードが驚くほど速く、外来でも検査の陽性率が50%以上の日が続いている。思い当たるような感染リスクがないという人も陽性になるパターンも多くなっていて、日常生活の中でどこかで感染している人が増えている印象だ」

・置き換わりが進んでいるとされる変異株「BA.5」についてー
「これまでの変異株とどの程度症状が違うのかは難しい部分もあるが全体の傾向として熱が高めに出やすい人が多く、のどの症状が強めに出たり、せきが出たりするなどやや今までとは違う症状が出ていると感じる。感染力が強いだけでなく免疫を避ける能力も高いのでワクチンを接種した人でも感染しやすい面がある。一方、重症化しやすいかはまだわからないが、現在はワクチンの効果もあり重症化率は低く抑えられているのではないか」

・現状のペースで感染拡大が進むと8月上旬には東京都の一日の新規感染者が5万人を上回る可能性があるという試算が出ていることについてー
「今はそこまで医療がひっ迫していないという状況が『慣れ』や『安ど感』を生み、このまま突っ走っていくと気付いた時に多くの人が亡くなるという事態にもなりかねない。やれる対策は今のうちに準備し、ワクチンにしろ感染対策にしろ、そう簡単には緩めてはいけない状況だと思う。『3密』の場ではマスクをつけたり適度に換気をしたりするなど、責任を持って基本的な感染対策を続けていくことが重要だ」

過去最多の感染確認

過去最多となる新型コロナへの感染確認が発表された県は以下のとおりです。

青森 699人感染確認

青森県では7月12日、新たに699人の感染確認が発表されました。一日当たりの発表としてはこれまでで最も多くなっています。

和歌山 609人感染確認

和歌山県は7月12日、新たに609人の感染確認を発表しました。一日に発表された感染者数としては、2022年2月2日の597人を上回ってこれまでで最も多くなりました。

愛媛 1014人感染確認

愛媛県は7月12日、県内の一日の感染者数が初めて1000人を超え、過去最多の1014人の感染確認を発表しました。

島根 1271人感染確認

島根県は7月12日、新たに過去最多となる1271人の感染確認を発表しました。一日の感染者数が1000人を超えるのは初めてで、感染の急拡大が続いています。

鳥取 429人感染確認

鳥取県は7月12日、新たに429人の感染確認を発表しました。一日の感染確認の数としては過去最多です。

山口 527人感染確認

山口県と下関市は7月12日、新たに527人の感染確認を発表しました。一日に発表された感染者数としては過去最多です。

大分 1113人感染確認

大分県は7月12日、新たに1113人の感染確認を発表しました。一日の感染者数としてはこれまでで最も多く、1000人台となったのは初めてです。

佐賀 1205人感染確認

佐賀県は7月12日、県内で新たに1205人の感染確認を発表しました。一日当たりの新規感染者数は7月7日の691人を大幅に上回り、過去最多となりました。

熊本 2333人感染確認

熊本県では7月12日、新たに2333人の感染確認の発表がありました。一日の新規感染者が2000人を超えるのは初めてで、過去最多となりました。

長崎 849人感染確認

長崎県などは7月12日、合わせて849人の感染確認を発表しました。一日に発表された新規感染者数としては2022年1月29日の717人を上回り、これまでで最も多くなりました。

鹿児島 1517人感染確認

鹿児島県内では7月12日、新たに1517人の感染確認が発表されました。これまで県内で一日当たりの新規感染者が最も多かったのは2022年4月26日の974人で、これを大幅に上回りこれまでで最も多くなりました。

沖縄 3436人感染確認

沖縄県は7月12日、新たに3436人の感染確認を発表しました。一日に公表される新規感染者の数はこれまでで最も多かった2022年5月11日の2702人を上回って過去最多となりました。